移動離れの日本の若者、シェアリングへの期待高まる米国…デロイトトーマツ

「デジタルデバイスを使いこなす生活を送っているGenZはインテリジェントモビリティに高い期待をしていると想定している」

デロイトトーマツコンサルティング執行役員パートナーの周磊氏は1月15日、オートモーティブワールド2015の基調講演に登壇、若者世代が今後自動車サービスに取り込まれうるポジティブな可能性がある、と主張する。「インテリジェントモビリティの進化とエコシステムの共創」と題した講演の中で、具体的に若者が何を今後のモビリティに求めるのかを語った。


◆GenZがモビリティに求める3つのこと

GenZ（ジェネレーションZ）とは、1995年以降に生まれた世代を指す。定義は複数存在するがGenYに続く世代、という点は共通認識なのだという。GenYとは平均5つのデジタルデバイスを活用する（一つ前の世代のGenYは二つ）世代で、特に現在10代の少年は、ゲームを好む傾向があるという。

そして特性として外せない点にSNSのヘビーユーザであることがいえる。75％が毎日SNSを訪問し平均4.6時間は利用する。さらにショッピングではオンラインを好む。洋服、書籍、電化製品等多くの項目でオンラインでの購入を望んでいるという。そしてGenZの76％は人類の地球環境の未来を懸念している。環境問題への関心の高い世代だといえるという。

GenZはモビリティへ何を要求するのか。GenZの特性から3つのことが想定されるという。1つは自動運転化により移動中にSNSやショッピングが可能となること。2つはオンラインショッピングへの高い親和性から行動提案等への受容性も高いものと想定されること。3インテリジェント化、つながる技術によって環境負荷低減に共感する可能性があること、だ。


◆日本の若者は移動離れ　米国調査よりシェアリングへの期待高まる

GenZより前のGenYへ訴求するためのアプローチとしてはシェアリングサービスの提供が有効、と主張した。GenYとは1977年から1994年に生まれた世代を指すが、これらの世代は現在の36歳から50歳と比較した場合、国ごとに異なる傾向がみられるという。

すなわち中国では従来同様にアクティブな若者が存在し、クルマの所有意欲は高い。その一方で日本や米国、ドイツではクルマの所有意欲はより低いのだという。この三か国を公共交通機関の利用意欲の高低で考察した場合、料金が多少高くても公共交通機関を利用したい若者が、米国やドイツの傾向といえる。したがって米国、ドイツの方が本当の意味で“クルマ離れ”が進んでいる。

日本では公共交通機関への利用意欲はより低い、に留まるため、クルマ離れというよりもむしろ“移動離れ”なのだという。したがって彼らが求めるのは“サジェスティブ（Suggestive）”な移動だ、と結論づける。今後は「移動したくなる訪問先を提案する」などが必要となるという。

また、米国ではどうか。GenYのクルマに関するニーズ調査によるとクルマを持たない理由のトップ3が車両コストの高さ、メンテナンスコストの高さ、すでに徒歩や公共交通機関で対応可能なライフスタイルが確立していることがあるという。そしてシェアリングへのニーズ調査によると40％が「使いやすければカーシェア、レンタルサービスを利用したい」と回答し39％が「ライドシェアリングのアプリを試したい」と回答。そしてクルマ保有者のうちモビリティサービスの利便性が高ければ、クルマを手放したい、と回答する人が29％にのぼったという。

周氏は今後ますます「保有ではなくシェアリングへの興味が高まり、GenY世代を取り込むためにはシェアリングサービスの提供が有効だと想定できる」と強調した。

2015年 1月16日
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デロイトトーマツコンサルティング
世界最大規模の会計事務所のひとつであるデロイト・トウシュ・トーマツのメンバー企業であり、監査法人トーマツ（最大級の会計事務所）、DTC-FAS（財務アドバイザリー）とも連携し、あらゆるサービスラインで、かつ、クロスボーダー案件にも対応している。2010年10月に、トーマツ コンサルティング（中京・関西・西日本）と統合、純粋な戦略立案のみならず、実行支援まで含めたプロジェクトが多いのが特徴。

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