

movin:
実際に御社における働き方についてお聞かせ頂ければと思います。先ほどGMのお話もありましたがグローバルとの協働などはあるでしょうか。
深沢様:
国境に対する意識というものはアリックスパートナーズの中では薄いです。グローバルワンファームという言葉通りです。たとえばブルネイ航空の再生においては日本人スタッフが6〜7人現地に赴き、暫定経営陣として1年余り改革をリードしてきました。グローバルという言葉は色んな人が色々な使い方をしますが、我々の場合、まさに扱う課題も、一人一人の動き方も、グローバルです。別の事例で言えば、私が関わっているプロジェクトのうちの2つは、完全にドメスティックな事業なのですが、その業績改善のキーとなる要素に海外の知見が生きてくるところがあって、それぞれのプロジェクトに欧米のスタッフが複数参画しています。クライアント企業もその価値を認めて頂き喜んで頂いています。
movin:
いま世界中で動いているプロジェクトは全員で共有されているんですね。
深沢様:
はい、ナレッジシェアと言っても知見を紙に落とすことが重要なのではなくて、「誰が何を知見として持っているのか」というのがお互いわかるように、人と人を繋げることに大変努力していますし、そういった直接のコミュニケーションを推奨しています。また、逆にそれに反応しない人は変なやつだ、とみんな思うようなカルチャーが醸成されています。この点は大変ユニークだと私も思います。
movin:
たとえば具体的に何か事例はありますか?
深沢様:
たとえば、グローバルに対してE-Mailで「こんなこと知らない?」って送る事はコンサルティングファームでは良くありますよね。通常答えが一個も返ってこないこともありますけど、アリックスパートナーズではレスポンスが返ってこないことがないです。他には、「実は2日後にこういうことがあって、東京に、名古屋に、大阪に来てほしいんだけど…」と言えば、必要な専門家が来てくれます。やりくりして時間を作ってきてくれます。
movin:
それはおもしろいですね。ちなみに、御社はグローバルではかなり多様なメンバーが居ると思いますが、こんな変わったスペシャリティを持った人とかいらっしゃいますか?
野田様:
たくさんいますね。これまでお話してきたのは、アリックスパートナーズが持つ4つのプラクティスの内の一つだけです。
我々二人が属しているのは、エンタープライズインプルーブメント、EIと言って、所謂企業の業績改善や破綻前の再生を主に手掛けています。しかしもともとアリックスパートナーズは、チャプターイレブンを申請した企業をいかに早く再生させるか、ということをミッションとしていました。これをターンアラウンド&リストラクチャリングサービス、TRS、と呼んでおり、これがアリックスパートナーズの出自です。EIはこのTRSから派生したサービスですが、もう一つ派生したサービスが、フィナンシャルアドバイザリーサービス、FAS、と呼ばれるものです。しかし通常の会計系ファームのFASとは大きく異なり、我々が手掛ける案件は、訴訟対応や、企業の不正調査、移転価格などのエコノミックコンサルティングを主体とした幅広いものです。さらに一番新しいプラクティスとして、インフォメーションマネジメントサービス、IMS、があります。このプラクティスは、大量のデータをいかにビジネス上の経営判断に役立てていくか、というテーマを扱います。
たとえばBP(旧ブリティッシュ・ペトロリアム)がメキシコ湾で原油流出事故を出したときに、何十万という訴訟のクレームがありましたが、それらのクレームから二重請求などの不正請求を取り除いて整理し、如何に適正な損害額・支払額を確定させるか、といったテーマに力を発揮しています。TRSから派生した3つのプラクティスは、いずれも企業再生というテーマから派生しています。たとえば、FASが手掛ける不正調査は、企業が倒産・破綻するときによく起こりがちな何らかの不正を解明するものであり、その不正の内容を解明したり、資金を回収して株主に還元したり、ということもやっています。ですからチームメンバーのなかには不正調査に長けたもの、あるいはアメリカの裁判所できちんとエキスパートとして証言できる実績をもった者も多数います。また、グローバル全体で、それぞれの業種に特化した専門家が多数在籍しています。彼らはもともとその業界の企業に経営陣として在籍していた経歴を持つものも多数います。
movin:
そのような方々が世界中にいて、必要なときはいつでもアクセスできるとは心強いですね。
よくわかりました。色々とありがとうございます。