movin:
本日は宜しくお願い致します。まずはお二人のご経歴をお聞かせください。
野田様:
私は新卒で88年に日本長期信用銀行(現:新生銀行)に入行しました。金融というものが様々な産業の潤滑油であり、いろんな業種を見ることが出来ると思い志望しました。転機となりましたのは、やはり長銀が国有化された98年です。私は長銀の破綻の1年半前からロンドンに派遣されており、外部から長銀が国有化されていくプロセスを見ていました。私はこのとき、危機というものを内部で認識することが如何に難しいのか、身を以て知りました。
そのあと国有化を契機に、私は長銀を辞めてコンサルティングの世界に入りました。マッキンゼーの東京とニューヨークで、日本企業の海外進出・グローバル化などというテーマに対峙する中で、この分野においてハンズオンで日本の海外進出、とくに企業買収をリードしていける人材層が必要だ、と強く実感しました。
その想いがあり、次のキャリアでKPMGのシリコンバレーオフィスに、日本企業の米国進出をサポートするコンサルティング部隊を立ち上げるというミッションで参画しました。そこで4年間過ごしましたが、「今後日本企業はますます海外に事業を展開する必要に迫られるにも関わらず、それをリードしていく人材が圧倒的に不足している」という思いが強くなっていきました。
その後、帰国しPEでCFOを務めた後、ハンズオンで、経営破綻を防ぐ、あるいは日本企業の海外進出を支援したいという想いが強くなり、アリックスパートナーズに参画しました。実際入ってみて、そういう案件が幸運なことに増えてきていて、アリックスパートナーズが得意とする企業再生の案件に加え、日本企業が買収により海外に事業展開していく際の、買収の検討、デューデリジェンスから始まり、その後の事業統合の支援、買収後の業績回復のテコ入れ、などに我々の独自手法を取り込んで取り組むプロジェクトが増えてきています。振り返ってみると、私は銀行の破綻を契機に様々な経験をしてきたことが今アリックスパートナーズで集束して仕事ができていると感じています。
movin:
なるほど今のお話を伺いますと、根底には一貫した想いをお持ちでいらっしゃるということがよく分かりました。ありがとうございました。
それでは深沢様お願いします。
深沢様:
大学は体育会系でラグビー部におりまして、私が就職したころはだいたい大学の先輩に誘われたところに面接へ行ってその中でフィットする人がいる会社に入るという活動が一般的でした。その中でたまたま住友銀行という会社の雰囲気、誘われ方に相通じるものを感じまして入社しました。そのころはちょうどバブルの最盛期で法人営業を中心に6年ほど経験し、その後留学を決意しました。
留学当初は世界銀行や国連など幅広い選択肢を考えていましたが、あまりコンサルティングという発想は頭になかったです。留学中のサマージョブで、せっかくアメリカに来たのでアメリカで働けるところを探していたところ、ルイジアナのとあるスペシャリティケミカルの企業が日本人を探しており、そこで2ヶ月余り働くことになりました。スペシャリティケミカルというのは化学製品に様々な特性を持たせるために加える特殊添加物です。私はその研究所で新しい事業の立上げを検討するフィージビリティスタディを、一人で、いわゆる社内コンサルのような形の仕事をやりました。なんで私が採用されたのか分からないのですが(笑)、やってみたらことのほかそれがうまく行きまして、その案件自体も具体的に動きはじめました。どうもコンサルティング的なものは、やってみると面白いものなんだなということを、やってみて実感し始めました。
卒業時に色々な会社にお誘い頂き、その中で私に一番フィットしそうな会社として選んだのは当時のA.T. カーニーでした。
その後20年という長い期間、A.T. カーニーで色々なことをやらせて頂きました。その過程では大企業の経営構造改革と言われるような大規模な案件に携わることも多く、非常にエキサイティングで楽しかったです。また東京オフィスを任されたり、中国オフィスの代表を兼務したりといった色々な経験もしました。一通り様々な課題に取り組んだ後、今後日本経済って何が起こるかなと考え、最も加速させなければいけない事に取り組んでみたいと気持ちを固めました。再編・統合の大きな波が今までとはケタ違いな水準で起こらないと、日本の経済・日本企業が新たなステージに向かえないというのはどなたも思っています。しかし、それが自社に明日くるという切迫感で考えている企業はまだ限られています。
事業会社という選択もありましたし、実際お声掛けも頂いたりしたのですが、コンサルティングという仕事は今後もやり続けていきたい仕事だなという想いを再認識しました。クライアントとの関わり方や対峙するテーマなどについて考えてみると、コンサルタントとしてのスタンスとして一段と突っ込んでいける余地があるのでは、と。そういう意味で、アリックスパートナーズがやっていることが、自分の今後に向けての志向にフィットしたという感じです。
野田様:
私の方でも、アリックスパートナーズの東京オフィスがそれなりの所帯になっていく過程で、より組織化した運営というものが求められている時期に、リーダーシップを強化する必要があり、深沢さんのような経験豊かな方に来て頂きたいと思っていたタイミングとちょうど合ったというわけです。
movin:
なるほど、A.T. カーニーも組織としてまだ小さい頃からその成長を深沢さんはずっと見てこられたわけですからね。昨今はコンサルティング業界自体も合従連衡や再編も盛んな中で、御社が新たな価値を担って組織として更に成長されることは本当に楽しみなことですね。