
movin:
本日はご多忙の中お時間をいただき、誠にありがとうございます。早速でございますが、最初に青木様のご経歴を簡単にお伺いさせてください。
青木様:
少し変わったキャリアかもしれませんが、元々はIBMの基礎研究所で研究者をやっていました。6年程研究者としてキャリアを積んだ後、よりビジネスに近い世界に関心を持つようになり、大手外資系戦略コンサルティングファームの門戸を叩きました。そこで戦略コンサルタントとしてキャリアを積んだ後は、独立系の投資会社での投資業務を経てPwCにジョインし、再びコンサルティングの世界に戻ってきたという形になります。
movin:
戦略コンサルティング業務、ファンドでの投資業務と、様々なご経験をされてこられたかと思いますが、なぜ数ある選択肢の中からPwC様へのジョインを決断されたのでしょうか?
青木様
コンサルティングの仕事自体が好きだったことが大きいですね。
勿論、ファンドでの投資業務でもやりがいを感じており、中でも、投資先企業の経営支援や、ファンド出資者との投資戦略の議論といった、コンサルティングでの経験を活かせる業務に力点をおいてやっていました。そんな中、数年かけて取り組んでいた大きな案件がだいぶ軌道に乗ってきたタイミングでPwCからお誘いがあり、お話をお伺いする中でこれもご縁かと思い、そのまま入社させていただきました。
その際、戦略コンサルティングファームに戻るという選択肢もあったのですが、個人的な考えとして、経営コンサルティング業界でもいろいろな変化が起こっており、今後は複数の専門性を掛け合わせる業際的なアプローチに価値が生まれるのではないかと思っていました。
その観点からも、これまで戦略コンサルティングで培ってきた経験と、M&A領域の専門性を掛け合わせて価値を提供するという立ち位置は面白いと感じ、最終的にPwCへの入社を決断しました。
movin:
御社のディールズストラテジー部門は比較的新しい部門ですが、どのような背景で設立されたのでしょうか?
青木様:
一昔前まで、企業にとってM&Aは初めての取り組みであり、恐る恐る手探りで行われることが多い状況でした。ですが、昨今ではご案内のとおり企業にとって一般的な戦略オプションとなり、M&Aに積極的なお客様は複数のM&A案件に同時平行で取り組んでいらっしゃいます。
そうした中、M&Aアドバイザーに求められるニーズも段々と多様化・高度化してきており、M&Aのエグゼキューション部分に加え、もう少し前の段階、即ち戦略立案・検討段階からご支援させて頂く体制を、これまで以上に強化していく必要があると考えるようになりました。
このような背景から、2015年2月にマーバルパートナーズ社にPwCのネットワークに加わってもらい、ディールズストラテジー部門を設立することで、M&Aにおける戦略立案の機能を強化することとなりました。
movin:
既にマーバルパートナーズ社とは経営統合されて法人としても一体になっていらっしゃいますね?
青木様:
そうですね。2015年初頭までは、PwC内の各チームに戦略系ファーム出身者が所属していたのですが、マーバルパートナーズ社がネットワークに加わった段階で、様々なチームに散らばっていた戦略系ファーム出身者を集結させ、マーバルパートナーズ社に出向という形で加わりチームとしての体制づくりに取り組んできました。
1年ほど密に連携して様々な案件を共同で行ってきましたが、より密に連携していくため2016年4月に法人も経営統合して名実ともに一体のチームとなりました。
movin:
PwC側の目的は戦略ケイパビリティの強化ということでしたが、逆にマーバルパートナーズ社側はどのような考えからPwC Japanグループに入ることを決断されたのでしょうか?
青木様:
実はマーバルパートナーズ社はかねてから「グローバルネットワークをいかに構築するか?」という課題について、これまでを様々な取り組みをされていました。その様な中で、このまま独自でネットワーク作りを進めていくよりも、PwCのプラットフォームを活用したほうが一気に目標とするステージに辿り着けるだろうという結論に至り、結果双方の思惑が一致したので、お互いの強みを活用して成長していこうということになりました。
movin:
双方が大きなシナジーを見込める統合であったようですが、両社の融合という観点では現状いかがでしょうか? 一般論として、元々別組織であった2社を統合するフェーズにおいては、大変なことも多いと聞きます。
青木様:
おっしゃる通り大変な点もありましたが、先述の通りマーバルパートナーズ社がメンバーファームになった段階からPwCメンバーが同社に出向し、交流を深めてきていました。
このように段階を踏んで統合を進めてきましたので、今のところスムーズに進んでおり、4月に名実ともに一つの会社となったことで、今後人的交流・案件ベースでの交流・融合は更に加速していくかと思います。