あまり知られていないマーケティングリサーチ業界の中身ですが、企業の商品開発、事業戦略などにおいて非常に重要な役割を担っています。あの商品も、あのサービスも、実はリサーチを基に作られている、というものが多いのです。
まずは業界においてどのくらいの市場規模なのか見ていきましょう。
リサーチを特に取り入れている国としてはアメリカ、イギリスと続いており、世界で2.4兆円、そのうち約半分の1兆円がアメリカでの市場規模となっております。
では日本は?ということですが、以下が日本におけるリサーチ業界の市場規模推移になります。
※世界のマーケティングリサーチ業界 市場規模(単位:億ドル)
アジア地域においては日本はトップの市場となっていますが、グローバルを見るとまだまだ成長性のある業界と言えます。また日本のリサーチ企業では国内だけでなく、海外への進出も行っておりますので、企業単位での売上高も今後伸びていくと予想されます。
もっともリサーチを使う業界はグローバルでメディア、広告、エンタメ業界、次いで医療、製薬でこの二つで約半分以上を占めています。また政府・公共系、消費財、コンサルティング業界が続いていますが、
リサーチの実例をご紹介しながら、どんな場面でリサーチャーが活躍しているのか見ていきましょう。よりリサーチ業界が理解できると思います。
この事例については有名な話で、色々なサイトで紹介されておりますが、ドライゼロの開発においてリサーチが大きな役割を果たしました。
アサヒではすでにノンアルコールビールのブランドとして「ダブルゼロ」という商品を発売していましたが、競合であるキリンビールの「キリンフリー」、サントリーの「オールフリー」などに勝てず、シェアはたった2%と大きく差が開いていました。
そこでアサヒでは、まずノンアルコールビールを飲む頻度や量、状況、ブランドイメージなどの市場調査、マーケティングリサーチから行うことで新商品開発を始めます。
(ノンアルコールビールやビールを飲む頻度や量についての「予備調査」を実施し、その後本調査を2回実施。延べ対象者数は1000人という規模)
リサーチを行うことで、
・ビールをいつも飲んでいるが、翌日仕事が忙しいときは控えたい
・休肝日を作りたい
といった理由でノンアルコールビールで飲む人がいることがわかり、それまでは妊婦や運転手、アルコールが飲めない人が消費者として想定していましたが、ビールを飲む人もアルコールを飲まないという選択肢でノンアルコールビールを飲んでいることがわかりました。
一方ブランドイメージとしては、競合製品は、
・健康的
・女性
といったイメージが強く、味もフルーティという評価が多く、ビールそのものとは違ったイメージを持っていることがわかりました。
アサヒとしては、こういったポジショニングイメージから空白だった
・男性的
・ビールに近い味
というポジショニングで「ドライゼロ」を開発し、ノンアルコール市場2位のキリンフリーを抜き、シェア24%を上回り首位を取ったそうです。
オーソドックスなマーケティングリサーチではなく、MROC調査と呼ばれる方法で市場調査をしたのがスターバックスです。
スターバックスが運営するコミュニティである"MyStarbucksIdea"では、顧客が同社に対するアイデアを提案し、同社より投票やコメントを受ける場となっています。"MyStarbucksIdea"にアイデアやコメントを投稿するためにはコミュニティに参加する必要があり、コミュニティ内では活発なアイデア提供が行われています。同社は、コミュニティ開設後6ヶ月で75,000件のアイデアが寄せられたと発表しています。
こうした方法もマーケティングリサーチの1つの手法であり、近年注目を集めています。
近年異例の大ヒットといわれる商品の一つに、明治の「ザ・チョコレート」があります。おしゃれなパッケージと、従来のチョコレートの二倍する価格帯でありながらのヒット。既存のチョコレートでは空白地帯であった商品を開発できた裏側には、緻密なマーケティングリサーチがあります。だからこそ、開発途中での社内の反対の声にも毅然とした対応により開発を進めることができました。事前のマーケティングリサーチによって、消費者からの声を集めていたからできたのです。
明治では、その他の商品開発においても同様のアプローチがなされています。例えば、「生活者研究」と呼ばれる、幅広い年齢層の食生活・趣味・交友・ファッション・健康意識といった全般に関する数々のデータを集めています。これは定量調査と呼べるものではないでしょうか。また、重視している調査の一つに、「グループインタビュー」があります。ふだん買っているデザートの満足・不満足な点を聞くことでニーズを探っています。もちろん、新商品やリニューアル商品の試作品を試食してもらいながら、商品をブラッシュアップしていくそうです。こちらは、定性調査の典型的なやりかたですね。さらには、発売後の商品の味の満足度や購入回数などを調査し、リニューアル等にもつなげていっています。
業績、規模が大きいマーケティングリサーチ企業を、グローバルと日本でご紹介いたします。
◆ニールセン
世界最大級のマーケティング調査・データ分析カンパニー。従来のマーケティングリサーチだけでなく、近年ではデジタルに力を入れており、デジタルコンテンツ・広告モニタリングツールや分析など様々なサービスを提供しています。
2017年業績:63億ドル
◆カンター
イギリスに本社を置くグローバル企業。日本においてはカンター・ジャパンとして活動しており、多岐にわたるマーケティングに関連するサービスを提供しています。
2017年業績:38億ドル
◆イプソス
パリに本社を置き、世界88カ国でリサーチ・サービスを提供している世界第3位のグローバル・マーケティング・リサーチ会社。
2017年業績:19億ドル
◆マクロミル
国内マーケティング・リサーチのリーディングカンパニー。現在は国内だけでなく、アジア・欧米を中心にグローバルに展開しています。特に創業時よりインターネットリサーチに強みがあり、ネット・ITの隆盛と共に急成長した日本を代表するリサーチ会社です。
◆ビデオリサーチ
テレビ視聴率調査などメディア・リサーチのリーディングカンパニー。多くの人に馴染のある視聴率サービスを手掛ける企業です。その他、マーケティングリサーチサービスを幅広く手掛け、複合的なソリューションを提供しています。
◆インテージ
世界でもTOP10に入るマーケティングリサーチ企業。市場調査分野では日本で唯一小売店パネル、消費パネルの両調査網を持つリーディングカンパニーです。
定量調査
選択肢回答形式のアンケート調査などで取得したデータを数値化して分析する手法。数値化された情報が元になるため、全体の構造や傾向が把握しやすい。
定性調査
グループインタビューなどの形式で言語情報を中心に収集して分析する調査手法。個人の意見の細かいニュアンスや、深層心理の情報を把握しやすい。
パネル調査
「パネル調査」とは、調査対象者を長期間固定して継続的に調査を行うこと。同じ内容の調査回答が時間によってどのように変化していくかを分析する。
アドホック調査(ネット調査・インタビュー・該当)
単発調査。調査設計・調査票の設計・対象者の抽出・実査・集計・分析のすべてが1回限りで完結し、そのときごとにオーダー・メイドで行われる調査。
その他データ集計・分析
おすすめ求人
【未経験者歓迎】世界有数のリサーチ会社でリサーチャーを募集!
世界有数の規模を誇るマーケティングリサーチ会社の日本支社。
リサーチ企画、営業、実査、集計、分析、レポート作成などの各業務を担当いただきます。
映画業界に特化したマーケティングデータ分析、レポートを行って頂きます
エンターテイメント業界(特に映画業界)に特化した、マーケティング会社
映画業界においての独自のデータベースを使った分析フレームワーク/レポートの開発や、映画業界のマーケティング施策についての提案・インサイトの提供。
コンサルタントへ転職をお考えの方、コンサルタントから転職をお考えの方に、コンサルティング業界転職支援実績No.1の人材紹介会社、株式会社ムービンが圧倒的な業界知識を提供する転職支援サイトです。弊社キャリアコンサルタントはコンサルティング業界出身であるためコンサル経験者にしか出来ない転職コンサルティングを致します。キャリアチェンジをお考えの方はぜひ一度我々にご相談ください。
株式会社ムービン・ストラテジック・キャリア
copyright (c) Movin Strategic Career CO .,Ltd. All Rights Reserved.
Copyright (c) movin CO .,Ltd. All rights reserved.