movin:

ディールズストラテジー部門においては、最近はどのような案件が多いのでしょうか？

青木様：

一つは、業界再編によるM&Aでしょうか。これまでも再編が必要だと叫ばれてきながら、なかなか具体的な動きが起こらない業界が多かったと思うのですが、最近はいくつか大型の再編が動き出しています。他にも、「M&Aを見据えた新規事業の立案」といったテーマもあれば、ITの影響を受けて事業環境が大きく変化している事業において、「どのようにビジネスモデルを転換すべきか戦略を考え、その上でM&Aという戦略オプションの可能性を検討する」といったテーマもあります。

movin:

2つ目のようなお話ですと必ずしもM&Aに繋がらないケースもあるように見受けられます。

青木様

おっしゃる通り、実際には必ずしも「M&Aを実行すべし」という結論になるとは限りません。結果としてM&Aではなく事業提携等の形になることもあります。

movin:

M&Aに限らず、ジョイントベンチャーの設立や資本移動がない純粋な事業提携のご支援もされるのですか？

青木様：

M&Aになるのか事業提携のみで終わるのかは、結果論ですので。ただ、最初は事業提携からスタートし、順調に進めばそこから資本提携に進むこともあるわけですから、近視眼的に無理やり「M&Aすべし」といった結論に持っていくのではなく、あくまでクライアントにとってベストなソリューションを提案します。

movin:

少し話が変わりますが、青木様ご自身が関与された案件で、印象に残っている案件はございますか？

青木様：

一番印象に残っているのは、メディア系企業様のご支援をした案件ですね。
こちらのお客様は現時点では十分な企業体力があり、直ぐに経営危機が起こる可能性は無かったのですが、業界構造的にITの影響を大きく受けていて、5年、10年という時間軸で考えると、何もアクションを取らないでいると非常に苦しい状態になる可能性が予見されています。

当初は異なるテーマでお手伝いをしていたのですが、上記の危機感から私が経営陣の皆様に「今のうちに手を打っておかないと、将来打ち手が一気に狭まってしまう可能性が高い」ということを訴えました。

継続的に上記のような議論を繰り返していく中で、経営陣の皆様からも賛同を頂くことが出来て、最終的にはM&Aを視野に入れて手を打とうということになり、M&Aを推進する部署が設立されました。

現在はこちらの部署と「実際にどの事業ドメインでM&Aを行っていくか？」ということを真剣に議論させて頂いており、この案件は正にディールズストラテジー部門の在り方を体現している案件だと思います。

movin:

純粋な戦略コンサルティングファームの案件と比べると、本件のような経営陣マターの案件は多いのでしょうか？

青木様：

多いですね。M&Aにかかる意思決定ですので、所謂「全社戦略」レベルの案件となることが多く、結果として我々のカウンターパートが経営トップなど経営陣となってしまうのです。