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コンサルティング業界特集
日経ビジネスAssocie×日経キャリアNET
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コンサルティング業界は今、どんな時代を迎えているのか。
コンサルタントにはどのような役割が期待されているのか。
コンサルティング業界を目指すビジネスパーソンに向けて、
ボストン・コンサルティング・グループでコンサルタントとして活躍し
現在はコンサルティング業界に特化した人材サービスを手がける
神川貴実彦氏に話を聞いた。
ムービン・ストラテジック・キャリア 代表取締役
神川貴実彦氏
早稲田大学法学部卒。ボストン・コンサルティング・グループでコンサルタントを務めた後、1997年に独立しコンサルティング業界に特化した人材紹介会社を設立。

■業界の成長と多様化で転職市場も変化

 「近年、コンサルティング業界は順調に成長し、規模の拡大とともに認知度も上昇しています。景気の波や産業の循環に応じ、主流となるテーマやコンサル ティングを必要とする業界は変化しますが、コンサルタントが活躍する場が広がっていることは間違いありません」。こう語るのは、元ボストン・コンサルティ ング・グループのコンサルタントであり、現在はコンサルティング業界の転職サポートを行うムービン・ストラテジック・キャリアの代表取締役を務める神川貴 実彦氏だ。

 コンサルティング業界の流れを振り返ると、2000年代初頭はIT関連のプロジェクトが注目を集め、ITバブル崩壊後は企業再生がブームとなった。景気 回復局面ではM&Aや新規事業参入が一大テーマとなり、その後、リーマン・ショック以降の景気低迷に伴いコスト削減プロジェクトが増加。世の中の流れと業 界の主流テーマは、密接なかかわりを持っている。「近年はアジア進出など企業のグローバル化を支援するプロジェクトが多く、今後のコンサルティング業界の 大きなテーマに位置づけられるでしょう。たとえば、グローバルビジネスを展開する企業に対して国や地域の枠を超えた企業・商品イメージ構築をサポートする ブランドコンサルティングは、近年メジャーになっている分野の一つ。IFRS(国際会計基準)導入など、時代の要請に即したテーマに注力するコンサルティ ングファームもあります。また、専門分野に特化したコンサルティングファームの増加も最近の傾向です」。

 一例として挙げられるのが、医療や介護といった事業を経営面からサポートするコンサルティングファームの台頭だ。少子高齢化や医療費負担の増加などを背 景としてコンサルティングのニーズが高まり、専門コンサルティングファームがIT導入や病院・クリニックのM&A、マネジメントの効率化といったサービス を提供している。また、一つのコンサルティングファームのなかで「コンビニ専門」「美容院専門」といったように業界を細分化し、コンサルタントのチームを 擁するところもある。

 「価格設定を専門とするところもあれば、物流など特殊な領域に特化しているコンサルティングファームもある。ビジネスのあらゆる局面で次々とコンサルティングのニーズが生まれ、今や“課題あるところにコンサルタントあり”という状況です」。

 今後も業界の成長が見込まれ、コンサルティングサービスの多様化が進むなか、転職市場にも変化が表れている。「コンサルティング経験者が増えたことで、 近年、業界の転職市場の規模は拡大しています。景気低迷期は即戦力となる経験者の採用が多い傾向にありますが、未経験者であっても、特定のテーマや産業に 関して知見を持つ人材が採用されるケースは少なくありません」。

■コンサルタントに期待される役割とは?


コンサルティング業界の基礎知識や採用試験対策など、コンサルタント志望者向けの情報がまとめられている
『コンサルティングの基本』
(日本実業出版社、神川貴実彦編著、1575円)。
 コンサルタントの主な役割を端的に表せば、クライアント企業が抱える何らかの経営課題についてそれを明確化し、解決するための助言を行うことと言える。 この役割を果たすために必要な機能・付加価値とは何か。神川氏は、コンサルタントの「スキル・専門知識」とコンサルティングファームの「ノウハウ・権威」 「中立的なポジショニング」を挙げる。

 「クライアントとなる事業会社は日々のオペレーション遂行に多くの人材を投入して利益を上げており、通常業務とは異なる経営課題に人材を割くのは困難な 場合が多いと言えます。そこで事業戦略立案や業務改善のプロフェッショナルとして、スキルや知識を持つコンサルタントのニーズがあるわけです」。より具体 的に言えば、コンサルタントには、クライアントの業界や企業風土に左右されずゼロベースで思考するスキル、課題解決のためのプロジェクトをマネジメントす るスキル、クライアントからプロジェクト遂行に必要な情報を引き出すファシリテーションスキルなどが求められるという。

 コンサルティングファームに期待される役割としては、まず第一に蓄積してきたノウハウから最も効果的かつ効率的な方法を提供することが挙げられる。さらに、実際に果たすべき機能には「コンサルティングファームであることそのもの」に意義が見いだされるものも含まれる。

 「クライアントがコンサルティングファームの“権威”を借りるために依頼するケースも少なくありません。すでに答えの出ている課題に対して、社内の反対 派説得のために、その答えを伝える役割をになうわけです。また、従来の施策に対して批判的な意見について、第三者として中立的な立場で諌言することが期待 される場合もあります」