ブーズ・アレンがグローバル・イノベーション調査を実施

経営戦略コンサルティング会社 ブーズ・アレン・ハミルトンの第3回グローバル・イノベーション調査によると、R&D支出額で世界のトップ1000社に入る企業のR&Dへの投資額が2005 年の支出増加の2倍になっていることが判明した。2006年は3年ぶりに、これらの企業におけるR&D支出の伸びが売上成長率に追いついた。最も支出高が増加したのは、本社所在地が北米の企業である。新興成長市場でのR&Dへの投資は加速しているものの、グローバル市場におけるシェアはまだまだ少ない。
また、ブーズ・アレンでは3種類の注目すべきイノベーション戦略を定義しているが、最も著しい業績の差はイノベーション戦略そのものというよりは、それがいかに全体的な企業戦略と整合を持っているかどうかであると結論づけている。高い費用対効果をあげた企業の成功は、イノベーションプロセスを通して「顧客インサイト」に着目していたことによるところが大きい。実際のところ、顧客中心主義を貫く企業と顧客からのフィードバックをあまり利用しなかった企業を比較すると、前者の方が営業利益成長率は3倍、株主利益総額は65%高く、資産総額は2倍になっている。
ブーズ・アレンは、研究開発に最も多額の費用を投入した世界の上場企業のトップ1000社を「グローバル・イノベーション1000社」とし、研究開発が企業業績に及ぼす影響について分析するべく包括的な取り組みを続けている。この調査では、イノベーションへの支出と企業業績との関係を分析し、高い費用対効果を生むための手がかりについて探っている。また、イノベーションと戦略との関係、そしてイノベーションバリューチェーン(イノベーションの価値を見出すための一連の流れ)における戦略と顧客の役割の関係についての理解を深めるために、今年の「グローバル・イノベーション1000社」の中から R&D支出総額が680億米ドルになる数社を徹底調査するという新たな試みを行っている。

主な調査結果は以下の通りである:

2006年のR&D支出は、売上成長率に追いついた。
昨年の「グローバル・イノベーション1000社」による研究開発支出額は、400億米ドル増の4470億米ドル(10%増)であった。利益はこれら企業の5年間分の年間成長率の2倍で、アイルランド共和国の2006年国内総生産の2倍以上に相当する。そして4 年間で初めて、売上高研究開発費比率が横ばいとなり、4年間続いた下落に終止符を打ち、研究開発支出は売上成長率(同じく10%)に匹敵している。

本社所在地を北米とする企業の研究開発支出は13%増加し、
「グローバル・イノベーション1000社」の中で最も多額の資金を投じた。
本社を北米に置く企業は、相変わらずイノベーションへの支出が高く、2006年には研究開発への支出額が合計で210億米ドル増額した。本社所在地が中国あるいはインドにある企業は、同時期にわずか4億米ドルしか増額していない。中国、インド、及びその他の開発途上国は、2006年の企業全体の支出のわずか5%しか研究開発に費やしていない。しかしながら、これら地域における企業の平均成長率からは、早く追いつこうという意気込みが伺える。中国とインドの企業の2006年の支出は前年の25.7%であり、5年連続平均25%の成長率を維持している。

ほとんど全ての企業が効果的なイノベーションのために三つの戦略の内のひとつを取り入れている。
ブーズ・アレンでは、今年のR&D支出トップ1000社のうちの数社の分析、アンケート調査、及び「C-suite(経営幹部)」へのフォローアップインタビューから、イノベーション戦略を3種類に識別した。しかしどの戦略も、その他二つより優れているというわけではない。

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ニーズ探求派: 新たな商品、サービスやプロセスを形成する上で、既存および潜在的な顧客と積極的に関与している。また、新しい商品を市場に出す最初の企業になることを目指している
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市場観察派: 市場を注意深く観察しながら、少しずつ自社を変化させることによって顧客提供価値を生み出すことに注力し、慎重なアプローチを続けている
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テクノロジー主導派: 自社技術の改良やブレイクスルーを狙ってR&D投資を行っており、得られた技術的可能性が指し示す方向性へと進んでいる。R&Dにおいては、顧客の潜在的なニーズを掘り起こすことを重視している


イノベーション戦略を企業戦略と整合させることができた企業ほど、高い業績を達成している。
企業戦略とイノベーション戦略の間に整合性のある企業は、より優れた業績をあげている。このような整合性のない企業と比較すると、営業利益成長率では40%高く、過去3年間の株主利益も2倍である。
「市場で勝つためのイノベーション戦略はひとつだけではない。しかし高業績をあげる鍵は、イノベーション戦略を企業戦略に結びつけること、そして戦略的成功を推進するかたちで顧客第一主義を貫くことであることは明らかです。」とブーズ・アレンのバイスプレジデントであるバリー・ヤルゼルスキは述べている。

11%以上の企業がハイレバレッジ・イノベーターである。
調査対象となった1000社の内の118社は、それぞれの産業セクターの競合他社と比較して、この5年間常により高い業績を上げており、それと同時に売上高研究開発費比率もそれぞれのセクターの中央値よりも低い。このカテゴリーに識別される企業は、昨年と比較して25%増えている。
これらのハイレバレッジ・イノベーター企業は、アイディア創出から商品開発、マーケティングまで、イノベーションバリューチェーン全体に重点を置いている。そしてどの企業も、イノベーション戦略を全体的な企業戦略と整合させるべく努力をしている。共通しているのは顧客を第一に考え、イノベーションバリューチェーンの中に顧客中心的なアプローチを維持するためのプロセスを取り入れていることである。

お金だけでは効果的なイノベーションを買うことができない。
「グローバル・イノベーション1000社」を分析すると、過去の調査から得られた主な結果を再度確認することができる。R&D支出額と、売上や収益の成長率、粗利益や営業利益の収益性、時価資本総額の成長率、株主利益総額などの財務的または企業としての成功を計るために主な指標との間に、統計的に有意な関係は存在しない。
「多くの企業がイノベーションに益々の価値を置く中で、R&D支出額が大きいことが必ずしもより賢明な使い方やより良い業績を導くわけではないのです」とブーズ・アレンのバイスプレジデントであるKevin Dehoffは述べている。「競争は益々激しくなり、毎年何千種類もの新商品が発売されている中で成功を収めるためには、単にR&D支出を増やすだけでなく、イノベーションプロセスを改善する必要があります。」
ハイレバレッジ・イノベーターは、イノベーションプロセスを厳しく管理している。
イノベーションの4つの主要な要素である「アイディアの創出」、「プロジェクト選出」、「商品開発」、そして「商業化」を実施する上でブーズ・アレンがインタービューを行なった全ての企業は、厳密な「ステージゲート方式」のプロセスと、商品開発にかかる費用と時間から新製品の市場における成功率に至るまでの通常指標を組み合わせた手法を取り入れていた。これを強力なポートフォリオ管理プログラムと組み合わせることで、イノベーションエンジンがいかに長期的な成長を推進するかについてより理解を深めることができる。

調査による結果には、以下も含まれている:

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R&D支出額でトップ10に入る企業は、次の通りである: トヨタ自動車、ファイザー製薬、フォード自動車、ジョンソン・アンド・ジョンソン、ダイムラー・クライスラー、ゼネラル・モーターズ、マイクロソフト、グラクソ・スミスクライン、シーメンス、IBM。
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「グローバル・イノベーション1000社」における研究開発支出は、トヨタ自動車の77億米ドルから明電舎の4700万米ドルまで様々で、この幅広さは何故トップ100社が「グローバル・イノベーション1000社」全体の64%の研究開発支出を占めるかを説明している。
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「グローバル・イノベーション1000社」の2006年の売上は10%増の11.8兆米ドルで、昨年の売上高研究開発費比率3.8%と2004年の4.2%をほぼ維持している。研究開発費の度合いについては売上高研究開発費比4.8%の本社所在地が北米の企業が前年の4.6%から更に差を広げている。一方本社所在地が日本にある企業の売上高研究開発費比は 3.7%、ヨーロッパの場合は3.4%である。
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ブーズ・アレンでは、「グローバル・イノベーション1000社」が2006年の世界各国における企業のR&D支出額5400億ドルの84%を占め、政府と非営利団体を含むR&D支出総額の52%を占めていると概算している。
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研究開発支出は依然としていくつかの業界に集中している。2006年の総額の三分の二以上を3つの産業セクターが占めている: コンピューター関連・電子機器(29%)、ヘルスケア(22%)、自動車(17%)。
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自動車以外の全ての産業セクターにおいて、2006年の研究開発費が速度をあげて増額されており、その先頭に立つのは5年平均成長率が13%のヘルスケア、次いで12%のソフトウェア・インターネットである。自動車産業だけが過去の成長率を下り(1.3%)、この5年間の成長率(4.2%)を下回っている。
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「グローバル・イノベーション1000社」の内、本社所在地が北米、欧州、及び日本の企業が、2006年のR&D支出総額の95%を占めている。


ブーズ・アレン・ハミルトン「グローバル・イノベーション1000社」: 調査方法
ブーズ・アレン・ハミルトンは、2006年にR&Dに最も多額の費用を投入した上場会社1000社を特定した(R&D支出額についての公的なデータが存在する会社)。単一の親会社に50%以上所有されている子会社については、決算報告が親会社の財政報告書に含まれているので除外した。
上位1000社各社について、2001年から2006年までの主な財務的指標となるデータを入手した。これは、売上、粗利益、営業利益、純利益、過去の R&D支出額、及び時価資本総額である。これに加え、株主総利益については、各社が属する現地市場の株主利益の総額に応じて調整した。
各社は、ブルームバーグ社の産業分類基準に沿って9つの業界(あるいは「その他」)に、そして各社が報告する本社所在地によって5つの地域に分類された。業界間における有意な比較を行なうため、各社のR&D支出額レベルと財務指標を、該当する業界の中央値に合わせて指数化した。
イノベーション戦略がどのように実際の業績に影響するかを理解するために「グローバル・イノベーション1000社」の内、2006年のR&D支出総額が680億米ドルになる数社に対しアンケートの協力を依頼し、これから得た回答を様々な統計的手法を用いて分析した。
「グローバル・イノベーション1000社」の調査のデータは、 www.boozallen.com からオンラインで入手することができる。

ブーズ・アレン・ハミルトンについて
ブーズ・アレン・ハミルトンは、民間企業ならびに政府・公共機関に対する最先端の経営コンサルティング・ファームとして、90年以上の実績があります。
様々な業種や機能に関する専門性の高いコンサルティングノウハウを駆使し、クライアントが抱える課題を、クライアントと共に解決し、そのミッションの実現をサポートします。ブーズ・アレン・ハミルトンは持続する結果を実現することに全力を投じています。
ブーズ・アレンは、現在、世界6大陸において19000名以上の従業員を有し、年間売上高は40億USドルを上回っています。

2007年 10月31日
PwCストラテジー(Strategy&)

PwCストラテジー
1914年にエドウィン・ブーズにより創業された、世界的な経営コンサルティング会社。世界各国における民間セクター・公共セクターの双方に対してサービスを提供しており、「プロダクト・ライフ・サイクル」や「サプライ・チェーン・マネジメント」などのコンセプトを生んだことでも知られる。2008年に、米国政府に対してコンサルティングを行うブーズ・アレン・ハミルトンから独立して民間企業および米国以外の政府公共機関に対するコンサルティング業務を行うブーズ・アンド・カンパニー(Booz & Company)として発足。

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