インタビュー:2010年の中国経済、金融引き締めでも成長=大和総研・肖氏

大和総研・経済調査部シニアエコノミストの肖敏捷氏は25日、ロイターとのインタビューで、中国経済について、さらなる金融引き締めがあったとしても2010年は09年を超える経済成長を遂げるとの見通しを示した。

 公共投資など財政支出や個人消費の刺激策が経済を引き続き押し上げるという。上海万博も消費を刺激する見通しだ。ただ、金融引き締めと財政拡大を同時に行うマクロ政策の運営は微妙な手綱さばきが求められるため、行き過ぎなどには注意すべきだと述べた。

 ──中国政府による金融引き締めの目的は。

 「2009年の新規融資額は人民元建てのみで見て9.6兆元。異常値ともいえる高い数字となったのは、サブプライム問題に端を発した世界的な金融不安、不況に対応するために実施した超金融緩和のためだ。流動性は主に不動産価格を押し上げ資産バブルを生み出しており、中国政府は金融引き締めによって超金融緩和の後始末をしようとしている。2010年の融資目標額は7.5兆元で前年比約2割の減少となる」

 「2009年の中国の実質経済成長率は前年比8.7%増加し、中国政府が掲げた8%前後の目標を達成したことが金融引き締めに転じる1つのきっかけとなった。第4・四半期は10.7%増と2ケタ成長となったほか、1月の20日間で商業銀行の新規融資額がすでに1兆元を超えたと伝えられており、バブルに対し先手を打つ必要が出てきたことから、新規融資の一部停止や一部銀行に対する預金準備率の引き上げが実施された」

 ──さらに金融引き締めは行われるのか。

 「中国政府としては新規融資額を7.5兆元に抑えるために、今後窓口規制などの総量規制や、さらなる預金準備率の引き上げ、場合によっては利上げを行う可能性がある。中国の金利水準は低水準であり、貸し出しブームを抑制するためには利上げよりも総量規制の方が効果的だろう。ただ、金融引き締めを行ったとしても8%成長や7.5兆元の融資目標を下回るような引き締めは行わないはずだ。2010年の実質経済成長率は09年を上回る9.5%増に加速すると予想している」

 「ただ、7.5兆元の新規融資を維持し、8%前後の成長を維持するためには、適度な金融緩和や財政支出を続けなければならないが、『適度』な政策というのは政策担当者にとってなかなか難しい。低い金利水準を維持しながら貸し出しを引き締める、インフレを防止しながら財政を拡大させる、というようにマクロ政策をミックスさせていかなければならない。貸し出しの締めすぎなど政策の行き過ぎには注意する必要がある」
 ──巨額の政策投資は財政赤字の反動とならないか。

 「財政赤字はGDP(国内総生産)の3%以内に抑えたものの、財政に余裕があるわけではない。今年も赤字国債を発行する必要があろう。同時に税収も増えている。いずれ中国も高齢化・少子化問題に直面していくが、中国経済はまだ若く、借金するだけの余力はある」

 ──日本経済にとっての中国経済は、今年も魅力的となるか。

 「今年、中国政府は内需拡大に力を入れる。中国の金融引き締めを警戒する声もあるが、資産バブルの芽を早い時期に摘んでおくことは持続的な経済成長につながり、日本にとっても好ましい。中国も当然ながら経済成長を止めるほどの引き締めはしない。中国での売り上げが日本と逆転しているような企業は大きなメリットを受け続けることになろう」

 「外需が回復すれば内需刺激の負担は低くなるが、外需に期待しなくても内需が引き続き経済をけん引する見通しだ。昨年実施した4兆元の景気対策の約半分が積み残しとなっており、今年実施される。『投資から消費へ』として、個人消費を持ち上げるような政策も打ち出されてこよう。不動産投資を減少させる一方で、社会保障の充実や賃金引上げなど個人消費を拡大させる政策を取り入れるとみられている。前年の経済成長は投資が中心だったが、今年は投資と消費をバランスよく拡大させようとしている」

 ──不動産バブルの破裂が資産価格の暴落につながり、実体経済も落ち込ませるリスクはないか。

 「中国経済はまだ発展途上。バブルを1つつぶせば、また別なバブルが発生するような状態だ。仮にハードランディングとなったとしても再起不能なダメージにはつながらないだろう。1980年代後半の日本は成長力自体が末期に達していたことが、資産バブル崩壊で実体経済も大きなダメージを受けた大きな要因だ。中国経済は日本でみると1970年代前半のイメージ。あと15年くらいは経済発展することが可能だろう」

 「北京オリンピック以上に上海万博は期待していい。前週末時点で前売りチケットはオリンピックの収入を上回ったようだ。開催期間も長いし規制もそれほどないとみられるので消費刺激効果は大きい。上海万博の予想観客数は大阪万博の6000万人を上回る7000万人だ」
「上海万博については、万博自体はもちろんだが、上海という中国でも有数の発展都市を中国国民に見せることに意義がある。自分達と同じ国の中にある上海の豊かなインフラや商品、サービス、ビジネスを目にした地方の市民は大いに刺激され、自らの故郷に帰ってから欲しいと感じ、また試そうとするだろう。上海というモデル都市こそが万博の一番の目玉ともいえる」

2010年 2月3日
ロイター日本語ニュース

大和総研
国内のいくつかの金融系シンクタンクと同様に、システムインテグレータ (SI) としての事業が主力である。大和証券グループのシステム開発・運用のほか、グループ外の証券会社、通信業者、地方公共団体などのシステム開発・運用を受託している。SI事業のほかには、金融・資本市場に関連するマクロ経済調査、企業調査などのリサーチ事業、経営コンサルティング、年金コンサルティングなどのコンサルティング事業を展開している。

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