採用動向・転職市場評価
会計士資格者を求める業界・ポジションは年々多くなり、採用状況としては様々な企業で積極的に採用しています。
会計士はキャリアチェンジを含めた転職がしやすい資格の一つであり、例えば事業会社、ベンチャー企業のCFOや経営管理などのマネジメントポジション、投資銀行やPEファンド、FASでのM&Aアドバイザリーポジション、さらにはコンサルティングファームでの戦略コンサルタントや経営コンサルタント、他にもフォレンジックやM&A仲介、銀行・証券などの金融機関といった形で、多くの企業・ポジションへの転職可能性がございます。
引く手あまたの会計士ですが、もう少し詳細に見ていきましょう。
修了考査後の転職
会計士の方の中には修了考査後に転職をお考えの方も多いのではないでしょうか?修了考査前後での市場評価を比べると修了考査に合格しているほうが良い傾向にあります。知識としては持っていても、やはり資格なので、考査に合格をされていることで晴れて一人前とみなされる風潮があります。
監査法人にいるうちに合格することをお勧めしますが会計士の資格を活かす仕事では、一定の考慮をして頂ける企業もありますので、その場合は転職後でも対応可能となっております。
年齢からみる会計士転職
会計士に合格した年齢にもよりますが、やはり未経験業界にチャレンジする場合には20代若手の方がチャンスが多く、FAS、投資銀行、PEファンドが顕著となっています。
(FASは30代以降でチャレンジできますが、応募できるポジションが限定的になる可能性がございます。)
30代になると前半・後半で大きく変わってきます。正会員に登録し、インチャージ経験などを経てマネージャーになっている方が多いかと思いますが、前半においては20代と同じようにポテンシャル採用で見てくれる企業もあります。弊社でも転職希望が多い人気の業界としてはPEファンド、コンサルティングファーム、FAS/事業再生・M&A、事業会社などがあります。30代以降年齢が上がれば上がるほど、+αの経験が求められ、即戦力性があるのかという点でも判断されますので、会計プラスの強みがあると、より転職選択肢が増えてくるかと思います。
40代、50代となると未経験業界のチャレンジはかなり難しくなってきます、前職と同じポジションでのスライドなどが現実的になってきますが、直近では40代以降もベンチャー企業の監査役等、年齢に縛られないご転職も少しずつ増えてまいりました。
30代以降になると給与も1000万円を超えてくる方も少なくないと思います。新たな転職先(キャリアチェンジ)では給与ダウンの可能性もありますが、活躍次第で前職以上の給与になるポジションもありますので、ぜひご相談頂ければ幸いです。
会計士のキャリアプラン例
会計士のキャリアプラン例になります。弊社では1度きりの転職支援だけでなく、転職後のキャリア形成もお手伝いさせて頂いており、個人情報の観点から一部編集した実際の事例をご紹介していきます。
@ 学生時代に公認会計士合格、Big4監査法人(監査業務3年、終了考査後)→投資銀行(M&Aアドバイザリー)→PEファンド→投資会社(代表取締役)
A Big4監査法人(監査業務5年(終了考査済)、シニアへ昇格)→外資系事業会社へ転職(FP&A)→外資系企業数社渡り歩いたのちCFOを歴任
B Big4監査法人(監査業務2年)→総合コンサル(会計領域)→上場を目指すベンチャー企業CFOへ転身
C Big4監査法人(監査業務5年(終了考査済)、シニアへ昇格)→FAS系コンサル(再生領域10年)→監査、再生分野で独立(代表取締役としてご活躍)
D Big4監査法人(監査業務5年(終了考査済)、シニアへ昇格)→総合商社へ転職、海外赴任を2か国経験、現地法人CFOとしてご活躍中
E 新卒で事業会社入社後、会計士を志す→退職し2年勉強に専念→合格し、中堅監査法人入社→Big4監査法人へ転職→日系事業会社、経理財務部へ課長職で入社→その後昇進し部長職として、部下をマネジメントしながら上場企業の決算をリード
F Big4監査法人→ベンチャー企業で経営企画で、新規事業を複数立案・実行、ビジネスサイドの興味が強くなり、子会社COOとして、数百億円の事業をハンズオンで回している
そもそも会計士とは
日本における職業会計人制度は、昭和2年の「計理士法」に基づく計理士の誕生から始まり、1951年、初の証券取引法に基づく公認会計士監査が開始されました。公認会計士制度は、証券市場に おける財務諸表の信頼性確保のために誕生しました。
公認会計士の資格は、医師、弁護士、司法書士、国家一種などと並び、非常に高い難易度となっていますが、その分転職市場においては採用企業も多く、その高い会計知識は非常に評価されています。
社会人でこれから会計士資格取得を考えている場合、資格取得までは膨大な学習量が必要で、3500時間が一つの目安になっていると言われています。
会計士の場合、もしも他業界へチャレンジして思うようにうまくいかなくとも、監査業務であればいつでも戻れるという利点もありますので、会計士資格を武器にハイキャリア形成にチャレンジするのも一つの選択肢かもしれません。
会計士の年収
資格学校TACTによると、公認会計士の平均年収は992万円となっており試験合格者1年目の監査法人の初任給は30〜35万円(年収ベースで550万円前後)で、一般的な新卒採用の初任給21万円(厚生労働省 令和元年賃金構造基本統計調査)と比較しても非常に高い給与水準となっています。
これは監査法人での平均給与であり、新たな転職先となるとその業界・ポジションによるところが大きく一概に年収○○万円とは言えませんが、たとえば投資銀行やPEファンドであれば、業績賞与などから数千万になることもあります。また独立し事務所を開設、クライアント数もクライアント規模も多くなれば収入も一気に増えてきます。
失敗しないための転職先の選び方
ご自身が「何をしたいのか」から転職先を選ばれるかと思いますが、重要なことは「情報」です。その転職先のことや、転職に求めることが叶えられるのか、そしてその後のキャリアを目指すためのキャリア形成が出来るのか、など正確な情報が重要です。
「先輩や同僚が転職をされたら、なんとなくそういうところに転職できるのだろう」と数件の事例から漠然と選択肢を考えるのではなく、会計士のキャリアに精通している転職エージェントに相談すべきでしょう。
弊社では随時会計士のためのキャリア相談会を実施していますので、まずはお気軽にご相談頂ければ幸いです。
さて、転職失敗しないための選び方ですが、いくつか転職志向となるポイントから見ていきましょう。
年収で選ぶ
転職理由の一つに「給与への不満」をあげる方もいらっしゃいますが、転職の際に年収アップを目指したいのは当然かと思います。
会計士は企業からも人材ニーズが大きいため、高年収ポジションも多く、さらにカウンタオファーとして他社以上に給与を出した内定を出す場面も少なくありません。
ただし気を付けたい点として、転職時の年収=自分自身の評価だけではなく、企業からの期待度も入った金額になっています。年収が高ければ、それ以上に企業からの期待も大きいです。現職年収とあまりにもかけ離れた年収オファーで入社後、その期待度と自身の実力乖離からうまくワークできなかった、という例もあります。高年収ポジションについては、今の自分と業務内容とマッチしているのか、転職エージェントなどに相談しながら進めると良いでしょう。
転職後のキャリアを見据える
将来はCFOへ、事業会社のマネジメントポジションへ、といったお考えの会計士の方も増えてきました。単体決算・連結決算(会計)、税務申告関連業務(税務)、M&A・借入・自己株取得・配当(財務)のスキル等、アピールできる材料は多岐に渡りますが、いきなりこうしたポジションへ転職できる例は少なく、会計士の方の多くが経験している監査業務のみのご経験の場合、CFOとしての要件には不足気味なので、やはり一度ビジネスサイドのポジションやコンサルティングファームなどを経験してからCFOなどマネジメント領域にチャレンジしていくことが好ましいでしょう。
もちろん、CFO候補として監査法人の方がベンチャー企業などに入社するケースはありますが、これまでの監査業務とのギャップに悩む方も多いため、いつまでに自分の目指すキャリアに行きたいのか、そこから逆算してキャリア形成を考える方がベターかと思います。
ワークライフバランスで選ぶ
会計士の場合、繁忙期は非常に激務のため、例えば家庭事情や仕事に対する価値観の変化から安定的に働きたいとご希望される方もいらっしゃいます。
一方でワークライフバランスを優先すると給与ダウンや、スキルアップ・キャリアアップが難しくなる場合があります。すべてを兼ね備えた求人は少なくあったとしても応募要件もそれ相応の厳しい条件となることが多いです。そのためワークライフバランスといっても、例えば定時で帰りたい、月想定以内の残業時間、21時くらいまでには帰りたい、などのイメージから具体的な就業イメージを持っていただくと企業選びもやりやすくなるかと思います。
ワークライフバランスと一口に言っても個々の価値観によっても違い、様々な働き方もありますので、ご自身で言語化しつつ転職エージェントと相談しながら転職先候補を決めていくといいでしょう。
やりがいで選ぶ
ご自身が「何をやりたいのか」。ざっくりでもフワッとでもいいので何かしらのイメージを持って転職先を選ぶことで、対象となる企業も絞られるかと思います。
やりがいは抽象的なもので人それぞれ異なりますので、例えばキーワードとして、社会課題、直接クライアントと折衝する、評価が直接給与に反映する、社会的なインパクトが出せる、などから転職エージェントと相談しつつ、転職先候補を見つけていく手段もあるかと思います。
専門性を高める
会計士資格は難易度の高い資格の一つですが、折角取得した資格ですので会計領域における専門性を高めながらキャリアアップしていける転職先や、会計領域をベースに+αとして新たな専門性を身に着けるキャリアを選ぶ方もいらっしゃいます。
逆に、まったく会計領域と関係のない、スキルを活かせないポジションにおいては、完全未経験の転職となり、給与ダウンやキャリア形成においても、リセットされることになるため、会計を活かせる、知識を活かせる転職先を選ぶことがベターかと思います。
公認会計士 転職支援事例・体験談
SUCCESS STORY
ムービンでは、これまで多くの会計士の方の転職のご支援をさせていただいております。実際に会計士の方がどのような企業に転職しているか転職支援事例の他、転職体験談も合わせてご参考にしていただければ幸いです。
転職先 | 年齢(性別) | 学歴 | 前職 |
投資銀行 | 24歳(男性) | 国立大卒 | 大手監査法人 |
投資銀行 | 26歳(男性) | 国立大卒 | 大手監査法人 |
投資銀行 | 28歳(男性) | 有名私立大卒 | 大手監査法人 |
PEファンド | 33歳(男性) | 有名私立大卒 | 大手監査法人 |
PEファンド | 28歳(男性) | 有名私立大卒 | 大手監査法人 |
PEファンド | 27歳(男性) | 国立大卒 | 大手監査法人 |
外資系戦略コンサルティングファーム | 27歳(女性) | 国立大卒 | 大手監査法人 |
外資系戦略コンサルティングファーム | 30歳(男性) | 国立大卒 | 大手監査法人 |
大手総合系コンサルティングファーム(M&A) | 35歳(女性) | 有名私立大卒 | 大手監査法人 |
大手総合系コンサルティングファーム(M&A) | 28歳(女性) | 有名私立大卒 | 大手監査法人 |
Big4系FAS(M&A) | 30歳(男性) | 有名私立大卒 | 大手監査法人 |
Big4系FAS(M&A) | 28歳(男性) | 国立大卒 | 大手監査法人 |
Big4系FAS(M&A) | 25歳(女性) | 有名私立大卒 | 大手監査法人 |
Big4系FAS(再生) | 33歳(女性) | 有名私立大卒 | 大手監査法人 |
会計士転職、よくあるご質問
皆様から良く頂く転職に関する質問をまとめてみました。
転職時期のタイミングは?
典型的な質問でありながらも非常にご回答が難しいご質問であり、「ベストな転職のタイミング」の正解は1つでは無く、様々な要素が絡みあって解が導き出されますが、個別性で言うと
・キャリアチェンジをお考えであれば修了考査を終えたタイミング前後
・会計領域/専門領域でキャリアアップをしていくことを念頭に置くなら、マネージャーへの昇格前後
方はキャリアを考える良いタイミングと言えると思いますが、ベストは採用市場(転職希望先の採用活動)が活発なタイミングです。採用意欲の高低に伴い内定獲得のハードルも大きく上下しますので、「狙い時」を外さないように、平時から情報収集をしてアンテナを張ることが、転職活動成功の秘訣になります。
また、会計監査では3〜5月などの繁忙期がある程度決まっているので、その時期に面接を組むことが困難な方が多いため、逆算してその前に終えるスケジュールを組むか、逆に繁忙期後に転職活動をスタートする方がいいでしょう。
何から始めればいいのか
まずは転職の目的を考えましょう。自分に合った転職先を見つけるためには、しっかりと事前準備をして計画的に転職活動を進めることが重要です。そのためには、まず転職の目的をしっかりと見定める必要があります。現在感じている不満や希望を書き出してみて、その中から何が自分にとって一番大事にしたいポイントなのか、優先順位をつけてみましょう。
目的についてある程度自分自身の中で整理ができたら、実際に目的が果たせそうな業界・職種は何か考えていきましょう。これについては「情報」も必要になってきますので、弊社のような会計士転職に強いエージェントにぜひご相談頂ければ良いかと思います。
コロナ以前以降での人材ニーズの違いは?
人材ニーズの違いという点は特にありませんが、求人企業の量はコロナ以降の方が多くなっています。具体的な例を挙げると、FASにおけるM&Aポジションや、投資銀行、ファンド、M&A仲介、さらにIPO目前のベンチャー企業と、アーリーステージのベンチャー企業、また大手の国内・外資事業会社からも経理財務ポジションなどが見られます。
転職スケジュールは?
いつまでに転職したいのか、という点から変わってきますが、概ね書類選考〜内定まで2〜3か月程度が平均的な期間です(さらに掛かる場合や、2週間程度でオファーに至るケースもあります)。また、内定を獲得されてから1〜3か月以内で次の会社へ入社することが一般的で、転職活動スタートから次の会社に入社するまで3〜6か月くらいと考えておくといいでしょう。