野村系、ＨＴＢ支援決定　資本金１１０億円注入　設備拡充へ百数十億円

　会社更生手続き中の長崎県佐世保市の大型リゾート施設運営会社ハウステンボス（ＨＴＢ）の桃尾重明管財人は三日、支援企業（スポンサー）を野村証券系の投資会社、野村プリンシパル・ファイナンス（野村ＰＦ、東京）に決めたと正式発表した。ＨＴＢが１００％減資した後、野村ＰＦが百十億円の資本金・同準備金を注入。ＨＴＢは国内最大の証券会社系投資ファンドの子会社として再出発する。

　施設内で記者会見した野村ＰＦの川端芳文社長は「今のハードを最大限に活用し、イベントなどを魅力あるものにすれば再生できる。日本有数の滞在型リゾートにするために必要な設備を加えたい」と強調。総額百数十億円規模の設備投資を行う方針を示した。

　さらに、運営方針として、「ヨーロッパをイメージした滞在型リゾート」を掲げ、集客策として、温浴施設や国際会議場の新設、ブライダル事業強化などを挙げた。

　同社は最高経営責任者を派遣し、直接運営するが、財務などの分野でノウハウのある企業と提携する。パートを含めて約千六百七十人の従業員の削減は一部にとどめる。

　支援企業選定では、米投資会社リップルウッド・ホールディングスなど四社が最終候補に残っていた。桃尾管財人は野村ＰＦを選んだ理由について「弁済額が最も高く、野村グループは九州経済圏でも活躍し、地元の産業界ともつながりがある」などと説明した。

　同社は今後、弁済金額など最終的な詰めの交渉を行い、十月末をめどに正式契約を締結。十一月に事業管財人を派遣し、桃尾管財人らと来年三月末までに更生計画案を作成する。資本金などの注入は、更生計画案認可後、二〇〇五年三月までに順次行う方針。

　ＨＴＢは一九九二年三月に開業。巨額の借入金が経営を圧迫。今年二月、約二千二百八十九億円の負債を抱えて会社更生法適用を申請した。

■着実な再生期待

　金子原二郎・長崎県知事の話

　（オリエンタルランドの断念など）、紆余（うよ）曲折あったので支援企業が決まり、ほっとした。世界的な企業である野村証券グループが責任を持って経営をやるということなので安心している。ＨＴＢに対しては全国から応援を頂いており、県としても着実な再生を期待している。従業員の雇用確保、取引継続などもお願いしたい。

■うれしいの一言

　光武顕・佐世保市長の話

　（支援企業決定を）今日か明日かと待っていた。うれしいの一言に尽きる。ＨＴＢは九州観光の中核として認められていて、長崎県外からの支援、励ましも多い。韓国や中国からの観光客も多いなど知名度が高く、ＨＴＢの発展が九州全体の活性化につながるような重要な存在。一日も早く再建のめどが立つよう、佐世保市もできる限り支援を続けたい。

■野村ＰＦ

　証券最大手の野村証券グループがもつ資金と人材を活用した国内投資会社。野村ホールディングスの１００％子会社で、２０００年７月に設立。資本金は８９億３５００万円。経営破たんした機械メーカーの富士車両（大阪市）などの再建に携わる一方、ゴルフ場運営のミサワリゾート（東京都）に出資してゴルフ場再生ビジネスにも進出。経営コンサルティングなども手掛ける。これまで８社に投資し、うち２社を売却した。０３年３月期は売上高にあたる営業収益が２８億円、純利益は１１億円。

2003年 12月11日
西日本新聞

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