【シンガポール】電通子会社、金融機関向け事業に本腰

電通子会社の電通国際情報サービス（ISID）は、シンガポールの現地法人ISI―電通サウスイーストアジア（ISIDシンガポール）を通じ、日系金融機関向けシステム化支援事業の展開に本腰を入れる。来年3月までに専門の技術者をISIDシンガポールに派遣するなどして体制を整備。東南アジアを中心に銀行業務システムの導入・販売を加速する。

　ISID本社（東京・港）の広報担当者は12日、NNAに対し、「銀行業務全体を網羅できるシステムを提供していくが、特に力を入れるのはバックオフィス業務向け」と当面の戦略を説明した。また、顧客の要望に応じ、インドなど東南アジア周辺地域での顧客サポートも行う。
　
　製造業向けを主力としていたISIDシンガポールを、今年度（今年4月〜来年3月）中に金融機関向けを中心とする事業体制に改編。顧客支援をさらに強化するため、専門技術者らを置く。
　
　先行して金融機関向けシステムを手掛けている中国の現地法人、上海電通信息服務（ISID上海）とも連携。同社の開発体制も活用し、顧客ニーズに対応できる開発を推進していく。
　
　「日系金融機関が、欧米や中国に次いで、東南アジアでも事業を拡大しようとしている。30年以上にわたる当社の海外での金融機関向けシステム販売事業のノウハウを生かす機会」と判断。域内の金融ハブとしての機能を担うシンガポールを中核に据えることにした。東南アジアでは、「金融機関の現地法人や支店の間で、各国・地域に根差した事業を視野に入れたシステムを構築しようという動きが広がっている」という。
　
　ISIDは、1975年の設立当初から日系金融機関の海外事業向けシステム事業を展開。上海、ニューヨーク、ロンドンに拠点を持ち、欧米や中国などに進出する都市銀行や地方銀行に対する為替の集中管理システムやバックオフィス用システムの受注実績を積み上げてきた。
　
　■製造業向けは縮小
　
　ISIDシンガポールの中核である製造業向け製品開発業務用システム化支援事業は縮小する。今月31日付で、ISIDシンガポールとマレーシア、タイにあるグループ会社の事業を現地企業に譲渡することを決めた。
　
　ISIDシンガポールの関連事業とISID子会社のISI―電通サウスイーストアジア（マレーシア）をシンガポール企業のサンウエー・テクノロジーズ（アジア）に譲渡。持分法適用のISIDサウスイーストアジア（タイ）については、事業を現地企業のマテリアル・オートメーション（タイ）とニュー・システム・サービスに譲った後に解散する。
　
　製造業向けでは、日本と同様の製品開発環境をつくることを目的に、CADソフトウエアなどの販売・保守・技術支援の各サービスを提供してきた。だが、顧客の間で、現地で独自のシステムを選定、導入する例が増えていることから、事業を縮小する方が得策と考えたようだ。
　
　ISIDシンガポールはISIDの全額出資子会社で1992年の設立。

2009年 5月8日
NNA

電通国際情報サービス（ISID）
株式会社電通と米ゼネラル・エレクトリック社との合弁により設立。設立当初から、業界トップクラスの企業と直接取引きし、数多くのプロジェクトを成功させてきている。豊富な経験により蓄積されたお客様の業務知識、最先端技術に関する知見とお客様の要求に対して最適なシステムを提案、構築する力が強み。コンピュータによる設計開発の技術支援や、インターネットを活用したシステム構築などでは、他社に先駆けて数多くの実績を残しています。

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