
「公認会計士として、これからのキャリアをどう描くべきか」。会計士として専門性を高めてきた方の中には、ふとそんな疑問を抱くタイミングが訪れるものです。特に近年では、監査業務だけでなく、経営の意思決定により近い立場で働きたいという想いから、大手事業会社への転職を考える会計士が増えています。
実際、上場企業やグローバル企業では、会計・財務の知見を内部に取り込みたいというニーズが高まっており、経理や財務部門だけでなく、経営企画、内部監査、IRなど、幅広いポジションで公認会計士の採用が進んでいます。一方で、転職にあたっては年収や評価制度、企業文化など、事前に知っておくべきポイントも多く存在します。
本記事では、公認会計士が大手企業でどのような役割を担えるのか、どんな企業で採用が進んでいるのか、また転職に向いている人物像や注意すべき点などを、専門的かつ実践的な観点から解説します。現在の働き方や将来のキャリアに悩んでいる方にとって、転職という選択肢を具体的に検討するきっかけになれば幸いです。
弊社転職エージェント「ムービン」では、会計士の同業他社への転職はもちろん、ファンド・投資銀行・コンサル・大手事業会社など異業界・異業種への転職支援実績も多数ございますので会計士で転職をお考えの方、今後のキャリアについて悩んでいる方は是非お気軽にご相談ください。
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公認会計士を採用する大手企業は増加傾向にある
近年、上場企業や大手グローバル企業を中心に、公認会計士を採用する動きが明確に増加しています。
それは弊社の肌感覚としてもそうですし、日本公認会計士協会による「組織内会計士ネットワーク会員数の推移」の数字をみてみると2015年末の時点では会員数が約1,400人だったのに対し、2024年末時点では約3,050人と倍増しています。内上場会社には1,200人ほどが在籍しているようで、約半分を占めます。
また、企業の統制強化やガバナンスの強化、IFRS(国際会計基準)対応などにより、企業内部で会計・財務の専門家を持つ必要性が高まっていることも背景のひとつです。特にプライム市場上場企業では、会計士資格を持つ人材の中途採用が通年で行われており、事業の成長とともに専門人材の内製化が進んでいます。
参照:日本公認会計士協会「組織内会計士ネットワーク会員数の推移」
公認会計士の“大手企業転職”が注目されている理由
ガバナンス強化やIFRS対応で会計人材の内部登用が進んでいる
上場企業を中心に、ガバナンス体制の強化やIFRS導入の動きが広がる中、外部の専門家に依存せず、社内に会計知識を持つ人材を抱えるニーズが高まっています。
特にプライム市場上場企業では、金融庁の要請により内部統制や開示体制の強化が求められており、公認会計士の専門性が重宝されています。
結果として、監査法人ではなく「事業会社の中」で意思決定に関わるキャリアを志向する会計士が増加しています。
事業会社が“経営に関われる会計人材”を求めている
従来の「記帳・精算」をこなす経理担当ではなく、「経営の意思決定を数字で支える」高度な財務人材の需要が増しています。
特に経営企画や財務戦略、M&Aに関する業務では、会計知識だけでなく、ビジネス視点を持った人材が求められており、公認会計士の中でも「経営の現場に入りたい」と考える層とのニーズが合致しています。
企業としても即戦力を中途採用で補う傾向が強く、転職市場の追い風となっています。
監査法人からのキャリア多様化が進み、選択肢の一つとして定着
公認会計士のキャリアは、かつては監査法人での昇進が王道でしたが、現在はIPO支援やFAS、コンサル、そして大手事業会社への転職と多様化しています。
中でも大手企業への転職は、「安定」「やりがい」「中長期キャリア」のバランスを求める会計士にとって現実的かつ魅力的な選択肢として定着しつつあります。
実際、監査法人のマネージャー層が事業会社に移る事例も珍しくなくなっています。
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会計士が大手企業に転職したら年収はどうなる?
会計士が大手企業に転職する際、多くの場合は初年度の年収が下がる傾向にあります。たとえばBig4監査法人で700-900万円程度を得ていた30代前半の人材が、日系大手企業の経理部門などに転職する場合、600-800万円前後でのオファーとなるケースもあります。これは、日系企業においては依然として年功的な給与体系が残っているため、職能よりも「入社時点での等級」が報酬に強く影響するためです。
一方で、転職元と転職先のバランスによっても大きな差があります。たとえば無名の監査法人から、上場企業の経営企画部門にポテンシャル採用された場合、年収アップを実現するケースもあります。逆に、Big4から、会計士の中途採用にそれほど力を入れていない企業へ転職する場合は、ポジションが限定的となり、期待より年収が下がることもあります。
また、職種や役職によってもレンジは大きく異なります。経理や税務担当では600-800万円台が中心ですが、経営企画やM&A関連、IFRS導入など専門性の高い職務であれば、800-1,200万円以上が提示されることもあります。課長・部長クラスでの採用やグローバル企業への転職であれば、さらに高年収が見込まれますが、その分ハードルも高くなります。
このように、大手企業への転職は単純な「年収アップ」ではなく、ポジション・業種・企業文化・評価制度の全体像を理解した上での判断が求められるのが実情です。
大手企業へ転職して年収を上げるためにも、ぜひムービンにご相談ください!ムービンでは企業との年収交渉もご対応しております。ぜひお気軽にご相談いただければと思います。
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大手企業で会計士が担うポジションと業務
【経理・財務】決算・税務・開示で即戦力が求められる領域
会計士が最も多く配属されるのが、経理・財務部門です。単体・連結決算の作成、開示書類のレビュー、税務申告、会計基準の適用判断など、監査法人で培った知識と経験がそのまま活かせる領域です。
上場企業ではIFRSやJ-SOXへの対応も求められるため、実務対応力に優れた会計士は非常に重宝されます。また、決算早期化やERP導入の推進など、業務改善のリーダーとしての役割を担うこともあります。
【経営企画・M&A】“事業成長の当事者”として動く役割に
企業の経営企画部門では、事業戦略の立案や中期経営計画の策定、M&Aの検討・実行といった業務に会計士が関わるケースが増えています。
特に、財務モデリングや事業デューデリジェンス、バリュエーションといった局面では、会計的な視点と数字に対する強さが武器になります。
現場と経営をつなぐ存在として、数値をもとに経営陣に提言できる人材が求められており、「数字を読む力から、数字で語る力へ」の転換が期待されるポジションです。
【内部監査・統制】J-SOX・ガバナンス強化での貢献機会
内部監査部門では、子会社や海外拠点の監査、業務プロセスの改善提案、コンプライアンスチェックなど、多岐にわたる業務に会計士が携わっています。
特にJ-SOX対応やガバナンス強化の一環として、財務報告に関わる内部統制の評価・改善を担う役割が増加中です。
監査法人での内部統制レビュー経験を持つ人材は即戦力とみなされ、グループ全体のリスクマネジメント体制の構築に貢献することが期待されます。
【IR・財務戦略】上場企業ならではの高度な対外対応
IR(投資家向け広報)部門では、有価証券報告書や決算説明資料の作成、アナリストとの面談対応などを担当します。
財務内容を正確に把握し、かつ投資家や市場にわかりやすく伝えるスキルが求められます。公認会計士としての会計知識に加え、ビジネス理解や対外的なコミュニケーション能力が必要とされる高度な業務です。
また、財務戦略部門では、資本政策・資金調達・格付け対応などにも関与するチャンスがあり、経営に直結する仕事に携われる点が魅力です。
大手企業転職に向いている公認会計士の特徴
実務経験|監査・IPO・PMI・IFRS・経営支援のどれが効く?
事業会社への転職で評価されやすいのは、監査法人での“汎用性の高い経験”です。具体的には、上場企業監査、IPO準備支援、PMI(買収後の統合支援)、IFRS適用、経営管理に関わるプロジェクトなどが挙げられます。
これらの経験は、経理財務・経営企画・内部監査など複数の部署で活用できるため、大手企業の多様なポジションにマッチしやすくなります。
特に複数の業務や業界に携わった経験は、「広く浅く」ではなく「複数の深み」で評価される傾向にあります。
ソフトスキル|経営目線・提案力・コミュニケーション能力
いくら会計の専門性が高くても、事業会社では“社内で人を動かす力”が求められます。経営層や事業部門とのやり取りにおいては、専門用語を使わずに伝えるコミュニケーション力や、相手の視点で物事をとらえる経営感覚が不可欠です。
さらに、問題点を発見するだけでなく、改善策や施策を提案・実行できる能力も重要です。こうしたソフトスキルは、監査法人内でのリーダー経験や、クライアントとの折衝経験などから磨かれているかが見られています。
プラスαの武器|英語力・ITリテラシー・管理会計の知見
近年、グローバル対応やDX推進を担う管理部門が増えており、語学力やITリテラシーを備えた会計士が強く求められています。
たとえば、海外子会社とのやり取りや英文開示、ERP導入などにおいて、英語やシステム理解力が転職後の武器になります。
また、事業部門のKPI設計や収益構造の分析など、管理会計や経営分析に関する知見があると、経営企画・経理の両面で高い評価を受けやすくなります。
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公認会計士が大手企業へ転職できる年齢・タイミングはいつまで?
20代後半-30代前半|最もチャンスが多いタイミング
公認会計士にとって、20代後半-30代前半は、大手企業への転職チャンスが最も多いタイミングです。
監査法人で3-7年ほど実務を経験し、会計・財務の基礎力が身についた時期でありながら、若さと将来性も評価されやすい年代です。
事業会社側も、教育コストをかけつつ中長期的に活躍してくれる人材を求めており、「経理にとどまらず将来的に経営企画やCFO候補として育てたい」という意図で採用されるケースも少なくありません。
30代後半-40代|役職・専門性がカギとなる選考基準
30代後半から40代にかけては、ポテンシャルよりも“即戦力性”が重視されます。
この年齢帯では、監査法人でのマネージャー経験や、特定業界に対する深い知見、マネジメント経験が評価対象となり、採用ポジションも課長・部長クラスが中心となります。
一方で、単なる業務経験だけでは評価されにくく、社内調整力や戦略的視点、メンバー育成の素養など、より総合的な力が求められるフェーズになります。
年齢より“役割期待への適応力”が見られている理由
採用現場では、単純に年齢だけで選考が決まることはほとんどありません。企業側が重視するのは「年齢相応の役割を担えるかどうか」であり、逆に言えば、40代でも経営目線を持ち、プレイヤーとマネージャーを両立できる人物であれば歓迎されます。
また、ベンチャーや事業再編中の企業では、年齢に関係なく「事業を動かせる人材」が求められる傾向もあります。年齢=不利と考えるのではなく、年齢に応じた強みをどうアピールするかが重要です。
大手企業に転職して後悔するケース
「思ったより年収が下がった」
監査法人で高水準の年収を得ていた会計士にとって、大手企業の給与水準は想定より低く感じられることがあります。
特に30代前半でマネージャー手前の層が転職する場合、基本給が下がり、残業代や賞与体系の違いによって実質の手取りが減ることも。
さらに、企業によっては年功序列的な昇給システムであるため、短期的に収入が伸びにくい点も懸念されます。金銭面でのギャップは、転職前に十分な確認と覚悟が必要です。
「業務内容が希望と違った」
転職後に配属された部署や業務が、選考時に想定していた内容と異なるケースもあります。
たとえば、「経営企画を希望していたが経理部に配属された」「戦略寄りの仕事を期待していたが日常業務が中心だった」といった不満は珍しくありません。
特に大企業では、部門横断的な業務が多く、柔軟性も求められるため、「どの業務に携わりたいか」だけでなく、「どこまで受け入れられるか」も事前に整理しておくことが重要です。
「カルチャーや評価軸が合わなかった」
監査法人と事業会社では、組織文化や人事評価の仕組みに大きな違いがあります。例えば、監査法人は成果主義・年次主義の色が強い一方で、大手企業では人間関係や根回し、コンセンサス形成が重視されるケースも多く、スピード感の違いに戸惑うことも。
また、評価においても定量的な実績だけでなく、協調性や立ち振る舞いが影響するため、カルチャーギャップを感じてモチベーションを失う人もいます。
「成長実感が持てない」
事業会社での業務は、監査法人に比べて専門性よりも汎用性や調整力が重視される場面が多くなります。
そのため、「自分の強みである会計知識が発揮できない」「毎日がルーティン業務で刺激がない」と感じてしまうこともあります。
また、大企業では分業が進んでいるため、業務の全体像が見えづらく、成長の実感を得にくい環境もあります。こうしたミスマッチを防ぐには、入社前に業務範囲やキャリアパスをしっかり確認することが欠かせません。
会計士の大手企業転職でよくある質問FAQ
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まとめ|公認会計士が大手企業への転職を成功させるために
公認会計士が大手企業への転職を目指す動きは、今や珍しいものではなくなりました。特にプライム市場上場企業やグローバル企業では、会計士の専門性を内部に取り込み、経営に近いポジションで活躍してもらいたいというニーズが年々高まっています。
ただし、転職すればすぐに希望通りのキャリアが築けるわけではなく、企業文化や評価制度、年収面のギャップに戸惑う声も少なくありません。
転職を成功させるためには、まず「自分が将来的にどのような立場で経営に関わりたいのか」という軸を明確にし、それに合った職種・企業を選ぶことが不可欠です。
そのうえで、これまでの監査経験やスキルを事業会社目線に翻訳し、企業が求める役割に応じた自己PRができるよう準備しておく必要があります。会計士としての専門性を土台に、視座を高め、長期的な視野でキャリアをデザインすることが、転職後の後悔を防ぐ最大のポイントといえるでしょう。
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その他ポジションの採用ニーズとキャリアパス例

M&Aポジション
Big4を中心としたFAS系ファームから、独立系のブティックファーム、また日系・外資投資銀行などで積極採用が続いています。

企業再生ポジション
20代の若手に関しては、監査経験のみでもポテンシャルを加味して選考・採用する企業も多く非常にチャンスとなっております。

経営コンサルタント
コンサル業界全体として業績好調が続いており、採用も活発化しています。だからこそ自身の志向を踏まえたファーム選びが重要になります。

PEファンド
非常にハードルが高く、会計監査+αの経験が必要になってきますが、稀に若手限定のポテンシャル採用を行うファンドもございます。

事業会社・ベンチャー
経理・財務ポジションへの転職が特に多いですが、経営企画やCFO候補ポジションで数字に強い会計士の方を歓迎する企業も出てきています。

フォレンジック部門
先駆者・ライバルが少なく、「第一人者」になりやすいチャンス溢れる分野。監査業務以外を経験したい方は選択肢の1つとしてお考えください。

監査法人・会計事務所
大手、中堅監査法人共に採用意欲が高い状態で、監査だけでなくアドバイザリー部門でも積極採用を展開しています。

その他金融機関
監査法人にて銀行・証券会社をはじめとした金融機関担当の部署にいらっしゃた方は主計部やリスクマネジメントの領域でニーズがあります。

戦略コンサルタント
戦略コンサルも積極採用していますが、採用基準が緩んでいる訳ではありません。徹底的にケースインタビュー対策が必要になってきます。