医師としての経験を活かしつつ、社会全体の健康を支える役割を担う「公衆衛生医師」への転職が注目されています。
病院内での診療業務とは異なり、公衆衛生医師は、感染症対策や予防医療、健康増進施策など、地域や国全体の健康を守る活動に従事します。特に、コロナ禍を経て公衆衛生分野の重要性が再認識され、医師からのキャリアシフトを考える人が増加中です。
この記事では、公衆衛生医師の業務内容や転職のメリット、採用動向などについて解説いたします。

公衆衛生医師は、地域の住民全体の健康を維持・向上させるために、予防医学や健康増進、感染症対策などを中心に活動する医師のことです。
個々の患者を診療する臨床医とは異なり、疫学データの分析や施策の立案を通じて、健康問題を未然に防ぐ役割を担います。
保健所や厚生労働省などの行政機関、自治体、さらには国際機関など働く場所は様々で、その活動範囲は広範です。医師免許を持つ者が対象で、専門的な知識や統計スキルが求められます。

新型コロナウイルス感染症のパンデミック以降、各自治体や国際機関で公衆衛生対策の重要性が再認識され、医師免許を持つ公衆衛生の専門家の採用が進んでいます。
採用は主に行政機関や自治体、厚生労働省が行っており、保健所や健康政策関連部署、感染症対策部署での業務が中心です。
社会全体に影響を与えられる仕事なので、医師経験を活かして公衆衛生医師になる方も少なくありません。

公衆衛生医師は、地域や国全体の健康を守るため、業務は幅広いです。
主な業務には、感染症対策、疫学調査、予防接種の計画立案、健康増進プログラムの実施などがあります。例えば、インフルエンザや新型コロナウイルスなどの感染症が流行した際には、迅速な対策を講じるための疫学データを収集・分析し、政策を提言します。
また、がんや生活習慣病の予防を目的とした健康教育や検診プログラムを策定し、地域住民に向けた啓発活動を行うことも重要です。
さらに、地域の健康状態を把握するために定期的な調査を実施し、将来的な健康リスクに備えるための施策を行います。国際機関での業務に携わる場合、発展途上国での感染症予防や栄養改善など、グローバルな課題に取り組むこともあります。