movin:

本日はお忙しい中お時間を頂き誠に有難うございます。
早速ですが、日本経営の事業領域やサービス内容に関して簡単にお聞きできますか。

横井様：

日本経営グループはヘルスケア業界に特化した経営コンサルティングサービスを提供する会社です。財務、人事、戦略、利益改善、教育研修、ICTなど経営課題に対して、複合的なサービスを提供しています。現在も日々新たなコンサルティングサービスの開発を行っています。

movin:

ヘルスケア業界というのは、もう少し具体的に言うとどのような企業ですか？

横井様：

医療機関や介護施設、医療関連企業です。医療関連企業というのは、製薬会社、医薬品卸などです。また、これから新しくヘルスケア業界に参入したいと考えている企業も含まれます。顧客数の割合としては、おおよそですが、医療機関が約7割、介護が約2割、医療関連企業が約1割です。

movin:

医療機関の中で、病院とクリニックの割合はどうですか？

横井様：

件数では、病院が約35%、クリニックが約65%となっており、クリニックの方が多いですが、ここ数年、病院の件数が増えてきています。

movin:

財務、人事、戦略、利益改善、教育研修、ICTと本当に幅広くコンサルティングサービスを提供されていらっしゃると思いますが、逆にまだ対応できていない領域などはあるのでしょうか？

横井様：

医療機関に対するICTコンサルティングは、まだまだ伸びる余地があると思っています。私どもが手掛けているのは勤怠管理システム、院内研修、リスクマネジメント等のグループウェアの導入が中心ですが、健診データの活用やマイナンバー制度の施行に伴って医療機関においてもこれからICTのニーズはより多様化してくると思っています。

movin:

日本経営グループのこれまでの沿革についてお伺いできますでしょうか。

横井様：

会計事務所として昭和42年に創業したのが、当グループの始まりです。当初は地元の中小企業が顧客の中心でしたが、創業から10年少し経った昭和55年頃から医療業界に特化して展開してきました。その背景としては、昭和53年までは租税特別措置法26条で、1億の保険収入があれば7,200万が自動的に経費で認められるという措置がありました。それが崩れかかっていく時期と丁度重なっていたこともあり、業種特化に成功することができました。
税務会計を中心に医療業界に特化したコンサルティングサービスを開始し、その後、およそ3潤ｵ5年毎に新たなコンサルティングサービスを開発しました。その結果、現在のように経営全般のコンサルティングを行うに至っています。
そして今も新たなコンサルティングサービスの開発プロジェクトが部門を横断して立ち上がっています。これらのプロジェクトから部門に発展し、更には将来の当グループの柱となる事業になってくれると思っています。

movin:

お客様のニーズに応えていった結果、様々なサービスを提供することになったのですね。日本経営の経営理念やビジョンはどのようなものなのでしょうか？

横井様：

基本理念は「全従業員とその家族の幸福を追求するとともに、その幸福に気付いて感謝できる心を育み、社会の成長発展に貢献する」です。ここには大きな要素が二つあります。一つが「社会の成長発展に貢献する」ということで、具体的には、医療介護経営の安定化を通じて社会に貢献していこうということです。今後の我が国の財政が厳しくなる理由の一つとして、医療費が40兆円から50兆円に増えていくことがあります。一方で、医療費を下げると病院が倒産してしまい、我々の生命や健康に影響を及ぼす可能性があります。非常に難しい問題ですが、病院の経営をもっと良くしていくことに１つの解があると考えており、そこに当グループの使命があると思っています。そうすると医療の安定化と国の財政の安定化の両方を満たし、社会の成長発展に貢献することができると考えています。
もう一つは、「全従業員とその家族の幸福を追求する」ということです。社会に貢献していくためには、そこで働く社員の幸福や仕事を通じたやりがいが欠かせませんし、社員の幸福だけでなく家族まで含めていることが当グループの特徴だと思います。また、当グループではパート社員まで含めた全従業員の人間性の向上、つまり心の成長に関する教育に非常に力を入れています。

movin:

なるほど、それで先日発表された働きがいのある企業ランキングでも日本経営はかなり上位の方に入っていらっしゃるんですね。

横井様：

そのように受け止めています。P&G、Googleなど錚々たる顔ぶれの中にランクインさせていただいています。

movin:

具体的にはどのような取り組みを行っていらっしゃるのですか？

横井様：

例えば、入社式はご両親にお越しいただいています。これはご両親にも会社の考え方をきちんとお伝えするためです。また、入社三年後にはご両親と本人を交えた三者面談を行っています。会社での取り組みや本人の良い点・課題などを共有させていただくことで、本人とご両親のコミュニケーションを深めてもらいたいと願っています。
他にも、クリスマスパーティーは家族同伴で一年の労を家族の方と労ったり、結婚記念日や配偶者の誕生日には会社からプレゼントを贈呈したりしています。また、子供が産まれるとなれば、職場全員で社員が子供の出産に立ち会えるように協力しています。
昨年からは子ども手当（幸せ一時金）の支給も始めました。これまでも出産時の一時金はあったのですが、小学校、中学校、高校、それぞれへ進学する毎に一時金をお支払するようになりました。

movin:

本当にいろいろな取り組みを行っていらっしゃるのですね。

横井様：

ただ、「全従業員とその家族の幸福を追求する」だけでなく、「その幸福に気づいて感謝できる心を育む」という点も非常に重視しています。幸福を追求するための福利厚生制度が、社員の権利意識になってしまうと健全な経営はできません。そのため、社員教育等を通じて、そういう職場を守っていけるように皆で一生懸命頑張っていくという、謙虚で感謝する心を持つことにも非常に力を入れています。