「医師としての経験を活かしながら、より安定した環境で働きたい」「社会貢献度の高い仕事に携わりたい」といった志向の方に注目されているのが矯正医官というキャリアです。
矯正医官は、刑務所や少年院などの矯正施設で受刑者・被収容者の健康管理を担う国家公務員医師です。
本記事では、矯正医官の仕事内容や採用動向、転職するメリットについて詳しく解説します。

矯正医官とは、法務省の管轄する刑務所や少年院などの矯正施設で受刑者や被収容者の医療を担当する医師のことです。
一般の病院やクリニックとは異なり、矯正施設内での医療を提供するため、限られた環境の中で診療を行う特殊な職務となります。主に内科や精神科の診療が中心ですが、歯科や外科など幅広い分野の知識も求められることがあります。
矯正医官は国家公務員としての立場を持ち、公務員医師としての安定した待遇を受けることができるのも特徴です。

近年、矯正医官の採用は積極的に行われています。
背景には、刑務所や少年院における医師不足が深刻化していることがあります。特に、精神科医や内科医の需要が高く、高齢受刑者の増加に伴い慢性疾患の管理が必要となっているためです。
採用試験は、法務省が実施する「矯正医官採用試験」を受験することで応募可能です。試験は年に1回程度実施され、合格後は矯正施設への配属となります。
今後も矯正施設における医療体制の充実が求められており、矯正医官の需要は引き続き高まると考えられます。

矯正医官の主な業務は、矯正施設内での受刑者や被収容者に対する診療・健康管理です。
日常的な診療業務のほか、病状の管理、服薬指導、予防医療の実施など幅広い業務を担当します。特に、生活習慣病（高血圧・糖尿病など）の管理や、精神疾患の診療が重要な役割を持ちます。
また、刑務所や少年院では集団生活が基本となるため、感染症対策や集団健康管理も重要な業務です。
結核やインフルエンザなどの感染症予防策を講じることは、施設全体の安全確保にもつながります。さらに、受刑者の精神的なケアも求められ、カウンセリングや心理的サポートを行うこともあります。