【日立コンサルティング】営業利益率7%超え狙う日立、情報・通信システムはIoTなどサービス事業を拡大

日立製作所は6月11日、証券アナスリトなどを対象にした「Hitachi IR Day 2015」を開催。執行役員副社長で情報・通信システムグループ長 情報・通信システム社 社長の齊藤裕氏が2015年度の情報・通信システム事業の戦略を説明した。

 齊藤氏は、「国内ITサービス市場は回復基調にあるものの、IT市場の成長が鈍化し、グローバル競争の激化がみられている。ITハードベンダーのパラダイムシフトが必須であり、事業をもう一度組み立て直す時代に入っている」としながら、「事業ポートフ ォリオ変革の完遂による成長の継続、収益力を兼ね備えたビジネスモデル確立と着実な利益創出に取り組む」と説明した。

 2015年度業績(米国会計基準)は売上高で2兆1000億円、海外売上高比率で36%、営業利益で1400億円、営業利益率6.7%、EBITマージンで6.3%を目指すことを明らかにした。

 2014年6月に発表した見通しから売上高の2兆1000億円には変更がないものの、営業利益は600億円減、EBITマージンは580億円減とした。通信ネットワーク事業での国内通信事業者向け売り上げの減少、国内のサーバやソフトウェアなどのプラットフォーム製品の需要減少、社会システム分野でのプロジェクト収支改善の遅れ、ビッグデータ利活用などでの社会イノベーション事業投資の増加を理由に挙げた。

 「増収増益だが目標通りに行っていない。利益を創出できるコスト構造への転換が遅れた結果、2015年度の計画を見直した。サービス売上高は着実に拡大し、社会イノベーション事業でもさまざまに投資している。サービス事業の強化に向けてPentahoを買収することで、ビッグデータ利活用を提案するなどの成果があったものの、通信ネットワーク事業の見通しが甘く、抜本的対策に遅れが出た。海外売上高は現地通貨ベースで横ばいであり、さらなる強化が必要。グローバル水準の収益性実現に課題がある。売上高は伸張したが、事業環境や市況変化への対応遅れの反省を踏まえ、2015年度には構造改革を実行する」

 また、「基盤領域は縮小しながらも成長領域で事業を拡大。それに向けてグローバルフォーメーションの再編、コスト構造改革の断行に取り組む」とした。

クラウドはサービスインテグレーション事業

 社会イノベーション事業では、「ビッグデータ利活用やIoTを核としたサービス事業拡大」「営業キャッシュフロー極大化により投資財源確保、注力分野への重点投資継続」「北米新体制を核とした社会イノベーション事業の拡大」の3点を挙げた。

 「2015年4月に共生自律分散推進本部を設置し、制御を含めたプラットフォーム事業を推進することで、社会イノベーション事業推進本部体制を強化。日立グループ横断組織でノウハウを蓄積、活用できる体制を構築した。スマート情報システム統括本部を強化し、全社との連携やヘルスケアなどの注力分野への対応を拡大。IoTプラットフォーム専任組織の設置などで制御部門と連携し、通信ネットワークの技術力を生かしたIoT対応強化、IT×インフラの強みを生かしたソリューションの提供、顧客との協創を推進していく」

 上流コンサルティング、ITサービス、アナリティクス技術やノウハウ獲得などに取り組むとし、齋藤氏は「フロント機能では営業とコンサルティングの体制強化を図る。業種コンサルティングのClerantを買収。ビッグデータ分析やBI(ビジネスインテリジェンス)によるナレッジ活用で上流コンサルティングを強化。新興国でのITサービス強化のほか、SAPクラウドサービスやマネージドサービスのoXyaの買収、東京電力とともに立ち上げた日立システムズパワーサービスによる業界向けクラウドサービスを提供できる体制を整えた。2015年度は社会イノベーション事業拡大に向けた重点投資の実行、買収会社を活用した事業拡大と日立グループ全体で活用拡大に取り組むことでリターンの最大化を図る」と語った。

 2013〜2015年度の社会イノベーション事業への投資累計額は2200億円を想定している。

 北米市場では、日立データシステムズ、日立コンサルティングの関連組織を集約した社会イノベーションユニットを4月に新設。Pentahoのデータ統合、分析、可視化技術を活用したビッグデータ利活用基盤の強化に取り組んだほか、グローバルでのサービス事業展開強化に取り組む姿勢を示した。

 「クラウドの動きは米国で進展しており、その点でも北米に社会イノベーションユニットを設置した。クラウドはサービスインテグレーションの事業だ。さまざまなものを扱いながら、最適なものを提案できる体制を整える」

 現在、日立データシステムズは世界140カ国以上で展開し、約6800人の従業員を有しており、日立コンサルティングは世界26カ国に展開し、約6500人の従業員を持つという。「1万3000人を活用し、さらに人財ポートフォリオを変えながら、グローバルでの社会イノベーションの拡大を図る」

 システムソリューション事業に関しては、「フロント体制の強化による大型SI案件の完遂と新規案件の獲得」「高収益型サービス事業の拡大」に取り組む。

 フロント体制の強化では、日立ソリューションズの再編によるリソースの集約、一体運営で金融、公共、社会分野を中心に約4000人、インフラシステム社の電力・交通分野、情報システム事業の管掌変更により約500人をあわせた合計約4500人規模で体制強化を図り、柔軟な人財活用を行うほか、メガバンクや地銀などの金融分野で大規模システム対応、年金一元化やマイナンバー制度対応などの公共分野の大型SI案件への対応、電力自由化案件などの社会分野への対応強化を図るという。


齋藤氏は「今後のイノベーションは、顧客接点からの段階から、すべての領域をカバーしなければならないと考えている。それぞれの人財を多能工として育成し、垂直統合での提案ができるようにしていく」と述べた。

 2015年度のシステムソリューション事業の売上高構成比は、金融3割、産業・流通3割、公共2割、社会2割となっている。

 サービス分野での2013〜2015年度の年平均成長率は、SIが5.7%、業務運用サービスなどは13.6%と高い伸びとなっている。

 東京電力とともに設置した日立システムズパワーサービスに代表されるナレッジをベースしたソリューション提案、顧客課題解決型サービスの拡大に取り組むという。プラットフォーム事業では、ポートフォリオの転換、加速を掲げ、サービスプラットフォームの強化と構造改革の実行に取り組む。

 「サーバ、ストレージ、ソフトウェアといったモノを扱うような製品事業部隊は縮小しながら、サービスを提供できるプラットフォームを扱う部隊を強化。ITをイノベーションに活用するサービス事業に拡大する」とした。また、「製品事業について集中と選択の中で売却というのもありうる」とも語った。

 執行役専務で情報・通信システム社 プラットフォーム部門 最高経営責任者(CEO)である北野昌宏氏は「メインフレーム、UNIXの事業成長はないが、活用している顧客にはしっかりと対応していく。IAサーバは成長しているが、すべてを取り揃える必要もないと考えている。製品のバリエーションを見直していきたいと考えている。ソフトウェアに関しても、クラウドでの利用、オープンソースでの活用もあり、ここでもすべて揃える必要があるのかどうかという観点で考えていきたい」と述べた。

営業利益率7%超えを狙う

 サービスプラットフォームの強化では、M&Aによるタイムトゥマーケットを短縮するとともに、成長分野へリソースを集中させる。構造改革の実行として、2015年度には100億円規模で投資し、「ソフトウェアの高付加価値化、差別化機能への開発フォーカス、日立グループの社会イノベーション事業のサービスプラットフォームの構築、PentahoとoXyaの活用によるグルーバル事業の強化を図る。従来の製品は選択と集中を行い、国内事業についても最適化する」と述べた。

 人員配置を2014年度には情報製品事業で65%、システム構築と通信ネットワーク機器事業で35%だったものを、2015年度には人員を全体で国内で2割を削減する一方で、サービス事業で40%、情報製品で30%、通信ネットワーク機器事業で10%の体制へと大胆にシフトする。

 グローバル事業展開では、北米モデルの各地域への展開による、自律分散型グローバル経営の確立に取り組み、日本、北米、アジア、中国、中東・欧州・アフリカとロシア(EMEA/CIS)を結んだ社会イノベーション事業推進体制を構築。2015年度の海外売上高は7620億円、海外人員数は2万4500人とする。

 そのほか、構造改革プロジェクト「Hitachi Smart Transformation Project(スマトラ)」に関して情報・通信システム事業では、2015年度見通しで225億円のコスト削減効果を想定。2011〜2015年度に累計で650億円のコスト削減効果を見込んでいる。

 情報・通信システム事業でのサービス事業の構成比は、2014年度実績で64%。2015年度見込みで65%超を計画しており、「製品保守や業務運用などのサービス売上高は拡大傾向にあり、所有から利用への顧客ニーズに応じて高収益なサービスを拡充している」(代表執行役 執行役社長、最高財務責任者=CFOの中村豊明氏)とした。

 同社は、2015年度を最終年度とする「2015中期経営計画」に取り組んでおり、「過去低迷を続けてきた時期があったが、2010年度からの中期経営計画では構造改革に取り組み、さらに2013年度からの現中期経営計画では、構造改革と成長戦略を実行し、1989年に達成した過去最高の営業利益率7.1%を目指して、今年度は7%超に取り組む。世界で戦える企業への変革を進めている」(中村氏)などとした。

 情報・通信システム事業では、「グローバルメジャープレーヤーを目指した事業拡大、収益力強化を目指す」(齊藤氏)とした

2015年 6月11日
ZDnetJapan

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日立グループに属するグローバルコンサルティングファーム。日本企業のグローバルな活躍を支援することを目的としたコンサルティングファームとして2002年に設立され、コンサルティングファームならではの企業マネジメントへの革新的なアプローチと、グローバル企業体である日立製作所およびグループ企業の各研究機関や事業グループと連携した「人財・知財・商財」の戦略的活用の融合による新ビジネス創生(イノベーション)を目指している。

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