Movin:
本日はよろしくお願いいたします。初めに、川原様のこれまでのキャリアと、カーライル様へのご入社のきっかけをお伺いさせてください。
川原様:
僕はカーライルが4社目となり、最初は日本長期信用銀行にて9年、その後JPモルガンに3年、GEに5年というキャリアを経て、カーライルに入社しました。
GEから転職したのはちょうど40歳を迎えるタイミングで、キャリアの折り返し地点に来ているなと感じていた時期でした。銀行、証券会社、そしてGEという事業会社を経て充実感はあったのですが、一方で、「一通りの経験ができたし、その時々で関心が高かったものを経験できて楽しかったけれど、僕は何を自分のキャリアとして定めたいのだろうか?」という悩みが出てきたのです。
そんな時にたまたま知人経由でカーライルから誘いがあり、大変悩みました。それで近所のスターバックスにこもって紙と鉛筆を手に「うーん」と唸りながら半日ぐらい「今まで楽しかった仕事はどんな仕事で、それは何故か?」、「今まで成長したなと感じられた仕事はどんな仕事で、それは何故か?」ということを書き出してみました。
Movin:
それまでのキャリアの棚卸をされたのですね。
川原様:
その通りです。そうやって色々考えてみたところ、
「何か会社が挑戦していることを手伝って、それが会社の助けになったなと実感した時にとてもやりがいを感じた」ということと、「これまでの自分から一歩背伸びして、何か新しいことができた時に成長したと感じた」と気付きました。
この2つの点を今後の方向性を決める軸にしようと決意し、カーライルのポジションと照らし合わせたところ、非常に魅力的だと感じました。
GE Equityで投資を行っていたと言いましたが、それはマイノリティの投資でしたので、バイアウトという形で会社のマジョリティを取って、投資先をコントロールし、ガバナンスを効かせていく投資の経験はありませんでした。そういった経験不足も鑑みると、バイアウト投資という仕事は自分にとってかなりチャレンジングだとは思いましたが、投資先に対する影響や貢献できることの大きさは3%のマイノリティ投資とは比較になりません。自分が仕事に求めているモノにフィットするに違いないと確信しました。
Movin:
非常によくわかりました。実際にご入社されて、期待通りだった点も、良い意味でも悪い意味でもギャップがあった点もあったと思いますが、いかがでしたか?
川原様:
そうですね。良い意味でのギャップは2つありました。
1つは人材のクオリティの高さです。
カーライルのシニアポジションでは、入社時に全メンバーと面接を行う形式をとっています。MDからアソシエイトまで全メンバーと会って、誰か1人でも駄目と言ったら不合格です。当時のカーライルは16人のチームで、僕もしっかりとメンバーを見て「16人の中に1人でも一緒に働きたくないと思う人がいたら断ろう」と思いながら面接を受けました。そうしたら、幸いにして、「この人はちょっと…」という人は誰もいませんでした。その印象は入社後も全く変わらなかったです。
Movin:
素晴らしいですね。
川原様:
実務能力もさることながら、人とのコミュニケーションや、仕事への姿勢、チームワーク…、あらゆる点で皆クオリティが高いんです。それは現在に至るまでずっと維持され、むしろアップグレードされていると思います。その点は期待以上で、良い意味でのギャップでした。
もう一つ良い意味でギャップがあったのは、投資先の成長と投資家へのリターン、この両方を絶妙なバランスで追求するカーライルの投資スタイルです。
投資先の成長を助けるために投資をするということは素晴らしいことです。一方で、僕らは投資家からお金を預かっていて、それに対するリターンをお返ししなければいけない。すると、投資家へのリターンを優先するが故に投資先の成長にブレーキを掛けるような場面が簡単に生まれ得る、つまり、「投資先と投資家のどちらを取るのか?」という場面が容易に作られてしまいます。そういう時に、どうするか。カーライルのやり方は、安易にどちらかに転ばず、両方を追求するのです。
Movin:
なるほど。
川原様:
両方を取れる解は確かに存在します。でも「投資先の成長への貢献」という線と「投資家へのリターンの追求」という線の交差点にしか解がないから、針の穴を通すような解になり、難易度が跳ね上がります。
ファンドにも色々なスタイルがあって、投資家へのリターンを徹底的に追求するファンドもあります。それも1つのスタイルですが、僕はそのスタイルでやりたくなかったし、カーライルもそれでよしとはしないファンドなのです。
グローバルでも同様ですが、特に日本のカーライルはより顕著にその想いがあります。加えて、特に日本では両方を追求していく仕事をしないと次の案件へと繋がっていきません。ですから、僕らは「どっち」と言われた時に、安易に「こっち」と選ぶのではなく、両方を追求できる「針の穴を通す解」を求め続けなければいけないのです。
もちろん、常に最適解が見つかるわけではありませんが、どこまでそれを実現できるかがファンドの力でもありますから、諦めずに皆で懸命に取り組んでいます。
この点は入社前にはあまり想像していなかった点であり、入社後にバイアウト投資業務を実際に行う中でその厳しさを感じることはありました。ただ、厳しいからこそ自分の信念を曲げないために「針の穴を通そうとする」努力が重要だということを学びました。
Movin:
逆に、ネガティブな面でのギャップはありましたか?
川原様:
特にネガティブなギャップは無かったですね。ポジティブ/ネガティブに限らず他にギャップがあった点ですと…予想以上に社員同士の距離が近かったことでしょうか。
カーライルは20人前後のチームですから、社員同士の距離が非常に近いです。僕は以前に大企業にしか勤めたことがなかったので、それとのコントラストもありますが、会社の看板以上に、一人一人の具体的な貢献の総和で会社が成り立っているので、ある種ベンチャーのような空気、雰囲気はありますね。
Movin:
20人前後のチームですと、一人一人が何をやっているかもクリアですね。
川原様:
はい、とても可視化されています。
その他ですと…こちらはネガティブサプライズと言えるかもしれませんが、入社した当初は、思ったよりも提案活動で断られることが多かったです。案件発掘のために様々な場所に営業に行っても、5社のうち1社ぐらいしかお話が進まず、「うちは御社のような人達とは付き合わないんですよ。」という風に言われてしまうことも結構ありましたね。
Movin:
10年前ですと今ほどPEファンドが世間に浸透していませんでしたよね。
川原様:
今と全然違いましたね。アクティビスト・ファンドが元気だった頃ですから、勘違いされていた方も多かったと思います。
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