
movin:
多種多様な案件をご経験されてきた中で、特に印象に残っている案件はありますか?
田中様:
そうですね…どの案件も非常に印象深いので、絞れませんね。
塩野様:
私も同様で、どの案件も非常に印象深く、もっと言ってしまえば、深くやればどんなものでも印象深くなるので、印象深くするというのは自分の問題だと思います。クライアントはコンサルタントを成長させるために依頼をしているわけでは無く、付加価値を出してもらいたいがために依頼をしているわけで、プロとして付加価値を出そうと全力で取り組めば、全ての案件が印象深いものになると思います。
付加価値という観点で申し上げると、我々は「事業そのもの」がクライアントだと思っており、クライアントのマネジメントが理解してくれないから実行できなかった、成功しなかったというのは言い訳にすぎないと思っています。極端な話、事業にとって社長が適切といえない状態であれば社長の交代を提言すべきだと思っていますし、クライアントから「そう言うのであればお前がやってみろ」と言われた際に、「では代わりに私が経営します」と言い切れるべきだと思っています。通常のコンサルティングファームの若いコンサルタントですと上記のようなシーンではたじろいでしまうと思いますが、プロとしては、いざとなったら自分が代わりに経営するぐらいの覚悟がないとダメだと思います。
movin:
実際に御社のコンサルタントが経営陣として参画して支援しているクライアントや投資先も有りますよね。
塩野様:
そうですね。ただ、実際のところ社長だったら自由に会社を動かせるわけではありません。社長の方が却って不自由なこともあり、社長の横にいる人間がキーパーソンとして会社を動かしていることや、事業部長レベルの方が会社を動かせることもあります。例えば中央官庁の官僚だったら、34,5歳の課長補佐ぐらいが一番実務を動かすことができます。従って、何かを成し遂げるときにはポジションありきで考えるのではなく、物事を一番動かせるポジションに我々が関与できればいいと考えています。
そういう意味では、田中も実際にクライアント企業の中に自分の席を持ってまさに人の采配をやっていたりします。
movin:
組織・人事をテーマにしたコンサルティングも行われているのですか?
田中様:
結果的に組織・人事領域まで踏み込んでいくことになりましたが、最初から組織・人事という切り口でサポートをはじめたわけではありません。先程の塩野のコメントにもありましたが、あくまでもクライアントは「事業」であり、事業の成長・継続支援という観点から必要なことはやるという考え方です。従って必要であれば、人を外すことも、育成もやります。組織骨格に手を入れるケースもあります。このような意味で組織・人事がテーマになることはありますが、あくまでもゴールは「事業の成長・継続」です。事業の成長に向けてのソリューションをIGPIは360度全方位で提供していると捉えていただくと良いかと思います。
movin:
本プロジェクトではどのような形で関与されたのですか?
田中様:
このケースでは、事業戦略を実現している5年後の組織の姿を描き、その5年後の姿と現状のギャップを明らかにし、打ち手を考えていきました。まずは、事業戦略を実現している5年後は、誰がどのポジションにつき、どのように、どの程度のスピード感を持って意思決定をしているのか、といったことを具体的に考えていきます。その上で、5年後の姿に到達するためには、誰にどのような経験をさせて育成していくのか、そのステップを検討し、短期的な業績とのバランスを鑑みながら、実際に人事配置という形で落としていきました。一方、この中でポストオフする人も決めています。

movin:
今のお話をお伺いして、御社はこういったソリューションも提供されているのだと、非常に驚きました。
田中様:
IGPIは本当に、事業に必要なことであれば何でもやりますよね。
塩野様:
やらないことはないですね。
movin:
設立当初の御社のイメージはハンズオンでの事業再生というイメージが強かったのですが、本当に多種多様なテーマでクライアントを支援していらっしゃるのだと再認識しました。ご入社時と現在とを比べて、クライアントのニーズ・期待に変遷を感じる点はありますか?
塩野様:
ご相談いただくテーマが多様化していると思います。ただ、どちらかというと我々の方針が変わったというよりは、その時の経済状況に即してご相談いただくお話に再生案件が多い、成長戦略が多い…という形で割合だけが変わっているイメージです。
movin:
御社が変わるというよりは、外部環境に応じてクライアントの状況や悩みが変わっているということですね。
田中様:
そうですね。ただ、どの問題も最終的には人間の問題であり、「自分の立案した戦略が理解されないのはクライアントが悪い」と言うことは許されないので、どのテーマでも結局はクライアントを動かしていけるかが大事だと思っています。
例えば、必要であればメディア対応などもアドバイスします。
movin:
メディア対応のアドバイスもされるのですか!具体的にはどのようなアドバイスをされるのですか?
塩野様:
IR資料・決算資料を一緒に作成することから、各メディアに対してどういうメッセージを発信し、どういうコミュニケーションを行うかといったポイントまでアドバイスしています。記者会見の服装さえも入ります。通常であればPR会社や広告代理店の領域になりますが、我々は彼ら以上に踏み込んだ部分までアドバイスしています。