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これまで、SAP社のR/3やOracle社のEBSは、売上規模で数兆円や数千億円といった超大手企業を中心に導入をされてきました。
また、売上数百億円、数十億円といった中堅企業向けのテンプレートも開発、導入がなされており、企業インフラとしてERPはスタンダードになっている状況です。
このような状況下、ERPをイチから導入を行うような大規模プロジェクトが減少してはいますが、海外進出・拠点立ち上げ(日本→海外、海外→日本)に伴うロールイン・ロールアウト案件や、他社製品からの乗り換えといった案件もまだまだ多くあります。また、各ERPベンダーでも随時製品のアップデートや新製品のリリースも行われており、システム投資に積極的な企業におけるプロジェクトも多い状況です。
特にSAP社の2025年問題は顕著で、さらなるERPコンサルティングの需要が高まると思われます。企業にとってERPシステムはなくてはならない基幹システムのため将来性も十分でしょう。
SAP
世界190カ国以上、28万2,000社以上の企業で導入されているトップブランドのERPパッケージ。フォーブス・グローバル2000に選ばれた企業のうち87%がSAPユーザ企業であり、日本国内でも2000社以上が導入していると言われています。
会計管理、購買、生産、人事など業務におけるすべてをカバーしており、データはリアルタイムで統合され、業務の効率化を実現できるERPパッケージとなっています。また従来の業務分野だけでなくスポーツ・医療・IoT・インダストリー4.0などにおけるビッグデータの分析とその活用など、これまでの領域を超えた分野においてもソリューションを提供しています。
Oracle EBS
財務会計や人事管理などに加えSCM、CRM、BI、プロジェクトマネジメント、マスターデータ管理などのシステムも統合されている。元々は財務会計パッケージとして発表され、その後様々な機能を追加。現在ではクラウドERPサービスの「Oracle
ERP Cloud」を開始し、従来のOracleEBSから徐々に移行されている。
Microsoft Dynamics
「マーケティング」→「セールス(営業)」→「カスタマーサービス」→「フィールドサービス」の全フェーズをカバーし、スムーズに顧客情報を共有/活用させることができるオールインワンソリューション。
Office製品を使っているユーザーには馴染みやすいユーザインターフェースとなっており他のMicrosoft製品との統合がしやすいことも特徴の一つとなっている。海外での知名度は高いが、国内においてはまだ成長段階。
ワークスアプリケーションズ(COMPANY)
人事、会計、SCM・生産管理、Eコマース、マイナンバーシステム、ビジネスチャット、グループウェアなど企業経営に関わる基幹業務ソフトウェア。日本国内のシェアNo.1
OBC(勘定奉行)
国内中小企業での導入No.1ソフト。CMなどでも知名度が高く、「会計・財務」、「人事・労務」、「販売管理」の3つのカテゴリが中心となっている基幹パッケージ。
その他にも富士通、NEC、日立など国内大手企業のERPパッケージや、製造業や小売など業界特化やスマートデバイス利用に特化したものなど多種多様に存在しています。
ERPコンサルタントとは、SAPやOracle、Microsoftに代表されるERP(Enterprise Resource Planning)システムの導入や運用に関するアドバイスや実行支援を行うプロフェッショナルです。ERPシステムは企業のビジネスプロセスを自動化し、情報を一元化することで業務効率を向上させるために利用されます。
企業の業務プロセスや業務フローを理解し、それに適したERPシステムの導入やカスタマイズ、運用に関する提案やアドバイスを行います。具体的には、ERPシステムの要件定義や選定、システム導入の計画立案、ユーザー研修やシステム改善提案などの業務を担います。
ERPコンサルタントの仕事内容はERPシステムの導入や運用に関するアドバイスや支援を行うことです。企業の業務フローや業務ニーズを理解し、ERPシステムを導入することで、業務の効率化や情報の一元化を促進することが求められます。
具体的な仕事内容には以下のようなものがあります。
要件定義
企業が求める業務プロセスや業務フローを理解し、ERPシステムに必要な機能や機能改善の要件をまとめます。
システム選定
要件定義を元に、ERPシステムの選定を行います。ERPシステムは多岐にわたるため、企業の業務ニーズに合ったものを選定する必要があります。
システム導入計画立案
ERPシステムの導入にあたり、計画を立てます。具体的には、スケジュールの作成や予算の見積もり、プロジェクトマネジメントを行います。
システム導入
システム導入の際にはERPシステムのカスタマイズやテストを行い、運用に必要な環境を整えます。
ユーザー研修
ERPシステムの運用に必要な知識を持ったユーザーの育成を行います。具体的には、トレーニング資料の作成や研修の実施を行います。
システム改善提案
ERPシステムの運用にあたり、改善点や問題点が発生することがあります。その際には、改善提案を行い、システムの改善につなげます。
ERPコンサルタントの最終的なミッションは、ERPパッケージというツールを活用して企業の業務改革(BPR)を実現させる事です。
そのためERPコンサルタントに求められる役割は、ただパッケージを導入するだけではありません。経営課題が何なのかを明確化させながら、企業内の各部門で実施されている業務プロセスやデータの流れを把握し、ERPパッケージの業務プログラムに既存業務プロセスをどのように適用していくかを分析、設計、実装を主導していく必要があります。
ERPの豊富な業務プロセスに合わせて顧客業務を最適化させていく作業は、非常に細かい作業であり、現場ユーザーの意見を徹底的に吸い上げる必要があるため、高いコミュニケーション能力が求められます。
次に、そのようにデザインされた新たな業務プロセスを実際にERPソフトウェアでどのように処理していくべきか、ソフトウェアそのものを最適化させながら、必要に応じてアドオン(追加開発)をリードする役割を担っています。
代表的な製品としては、SAP社,Oracle社、Microsoft社のERPパッケージがあり、近年ではデジタル化、クラウド化、多モジュール化により、絶えず進化を遂げています。近年クラウドERPではWorkday社の製品が有名ですが、各ベンダーでもクラウド化を推し進めている状況です。
ERPは基幹業務システムであることから、企業にとって絶対に失敗できない超重要プロジェクトになることが多く、責任もプレッシャーも大きいのが現実です。しかし、システムだけでなく組織そのものの変革や部門間の連携を推進していくリーダーシップやファシリテーションスキルも磨かれるため、それをやり遂げたときの自己の成長と達成感は非常に大きいといえます。
ERPコンサルタントの年収ですが、所属企業やその方の経験による部分が大きいため、一概に平均を算出するのは難しいとされていますが、大手コンサルティングファームや製品力のあるERPベンダー所属の方の目安としては以下のようになります。(中小規模のコンサルティング会社の場合は、以下金額よりも少し低めとなる傾向があります。)
・20代中盤~30代前半 約500~800万円
・30代前半~30代後半 約800~1100万円
・30代後半~40代前半 約1100~1500万円
ERPコンサルタントは、顧客の役員層やその直下の経営企画、事業部門とカウンターパートとなる事も多いため、成熟された方が求められると言えます。また、基幹業務である会計、SCM、CRM、人事等の業務知識や製造業・流通・小売・素材・エネルギー・通信・金融といった、業界知識がある方もされる傾向があります。
まだまだ根強いERPですので、IT関連職種の中では中長期でのキャリアパスは描きやすいとは思われます。但し、製品のライフサイクルも早く、クラウド化に伴う導入単価の低下等も見られることから、稼働単価の低下も進むことが想定されます。当然、それらを上回るような付加価値をコンサルタントとして提供していく事が求められますが、今後考えられるキャリアパスとしては以下のようなものが考えられます。
(1)特定製品/技術に強いプロダクト/テクニカル系のコンサルタント
(2)特定モジュールの業務知識に秀でた業務系コンサルタント
(3)顧客/プロジェクトマネジメントに秀でたマネジメント系コンサルタント
(4)上記いずれかに加えグローバルプロジェクト経験豊富なグローバル系コンサルタント
(5)一般事業会社での業務管理・ERP運用、社内改善コンサルタント
コンサルティングファーム、ERPベンダー、大手SIerのERP部門でのキャリア形成は勿論の事、一般事業会社でのシステム企画やERP運用といったポジションでの求人も一定数存在します。
特に最近のコンサルティングファームでは、現在ERPコンサルタントの方に対して、インダストリーコンサルタントや業務コンサルタントといった、ERPに限定されないキャリアパスを用意し、そのためのトレーニングプログラムなども準備しているところもあります。
ERPコンサルタントに求められるスキル・経験は以下のようなものがあります。
ERPシステムに関する専門知識
ERPシステムに関する専門知識を持つことが求められ、具体的にはERPシステムの導入や運用に関する知識、業務プロセスや業務フローの理解、ERPシステムの機能や構成要素などが挙げられます。
IT技術に関する知識
IT技術に関する知識が必要不可欠です。ERPシステムの構成やカスタマイズに必要なプログラミング言語の理解やデータベースに関する知識、システムのセキュリティやネットワークに関する知識などが必要です。
ビジネス知識
ERPシステムは企業のビジネスプロセスを自動化し、業務効率を向上させるために利用されます。そのため、ERPコンサルタントには、企業経営や業務プロセスに関する知識が必要不可欠です。
コミュニケーション能力
ERPコンサルタントは企業内外でのコミュニケーションや顧客とのコミュニケーションを行う機会が多くあります。説明や提案、トレーニングなどを行う際に必要な能力です。
プロジェクトマネジメント能力
ERPシステムの導入や運用にはプロジェクトマネジメント能力が必要不可欠です。ERPコンサルタントは、スケジュールや予算、品質管理などを管理し、プロジェクトを成功に導くことが求められます。
ERPコンサルタントはERPシステムの主要ベンダーやITコンサルティングファーム、SIerの導入支援ユニットでの採用熱が高まっています。特にERPシステムの導入や運用に関するニーズが増えていることから、導入支援を担うERPコンサルタントへの需要も増加しています。また、業務の効率化やコスト削減を目的としたDX推進に伴い、ERPシステムを活用する企業が増加しており、その需要に対応するためにERPコンサルタントが必要とされています。
さらに、ERPシステムのクラウド化やAIの活用など、新しい技術の導入に伴い、ERPコンサルタントに対する求人も多様化・細分化しています。また、国内でもグローバルやクロスボーダーでのビジネスを展開する企業が増加していることから、英語力や海外でのビジネス経験をもつ人材ニーズが高まっています。
一方で、ERPコンサルタントの業務は、ERPシステムの導入や運用に関する専門的な知識やスキルが求められることから、システム知識や導入経験者など一定のハードルがあります。
未経験からのERPコンサルタントへの転職は可能ですが、業界や企業によって異なります。一般的には、ERPシステムの導入や運用に関する専門的な知識やスキルが求められるため、未経験の場合はスキル・知識の習得が必要になります。また、業界や企業によって未経験者の採用ニーズは異なるため、転職エージェントを活用して情報収集を行うことが大切です。
■コンサルティングファームでのERPコンサルタント募集要項より
求める経験・スキル例
・企画・構想もしくは要件定義の経験(仮説・検証アプローチによる問題解決や業務の可視化分析等の経験)
・複数の基幹系システム・ERPパッケージの導入プロジェクト経験
・案件・販売・購買・在庫管理・生産・原価管理・一般会計・管理会計等いずれかの業務知識
・SAP/Oracle 等海外 ERP もしくは国内 ERP の実装 経験者
・プロジェクト のマネジメント 経験
ERPコンサルタントは、必ずしも資格が必要であるものではないのですが、実際にプロジェクト現場で活躍をされている方々の多くは、関連資格を取得されていらっしゃるのが実状のように見えます。
ERP導入のプロジェクト経験がある方は、SAP社、Oracle社、Microsoft社といった主要製品の資格を取得されている方が多いです。(新卒、あるいは中途入社後の研修で取得されるケースも多いです。)
一方で、ERP未経験のシステムエンジニアや事業会社出身の方については、ERPの主要モジュールである業務知識や製品周辺の技術をカバーするような資格取得をされていますと、採用企業の目に留まりやすいといえます。具体的には、会計関連であれば公認会計士、簿記1級、簿記2級。Basis関連であればネットワーク、インフラ、DB関連の資格。といったところとなります。
また、ERP導入はグローバルプロジェクトになる事も多いですので、英語力の目安としてTOEICのスコアを重視する企業もございます。
SAP認定コンサルタント
SAP社が認定するベンダー資格。資格は製品とバージョンに依存しているため、市場にそのバージョンが無くなれば新しいバージョンの資格を取る必要があります。
資格取得のためSAP社にてトレーニング受講も出来ますが、かなり費用も掛かるため、コンサルティングファームなどに転職し実務経験や研修制度などを利用したほうがいいでしょう。(コンサルティングファームでは教育の一環としてトレーニング受講を実施する場合もあります)
ORACLE MASTER
日本オラクル社が公式運営する「Oracle Database」シリーズの認定資格です。
「Bronze」、「Silver」、「Gold」、「Platinum」の順にグレードが分かれており、資格の有効期限はありませんが、バージョンアップされた際には新機能の確認など移行試験が用意されており受験をし直す必要はありません。
以前は日本国内だけの資格でしたが2003年以降(Silver以上のみ) 国内外の資格との連携が取れるようになり世界共通基準の資格となっています。
MBMS プログラム
マイクロソフト社のMicrosoft Business Management Solutions 認定資格プログラム。いくつかソリューションによって資格も分かれており、有償でのトレーニングもある。
ERPパッケージ導入コンサルティングを提供する企業は、Big4をはじめとする総合系コンサルティングファーム、中堅中小のコンサルティングファーム、SIerのERP部門、製品ベンダーの直販コンサル部門、といったところがあります。また、Big4からスピンアウト・独立をした方が経営する小規模なコンサルティングファームも一部存在します。
<総合系>
アクセンチュア
アビームコンサルティング
デロイト トーマツ コンサルティング
PwCコンサルティング
EYアドバイザリー・アンド・コンサルティング
KPMGコンサルタティング
クニエ
<製品ベンダー系>
SAP Japan
Oracle
Microsoft
ワークスアプリケーションズ
Workday
<SIer系>
NTTデータグローバルソリューションズ
電通国際情報サービス
JSOL
ERPコンサルタント経験のない20代~30代前半位で以下のような経験をお持ちでしたら、採用いただける可能性がございますので、ご関心おありの方は是非ご相談くださいませ。
(1)事業会社サイドでERPの導入・運用経験者
(2)会計・人事・SCM・CRMといった基幹業務パッケージ導入経験者(スクラッチ開発経験のみも可能性有り)
(3)上記(2)のような企業の基幹業務における専門知識を有する方
ERP導入のプロジェクトは海外との連携も多いため、ビジネスレベルでの英語力を保有されている方は歓迎される傾向があります。
また、ERPは上記のように企業経営の根幹をなす業務を包含していますので、プロジェクトを通じて多くの企業のビジネスプロセスを理解し経営的観点を養う事が可能です。
コンサルタントとしての専門性を追求したい方は勿論、将来的に経営者を目指される方にとっても適した職種であると言えます。
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