
■コンサルタントにはどんな資質が求められるか

「確かに論理的思考力は重要な資質で、ベースとしてさまざまな思考ツールを使いこなせる知識も求められます。コンサルタントを目指すなら書籍などで勉強 しておくことが必要ですし、逆にいえば、その程度の準備ができなくては業界に入ってから苦労することになるでしょう」と話す。
論理的思考力に加え、コアスキルとなるのが対人関係構築能力。先に見たコンサルタントの機能からわかるように、実際のプロジェクトを遂行する際には、ク ライアント企業の担当者から必要なデータをもらったり、現場社員へのインタビューを行ったりすることもある。「課題分析のベースとなる情報を引き出すに は、コミュニケーション力が必須です。また、立案した戦略を実行に移す際は現場の人々から同意を得る必要があります。一般に人は変化をきらいますから、実 行には反発を受けることも少なくありません。それを受け容れてもらえるかどうかが、プロジェクトの成否を左右するのです」
また、見落とされがちな資質としてビジネスセンスが挙げられるという。「コンサルティングの結果として、最終的にクライアント企業が利益を上げなければ 意味はありません。ビジネスセンスは、最も重要な資質と言っていいかもしれませんね。その意味で、コンサルタントへの転職を目指す方は、現在の仕事におい ても『いかにしてより多くの利益を上げるか』を考え、実行することを勧めます。会社が抱えている課題は何か、どんな打ち手があるかを常に考えるという姿勢 を持つことが求められると思います」
■経験を積めば多様なキャリアの可能性が広がる
自身のコンサルタント時代を振り返り、「タフさが求められる厳しい仕事であることは間違いありません。私の場合、当時は毎日深夜まで仕事をするのが当然 でした」と語る神川氏。3カ月~半年程度のプロジェクトを常に二つ以上抱え、ときには人手不足のプロジェクトに急に駆り出されることもあったという。
「若いときに、厳しい状況を自分にとってのスタンダードに設定できたのは良かったかもしれません。その後の仕事は、コンサルタント時代に比べれば楽に感じますから」と笑う。
しかしハードワークに邁進する毎日のなかで、コンサルタントという仕事に得難い魅力も感じていた。「一般に若手社会人は、組織のピラミッドのなかで下位 に位置づけられ、現場の仕事をするものですよね。その点コンサルタントは、若いうちから大手企業などの経営陣と直接やりとりしながら全社的な事業戦略にか かわることができます。これは言うまでもなく、大変にやりがいのある仕事です。また、一般的な事業会社で働く場合は周囲の人や仕事が均質化されがちです が、コンサルタントは若いうちからさまざまな業界や企業についての知見を得られます。こうした体験から受けた刺激は非常に大きかったですね」
コンサルタントとしてキャリアを積んだビジネスパーソンには、その後、政財界や大学などの教育機関で活躍する人も多い。「投資ファンドが買収した企業 に、経営者として迎えられたケースもあります。コンサルティング業界で実績を積めば、その後のキャリアの可能性を広げられることも魅力の一つだと思いま す」
書籍名 | 著者名 | 出版社 |
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ロジカル・シンキング | 照屋華子/岡田恵子 | 東洋経済新報社 |
考える技術・書く技術 |
バーバラ・ミント 山崎康司(訳) |
ダイヤモンド社 |
問題解決プロフェッショナル 「思考と技術」 |
齋藤嘉則 | ダイヤモンド社 |
問題解決プロフェッショナル 「構想力と分析力」 |
齋藤嘉則 | ダイヤモンド社 |
仮説思考 BCG流 問題発見・解決の発想法 |
内田和成 | 東洋経済新報社 |
MBAシリーズ | グロービス・マネジメント・ インスティテュート |
ダイヤモンド社 |
企業参謀ー戦略的思考とはなにか | 大前研一 | プレジデント社 |
論理力を鍛える トレーニングブック |
渡辺パコ | かんき出版 |
意思決定のための「分析の技術」 | 後 正武 | ダイヤモンド社 |
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