近年、転職市場でコンサルティング業界と並んで人気が高まっているのが金融業界です。MRの方に限らず多くの方から金融業界への転職可能性はあるのか？とご相談をいただく機会が増えました。一方で、金融業界は以前から金融業界未経験者を採用するケースは少なく、リーマンショック以降は業界全体が低迷し採用マーケットも冷え込んだことからより難関業界となってしまっています。今回はMRから金融業界への転職可能性や具体的な転職事例についてご紹介したいと思います。

金融業界として真っ先にイメージされるのは銀行・証券でしょう。法人・個人の資金調達手段を支える金融業界の中でも最もコアな事業です。新卒文化が根強い企業が多く、中途採用の門戸は非常に狭いのが特徴です。金融業界出身者や会計士、コンサルティング業界出身者を採用するケースはまま見かけますが、その他業界出身者を採用するケースはごく稀です。MRの方の場合、医療機関向けの営業経験を買われて、医療業界を中心とした営業担当として銀行・証券にご入社されるケースはありますが、非常に狭き門と覚悟した方が良いでしょう。また年功制の会社が多いため、給与的な面で若手の方が採用されやすい傾向にあるようです。

銀行・証券と同じく、損保は新卒文化の強い企業が多くを占めます。特に日系はその傾向が強く、一方で外資損保は定期的に中途採用を行っている会社も見受けられます。生保は損保と比較すると積極的に中途採用を行っています。特にライフプランナーと呼ばれる個人向け営業職での採用が活発です。MRの方の場合、医師や看護師など医療職の方とのネットワークを活かして、生保業界で活躍するケースも多いようです。外資生保はインセンティブの比率が非常に高い会社もあり、実力次第で青天井で給与をあげていくことができる点なども魅力です。

生保業界と同じく、活発に中途採用を行っています。法人・個人向け双方の営業職で採用を積極的に行っている会社が多く、MRから営業職としてご入社される活躍される事例も多くみられます。不動産仲介系の会社での採用実績が多いですが、財閥大手デベロッパーが中途で総合職採用を実施する事例もあり、給与水準が高いのも魅力です。

M&AやIPO案件の増加を背景に、財務アドバイザリーの採用意欲は非常に高まっています。しかしながら、大規模なM&A案件などを扱う財務アドバイザリー業務には高度な会計知識が求められることも多く、簿記1級やUSCPAなど高難度の経理・会計資格を保有しない限り、MRからの転職事例はほとんど見られません。一方、中堅・中小企業のM&Aアドバイザリーを行う企業ではMR出身者を採用する事例も見られます。医療機関や薬局など医療系案件を扱うことも多いことや、中堅・中小企業のM&Aアドバイザリー業務では財務会計知識以上に企業経営者との高い交渉力が求められるケースが多いためです。

「MRの転職 - 主な転職先とキャリアについて」の記事で、転職先の選択肢として金融業界に限らず、コンサルティング業界や医療・ヘルスケアベンチャーなどを紹介しているので、ぜひご覧ください。