アクセンチュア関連ニュースアクセンチュア転職情報

「今が一番楽しい」、アクセンチュア社長が機構改革の狙いを語る

「デジタルコンサルティング本部」を作りました。

　グローバルでは2013年12月にデジタルコンサルティング本部を立ち上げました。それに伴い、日本でも今年1月に新設したわけです。同時に、経営戦略の立案やM＆A（合併・買収）を支援する「経営コンサルティング本部」を、「戦略コンサルティング本部」に名称を変えました。

ITコンサルティングに特化して経営コンサルティングをやめる、ということはないわけですね。

　経営コンサルティングをやめるなんてことはないですよ。これまで通り、経営コンサルティングや、ITコンサルティングに相当する「テクノロジー」、ビジネスプロセスアウトソーシングを手掛けます。

機構改革の狙いは何ですか。

　顧客企業に最適なソリューションを機動的に提供するためです。デジタルコンサルティング本部は、デジタルマーケティングやCRM（顧客関係管理）の実現を支援する「インタラクティブ」、ビッグデータ分析などを行う「アナリティクス」、スマートフォンなどを活用する「モビリティ」の3つのソリューションを提供します。

　これまでは3つのテーマについて、それぞれ個別に相談されることが多かったのですが、最近は状況が変わってきました。経営トップから「デジタルシフトしたい」という要望が増えてきたのです。
ICTを上手く活用しなければ、米グーグルや米アマゾン・ドット・コムなどの「デジタル・ディスラプター（デジタル時代の創造的破壊者）」に市場を奪われる危険性がある。こうしたことに気づき、デジタル・ディスラプターに対抗するための手を打とうとしている企業経営者は確実に増えています。

　我々は、「経営のデジタリゼーションを加速したい」という顧客のニーズを、デジタルコンサルティング本部で一手に引き受け、SNS活用やデータ分析、モバイル化などどのようなテーマから優先して着手すべきかを考え、素早く実践する。このために、3つのチームを1つにまとめたわけです。こちらの都合ではなく、顧客のニーズに迅速に対応するための機構改革だということです。

欧米では今回の組織体制が有効かもしれません。でも日本市場にマッチするのでしょうか。「ICTで競争力を高めよう」と本気で考えている日本企業の経営トップがそんなに増えているようには思いません。

　日本企業でもデジタルシフトが進むことは確実ですから、ミスマッチになることはないと思っています。ただ、ご指摘のように、経営のデジタリゼーションの推進役が誰であるかは、日本と海外の企業で異なっているようです。

　「デジタリゼーションの推進役は誰か？」

　これに関する我々の調査では日本企業の場合、「CIO」と回答した比率が39％で最も高かった。これに対し、海外の企業は「CEO」が最も多く、35％でした。日本企業の場合、デジタリゼーションはCIOマター。海外はCEOマターというのが現状ということです。
デジタリゼーションは経営課題ですよね。それをCIOマターとする日本企業が多いというのは、以前と変わってないようですね。それはともかく、経営のデジタリゼーションに追従するためには、企業内のITシステムも変えていく必要があるかと思います。

　はい。社内ITシステムもまったく新しい“つくり”に変貌させる必要があります。

　これまでの企業のITシステムを、Webサイトなどの「顧客接点」系と、会計や生産管理、販売管理などの業務を支える「社内システム」系と2つに分けたとします。これまでは社内システムの比重が大きく、ここがシステム部門の仕事だったわけです。

　経営のデジタルシフトを加速させるには、これら2つの比率を逆転させないといけません。強化すべきは顧客接点です。EC（電子商取引）サイトやSNSなど様々なチャネルから顧客の活動履歴を収集したり、分析したりして、事業を強化していく。

　その一方、これまで基幹系と呼ばれている社内システムについては、徹底的にスリム化したり、柔軟性・拡張性を高めたりしていく。クラウドサービスや仮想化技術をフル活用していく必要があるでしょう。

デジタルシフトのためには、アクセンチュアようなITコンサルティング会社や顧客企業のシステム部門のやるべきことがかなり増えそうです。

　そうです。私自身、アクセンチュアで8年間社長を務めてきましたが、今ほどやるべきことが多いと思うことはありません。

　やるべきこと、やりたいことが多すぎて、仕事をしていて今が一番、楽しい。心からそう思っています。