【タナベ経営】中期経営計画はチームコンサルの総合力で増収増益を継続＝タナベ経営がＩＲ説明会

日本の経営コンサルティングの草分け的存在であるタナベ経営は２０１５年９月１日、東京・銀座でＩＲ説明会を開催した。同社代表取締役社長の若松孝彦氏は、２０１６年３月期第１四半期決算を売上高が前年同期比９．７％増、営業利益が同５５．５％増と好調なスタートを切った今期業績の背景と、２０１８年３月期の創業６０周年に向けた中期経営計画について説明した。ＩＲ説明会はモーニングスターの主催で開催。予定していた１５０席に対し、１５０名を超える来場者を迎えるほどの盛況となり、集まった個人投資家は最後まで熱心に若松社長の話を聞いていた。

　若松氏は冒頭に、同社の掲げる「企業を愛し　企業とともに歩み　企業繁栄に奉仕する」という経営理念に触れ、「経営理念の中に『企業』という言葉が３度も出てくるほど、『会社』とともにある」と事業の特性を説明。創業者である田辺昇一氏が「勤務先の倒産という経験を経て、“会社を救う”という社会貢献度の高い仕事に生涯をかけようと決意し、コンサルタントという言葉も一般的でなかった時代に、京都において『田辺経営相談所』を開設したところから、当社の歩みが始まった」と会社の生い立ちを紹介した。

　現在、本社を大阪市に置き、従業員２９８名（２０１５年６月末現在）、東証ＪＡＳＤＡＱに株式を上場するまでになったが、「創業者の志を忘れず、『ファーストコールカンパニー（１００年先も顧客から一番に選ばれる会社）を数多く創造する』という目標に向かってまい進している」と語った。

　また、同社の主力事業である「経営コンサルティング」の特徴を「企業の課題（病気）を診断し、的確な判断（治療）を提供するビジネスドクターにたとえるとわかりやすい。当社では業界別・経営テーマ別の専門的な知識・経験を持つコンサルタントがチームを組んで企業支援にあたるので、病院にたとえると専門病院ではなく総合病院といえる」という。そして、経営コンサルティングの５つのテーマ（事業戦略・収益構造改革・組織デザイン・経営システム構築・事業承継）の中では、「近年は事業承継に関するコンサルティング依頼が増えている」とした。

　そして、事業承継にも関連して、人材育成に関するコンサルティングのニーズが高く、「顧客ごとのオーダーメイド型の育成プログラムは、役員・幹部人材向け、営業社員・新入社員の育成など様々なニーズがある。また、提携先である地域金融機関向けの人材育成研修や、金融機関の融資先の人材育成など、人材教育分野の依頼は広がっている。加えて、経営者・後継者から新入社員までを育成するセミナープログラムがあり、全国で２０００名規模のセミナーも実施している」と語った。

　若松氏は、経営コンサルティングにおけるタナベ経営の強みについて、「北海道で５０年、沖縄で３０年など、全国で地域に密着したコンサルティングを展開し、タナベ経営ほど全国の中堅・中小企業を知っている会社はないといえるほどの実績」をあげた。創業以来のコンサルティング社数は５０００社以上におよび、定期的な情報提供を行う有料会員数は１万１０００社を超える。

　一方、販売促進やマーケティング戦略を中心にコンサルティングを行うＳＰ（セールスプロモーション）コンサルティング事業は、販促企画の立案から、ノベルティ等の開発、販売チャネルの開拓など、企業成長を直接支援している。ここでは、全国の８０００幼稚園との提携によって、園児のママを対象にしたグループ・インタビューによって、ニーズの高いノベルティなどの開発につなげるユニークな取り組みなどを紹介していた。

　最後に、２０１８年３月期を最終年度とする中期経営計画について説明した。「創業６０周年の節目に、売上高８６億円（１５年３月期実績は７８．６５億円）、経常利益９億円（同８．０８億円）をめざす。売上高経常利益率１０．５％（同１０．３％）、ＲＯＥ６．４％（同３．３％）を実現したい」と力強く語った。特に、経営コンサルティングにおいては、契約期間が長期で安定的なサービス（経営コンサル・人材育成・研究会や経営者勉強会への参加）を提供する「ロイヤルカスタマー」の拡大に注力。１６年第１四半期ではロイヤルカスタマー社数が１０００社を超えているが、一段と拡大したいと語っていた。

　なお、個人投資家からの質問に答えて若松氏は、自身がコンサルタントとして長年の企業支援にあたってきた経験を踏まえ、「当社の創業時にベンチャーだった企業も、当社と同じく５０周年、６０周年を迎えており、経営者も２代目、３代目に代替わりしているが、変わらずお取引いただいている企業が少なくない。それほど長く続く企業の中にも、後継者を定められず、事業承継を課題としているところもある。当社では、企業として事業を成功させて経営者の採点は５０点、次世代に引き継ぐ事業承継を成し遂げて１００点と言っている。経営者にとって、事業承継は弱点のひとつ。多くの企業とのリレーションを持つタナベ経営だからこそできる事業承継支援がある。これからも、企業の成長・発展のために頑張っていきたい」と語った。

2015年 9月7日
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タナベ経営
中小企業に対しての営業活動からコンサルティングまでを一貫して行うスタイルで、企業の永続発展を支援する典型的日本の経営指南会社。設立から50年以上もコンサルティングサービスを提供している日本を代表する国内独立系コンサルティングファーム。

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