グロービスが大学院ネット授業　質問は「ライブ」で

グロービス経営大学院（東京・千代田）が10月からインターネットを通じたオンライン授業を始める。講義を視聴するだけでなく、講師のいるスタジオと学生の自宅などをリアルタイムでつないで実際の教室のように先生に質問したり、他の学生と議論したりできるようにした。これまで海外在住や育児中などで通学が難しかった人も、大学院ならではの演習スタイルの授業を受けられるようになる。

　「ではここでＮさんに現場の実感を伺いたいのですが」

　「そうですね、実際には……」

　９月中旬の平日、午後８時。在校生を対象に試験実施していたグロービスのオンライン授業の１コマだ。授業内で話題になったビジネス事例について関連業界で働く学生に講師が話を振ると、パソコンの映像が講師から学生に切り替わった。

　この日の受講生は約10人。画面のこちら側には自分しかいないが、映像と音声が次々と切り替わりながらやり取りするうちに、全員一つの空間で授業を受けているような一体感が生まれていた。

　10月から正式スタートするグロービスのオンライン授業の売りは、実際の教室のようにその場で先生や学生と議論したりできること。学生は教室に通うのと同じように決まった曜日・時間に専用サイトにアクセス。パソコンに付いたカメラとマイク付きヘッドホンを使い、相互に顔を見て話しながら授業を受ける。

講師の問いかけに応える「挙手ボタン」や、簡易に意見交換できるチャット機能も備える。授業の定員も20人程度に抑えて、活発にやり取りできるようにする。

　パソコン画面を見続ける負担を考慮し、授業時間は１コマ90分に設定した。通学コースでは１コマ３時間が基本。オンラインは１コマの授業時間を半分にする代わりに２コマ１セットのカリキュラムを組み、通学で学ぶ場合と同等の学習効果を得られるよう工夫している。


　主な受講生としては、出張や転勤が多いとか、海外在住で通学が難しいビジネスパーソンのほか、育児や介護などで家を空けられない状況の人も想定する。

　「これまでは育児中に、子どもの面倒を家族に頼み込んで通う人もいた」（経営研究科副研究科長の荒木博行氏）。場所を選ばずに受講できるオンライン授業を求める声は実際、少なくなかったという。

　まずは10月から「クリティカル・シンキング」など２科目を始める。90分の授業を12回、３カ月間受講する。受講料は１科目あたり12万6000円だが、今年度は３割分奨学金を給付し８万8200円とする。入学金の２万3000円も年度内は無料。順次、科目数を増やしていき、来年４月からはオンライン授業だけで経営学修士号（ＭＢＡ）を取得できるコースを新設する。

　他の大学院でも、あらかじめ録画した講義を視聴するスタイルのオンライン授業はこれまでもあったが、リアルタイムでやり取りできる形式は珍しい。さまざまなタイプの授業が登場することで、ネットの学びの裾野が広がっていきそうだ。

2014年 9月24日
日本経済新聞

グロービス
ビジネススクールを核とするベンチャー企業。研修、人材開発コンサル、ハンズオンベンチャーキャピタル部門を持ち、「アジアNo.1のビジネススクール」と「アジアNo.1のベンチャーキャピタル」になることを目標とする。

グロービスについて

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