新卒で監査法人にご入所された皆様からは「転職するならいつのタイミングがベストか？」というご質問をしばしばいただきます。典型的な質問でありながらも非常にご回答が難しいご質問であり、「ベストな転職のタイミング」の正解は1つでは無く、様々な要素が絡みあって解が導き出されます。

個別性が高いという前置きを置いた上で、こちらのご質問に対して回答しますと、

• ・キャリアチェンジをお考えであれば修了考査を終えたタイミング前後
• ・会計領域/専門領域でキャリアアップをしていくことを念頭に置くなら、マネージャーへの昇格前後

が多くの方にとってはベストなタイミングと言えると思います。

そもそも、転職のタイミングを検討する際に考慮する要素としては

• (1) 転職先のご希望（キャリアチェンジを希望か、これまでのキャリアを延長で専門性を高めたいか？）
• (2) 現職でのご経験年数
• (3) ご年齢
• (4) ライバルとなる他の会計士の方々の動き
• (5) ご希望される先の採用市場の温度感（積極採用か否か）

といった要素が挙げられます。(1)〜(3)はご自身の問題（内部要因）、(4)(5)は外部要因になりますので、(1)〜(3)を踏まえて大まかなタイミングを決め、(4)(5)にアンテナを張りながら細かいタイミングを図るという形でタイミングを決めるのが良いかと思います。

• (1) 転職先のご希望（キャリアチェンジを希望か、これまでのキャリアを延長で専門性を高めたいか？）
• (2) 現職でのご経験年数
• (3) ご年齢

これらの観点からタイミングを考えますと、まず監査業務からキャリアチェンジになる転職であればあるほど、早いタイミングで転職した方がキャリアロスが小さくなります。
勿論、キャリアチェンジになる転職においても、一定程度は監査法人での経験が評価されますが、転職先では新しい業務に従事する以上、100%そのままご経験が活かせるわけでは無く、大なり小なり、新しいチャレンジが生じます。
例えば、M&A、事業再生、エクイティリサーチアナリストといった領域では、監査を通じた会計の知識は役に立つ一方、2-3年監査経験を積めば十分であり、転職先において財務モデリングスキル、ファイナンスの知識や法務知識、ディールマネージメント等々新しく覚えることも多数ございますので、早いタイミングで転職した方が新しいことをスムーズに吸収でき、転職先の業界でも早くスキルアップ・キャリアアップができます。
年齢の観点でも、〜30歳前後までを目安に、若ければ若い方が有利ですので、修了考査が終わったタイミングでご転職される形が一番有利になるかと思います。

他方、例えば監査法人の会計アドバイザリー分野やフォレンジック分野、事業会社の内部統制・経理ポジション等に転職する場合は、こちらの分野でも新しいチャレンジがあるものの、先程の選択肢と比して監査経験がより活きやすいので、シニアスタッフとしてインチャージを複数こなした経験やマネージャー経験も評価されます。
年齢の観点でも30代であれば十分ターゲットに入っていますので、修了考査前後の若手の方でも勿論可能性がありますが、マネージャー前後でのご転職でも決して遅くは無いでしょう。

• (4) ライバルとなる他の会計士の方々の動き
• (5) ご希望される先の採用市場の温度感（積極採用か否か）

上記のような内部要因に加えて、外部要因も考慮する必要があります。特に、ライバルとなる他の会計士の方々の動きについてはアンテナを高くはる必要があり、例えば2011年〜2012年のように監査法人で早期退職者の募集があった時には、早い段階で転職活動をスタートされた方々はスムーズに転職を成功させていましたが、一歩スタートが遅れてしまった方々は、既に採用枠が埋まってしまったり、「まだまだ会計士の応募が来るはずだから焦らなくてもいい」と採用側の会計士に対する目線が上がってしまった影響を受け、予想以上に転職活動に苦戦するケースが散見されました。

より短いサイクルでも、修了考査が終わったタイミング、年度監査の繁忙期後（7月）入社にターゲットを合わせて活動をスタートするタイミング、繁忙期後から転職活動を本格化するタイミング等、一時的に転職活動中の会計士の方が増えるタイミングがありますので、こういったタイミングから「半歩早い」スタートを切れば、有利に転職活動を進められます。

大きな視点では、採用市場（転職希望先の採用活動）が活発なタイミングを逃さない、採用意欲が落ち込んでいる職種よりも採用が活発な職種をターゲットとして狙う…という考え方も重要です。採用意欲の高低に伴い内定獲得のハードルも大きく上下しますので、「狙い時」を外さないように、平時から情報収集をしてアンテナを張ることが、転職活動成功の秘訣になります。

転職のタイミングでお悩みの方は、キャリア相談会という形でざっくばらんにご相談も受け付けておりますので、ぜひ、お気軽にご相談いただけますと幸いです。

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