movin:
本日はご多忙の中お時間を頂き、誠にありがとうございます。早速ですが、まず初めに貴社の設立の背景とこれまでの変遷についてお伺いさせてください。
ABD 栗原様:
弊社の設立は2005年の8月になります。設立までの経緯としては、弊社役員は元々朝日アーサーアンダーセンという会社で一緒のチームで活動していた仲間であり、同社で一緒に活動していたメンバーを中心に設立されました。
当時もコンサルティング業界は業界再編の流れがあり、大手ファームは再編に伴う組織変更・方針転換によって、仕事のやり方がしばしば変わっていました。特に外資系ですと、本社をどこに置くか、日本のオペレーションをどこが管轄するか等の社内の組織構造によって、やり方が大きく変わり、真にクライアントのニーズを踏まえたサービスを提供する、クライアントの状況に応じて柔軟に対応する、ということに社内調整等の労力を要する環境にありました。
こういった背景もあり、当時のクライアントよりももう少し幅広いクライアントの、幅広い課題に対して、自分たちがベストだと思うやり方でサービスを提供していきたいとの想いから、朝日アーサーアンダーセン(現在のプライスウォーターハウスクーパース)を退職し当社を設立しました。設立当初は我々を個人として評価いただけるクライアントを中心に、主にM&Aや投融資に関するファイナンシャルアドバイザリーサービスを行っていましたが、今では事業再生案件も多く、パイプライン、サービスライン共に幅が広がっています。
movin:
現在はどれくらいのメンバーがいらっしゃるのですか?
ABD 加藤様:
現在は男性8名・女性8名の計16名のメンバーがおります。職位別にはパートナー2名、マネージャークラス4名、シニアコンサルタント・コンサルタントが4名で、アシスタントが6名という構成になっており、平均年齢は30代前半というところでしょうか。
movin:
どのようなチーム体制で1つの案件を遂行されるのですか?パートナー1名+マネージャーもしくはシニアコンサルタントタント以下の方が1-2名という感じでしょうか?
ABD 栗原様:
基本的にはそのようなイメージですが、クライアントとの兼ね合いによってパートナークラスが1名で実質プロマネをやっている案件もあります。
movin:
場合によってはパートナーの方とシニアコンサルの方2名体制でやることもありうるのですか?
ABD 栗原様:
はい、案件規模や難易度によって、投入すべきリソースも違ってきますので、案件を見ながら個々に判断して柔軟にチームを組成しています。
ABD 加藤様:
あまりこの人の担当はこの業務…という形で線引きをせずに、状況に応じ、メンバーの希望を聞きながらアサインメントを調整していく事を常に意識しています。
movin:
なるほど。ではマネージャー以下の方はIFRS/バリュエーション関連の案件を担当されて、その次の案件では事業再生のお仕事をされるということも?
ABD 栗原様:
その時の案件の状況次第ですが、そのようなケースもありえます。今のように引き合いが多く案件が重なってしまうと、どうしてもアサインメントの調整ができないこともありますが、最大限、個々人の希望を尊重できるよう努力しています。
movin:
設立から13年目を迎えますが、その間に変わられたことはありますか?
ABD 栗原様:
一番の大きな契機は2008〜2009年のリーマンショックでした。弊社だけではなく、コンサルティング業界全体、世の中全般にとって契機となったかと思いますが、リーマンショックをきっかけに企業も守りの姿勢に入り、投資活動やコンサルティングの発注を絞り込みました。こういった環境で、我々もサービスラインやクライアントの幅をもう少し見直さなければいけないという問題意識を持つようになり、2009年以降は少しずつ領域を広げていきました。
movin:
具体的にはどのようにサービスラインやクライアントの裾野を広げてこられたのですか?
ABD 栗原様:
リーマンショック前は全体的に景気が良かったこともあり、クライアントの投融資に関するアドバイザリー業務・M&Aアドバイザリー業務やこちらに付随するバリュエーション業務、財務デューデリジェンス業務、ビジネスデューデリジェンス業務等が多かったです。しかしながら、リーマンショックで企業の投資が手控えられるようになると、事業再生案件や経営再建型の案件、業務改革案件のご相談が増え、投融資案件のみならず再生型・再建型の案件までバランス良く展開していくようになりました。ここ2-3年に関しては、再生案件の中でもスポットで計画を作っておしまい…という案件ではなく、計画実行段階までフォローし、継続的にサポートしていく案件が増えており、リピート案件・継続案件も増えています。
movin:
なるほど。ちなみに最近の状況としては、各サービスラインの案件比率はどのような比率になりますか?
ABD 栗原様:
そうですね。ざっくり申し上げると、
(1)(金融機関からの紹介・依頼による経営改善・業務改革コンサルティングが1/3、
(2)事業会社から直接依頼が来る幅広い経営コンサルティングが1/3、
(3)バリュエーションを中心としたM&A・IFRS関連のアドバイザリーが1/3
といったイメージになります。
ABD 加藤様:
案件規模は様々ですが、大体年間で80件程度の案件を遂行しています。テーマや業種も本当に多種多様で、例えば再生案件であれば財務デューデリジェンス・ビジネスデューデリジェンス・再生計画立案の全てをパッケージで担当するものもあれば、あまり他社ではカバーできない特定領域に特化した部分だけを担当するケースもあります。