Movin:
話は変わりますが、カーライル社のカルチャーやチームメンバーに対してどのような印象をお持ちですか?
鳴川様:
メンバー1人1人のプロフェッショナル意識の高さを感じます。カーライル・ジャパンの投資プロフェッショナルとしては合計20人弱の組織なので、個々人が自分の仕事をしっかり責任を持ってやり切るという意識が非常に重要視されます。実際に入社した時には、前々職の投資銀行や前職の商社がいずれも巨大組織であったのに対して、カーライル・ジャパンは1人1人のプロフェッショナルが集まっている「パートナーシップ」という印象を強く受けたのを覚えています。ただ、今後より大きな成功を組織として実現していくために、人材育成に今まで以上に力を入れる組織に変貌を遂げようとしていると思います。
Movin:
「プロフェッショナルな個人の集まり」から、「プロフェッショナルな組織」への過渡期といったところでしょうか?
鳴川様:
そうですね。
Movin:
他のPEファンドと比べた際に違いを感じるのはどのような点ですか?
鳴川様:
カーライルはグローバルに事業展開していますが、ローカルビジネスはローカルメンバーが見るべき、という考え方を強く持っているファンドであり、他の大手外資系ファンドと異なり、日本に特化したいわゆるジャパン・ファンドを有しているのは非常に特徴的であると思います。また、日本オフィスは2000年から投資活動をスタートし、累計で23件の投資を実行しており、直近では平均で年間2-3件くらいのペースで投資が出来ていますので、ディール件数の多さとそれに付随する組織としての経験値は差別化要素になると考えています。なお、投資プロフェッショナルの業務の特徴としては、一人の担当者が最初の投資検討の段階から最後のエグジットまで一気通貫して担当するスタイルを取っており、こちらもユニークなポイントであると思います。
Movin:
カーライル社のアサインメントや評価の仕組みはいかがですか?
鳴川様:
案件のアサインメントについてはアサインメントオフィサーが管理しています。週に一度、我々若手メンバーはアサインメントオフィサーにワークロードをアップデートして提出しており、それを踏まえて、アサインメントオフィサーがシニアメンバーと話をしながら、また各若手メンバーの希望も適宜取り入れつつ、どの作業を誰に担当してもらうかが割り振られています。繁忙度だけでは無く、育成・経験のバランスも意識しており、例えばエグゼキューションを経験していないメンバーがいれば、育成のためにエグゼキューション案件は優先的に回そう…といった配慮もしています。
評価システムは、いわゆる360度評価を採用していますが、20人弱の組織なのでほぼ全員がお互いを見ているという方が正しい認識かもしれません。
Movin:
若手の視点から見て、カーライル社で活躍できる人材はどのような方でしょうか?
鳴川様:
テクニカルなスキルセット、例えば財務モデリングのスキルや法務・会計・税務の知識といったものはもちろん重要です。ただし、PEファンドの仕事は極めて全方位的な仕事なので、必ず今までに経験したことが無い仕事が日々出て来ますが、これらについては柔軟な対応力を持ってOJTでキャッチアップしていけば問題ない要素だと思います。
一方で、本当に重要なのはソフト面、例えば、当事者意識を持って仕事を最後までやり切れるか、合理性・論理性をもって人を巻き込んでいけるか、周りに納得して動いて頂けるよう働きかけられるか、人の意見に耳を傾けることが出来るか、人に共感できるか、といった総合的な人間力が求められる仕事だと思います。一言で言ってしまえばコミュニケーション能力という表現になってしまうのかもしれませんが、こういったソフトスキルが無いと、どんな仕事でも結局同じだとは思いますが、最終的にはどうしても十分なアウトプットを出すことが出来なくなります。
Movin:
最終的にはソフトスキルで差が付きやすいと。
鳴川様:
そうです。カーライルの採用面接の中でも一個一個のテクニカルなスキルセットを確認はしていますが、一定水準を満たしていれば本質的にはそこまで重要ではないと思っています。もちろん、面接でソフトスキルを見極めるのも決して容易ではありませんが、過去の案件を1つ例にとって掘り下げて質問していくと、その方がどんな立場で何をやっていて、どのくらいオーナーシップを持ってプロジェクトを進めてきたのか、についてはある程度想像がつきますので、その内容を吟味しています。
Movin:
単なるディールの実績以上に、おっしゃったような主体的に何かを動かした経験、人を巻き込んだ経験、オーナーシップを持って仕事に取り組んだ経験…といったポイントを見ていらっしゃるということでしょうか?
鳴川様:
その通りです。例えば、案件規模は小さくとも、VPがいない中でアソシエイトである自分がディールをマネジメントしたといった経験の方が、案件の大小よりもはるかに重要だと思います。
Movin:
少し話は変わりますが、逆にPEファンドを目指される若手を面接していてPEファンドの仕事に対する誤解を感じる点はございますか?
鳴川様:
一つあるのは、我々はあくまでも株主・投資家であり、経営者では無いということへの認識が不十分なケースが見受けられます。もちろん、経営者の横にいて経営者と同じ目線で物事を考える必要がある仕事なので、この点では非常に良い経験が出来るのは間違いない事実ですが、あくまでも経営者をサポートする立場であって、自分たちが経営者になるわけではありません。仮に将来的に経営者になるためのキャリアステップとして位置付けるのであれば、本来であればPEファンドを目指すというよりは、実際に事業に主体者としてどっぷりつかって結果を出す経験をした方が良いのではないかと個人的には思います。
我々は投資先の経営者と密に協働していますが、ある意味冷静な目で横から見ている部分があり、またPEファンドの関与には時限性があるので、経営者の見ている時間軸とPEファンドが見ている時間軸が必ずしも一致しない場合もありえます。当然、お互い議論して考えのすり合わせを常にしていますが、こういった違いがあることも踏まえると、将来経営者になりたいという目的が明確なのであれば、必ずしもPEファンドの業務経験がベストかは分かりませんし、実際に面接の場でもそう申し上げています。PEファンドの仕事は投資(金融)と経営のミックスであるということを、きちんとご理解頂いた方が良いと思っています。
Movin:
最後に御社にご関心をお持ちの方にメッセージをお願いいたします。
鳴川様:
カーライルでの仕事は非常に面白くてやりがいがありますが、それ以上に優秀で一緒に働きたいと思える同僚が揃っており、大変魅力的な職場環境だと思います。責任感とドライブ力がある方に来て頂けましたら、ますますお互いをもっと高め合いながら仕事に打ち込めると思いますので、ぜひそういった方に興味をお持ちいただければと考えています。
Movin:
本日はお忙しいところありがとうございました。