アドバンスト・ビジネス・ダイレクションズ株式会社 インタビュー 栗原浩夫氏、加藤祐司氏、高原峰愛氏

PJT事例 岨業再生〜

ABD 栗原様:

景気も良くなり、再度M&A系の案件も増えていますが、一方で事業再生・事業改革型の案件も引き続き多く、事業再生・事業の構造改革のあり方自体が時代とともに少しずつ変わっていることを感じます。

movin:

具体的にはどのような変化をお感じですか?

ABD 栗原様:

リーマンショック以前の再生案件・再建案件というのは、どちらかというと「選択と集中」がメインといいますか、いわゆる不採算事業を売却・リストラすることで出血を止めて、短期的に業績を改善させるような、バランスシートの改善を中心とした、ある意味大胆な案件が中心でした。こういった取り組みを大きな会社から順番実施していき、同じようなやり方・同じようなテーマの案件がしばらく続きました。
ただその一方で、残した事業自体も売上は下がってくるし、自助努力のコスト改善だけをやっていても限界があるという中で、本当に事業そのものに手を加えないと先が見えない…という時代になってきました。
そうすると、言うなれば本当の意味でのP/L改善が必要になってきます。
P/L改善も初期のころはどちらかというとコストカットメインで、簡単に申し上げると「1本いくらの鉛筆を何本削ればいくら削減できる」というイメージの比較的単純な話が多かったのですが、これだけでは限界があります。そうすると、本当にものづくりの現場の中で、「無駄がないか・改善できるポイントは無いか」と、より深いところまで入っていく形になりました。
従って、事業再生・事業再建と一言で言っても、ここ数年で切り口が随分変わってきているところがあって、以前はポートフォリオ分析や事業の選択と集中といった切り口からスタートしていたものが、今ではP/Lの中身、原価の一つ一つの中身を分析した上で、経営改革プランを提案するというやり方に変ってきています。

movin:

では、ファイナンスだけではなくより事業サイドに踏み込んでいくということが多くなっているのですね。
こちらのポイントが、他の事業再生コンサルティングを行うファームとの大きな違い・特徴になるのでしょうか?

ABD 栗原様:

事業サイドにまで踏み込んでいかないと、クライアントに対して本当に有効な解決策をご提案出来なくなってきていると感じており、我々のクライアント並びに金融機関様からも、事業面を意識した分析を行うが故に、分析の切り口が細く、細かいが故に実行性がある、というご評価を良く頂きます。

movin:

具体的にはどのような分析の違いがあるのでしょうか?

ABD 栗原様:

表面上の数値に留まらずその数字が現れる原因にまで踏み込んで分析をしていくというイメージです。当然、最後のアウトプットは数字で示しますが、単に財務諸表上の数字を分析するだけではなくて、現場から出てくるオペレーションの数字もしっかりと分析して、そこから仮説・解決策を出して実行性がある計画をつくります。

ABD 加藤様:

私からも補足すると、他のコンサルティングファームは財務諸表の数字をベースに話をしていくケースが多いのですが、我々は現場のデータを大切にしています。現場のオペレーションがあって初めて会社の数字が出来上がっているので、数字の根源である現場を見に行かない限りは、会社のことは分かりません。
我々が会社を運営するのではなく現場の方々が会社を動かしていくので、現場の方々が腹落ちする計画でなければ、必ずうまく行かないのです。ですから、我々は「まず現場を見させて下さい」と依頼して、実際に現場を見せて頂いて、社員の方がどういう動きをしているかを確かめるところからスタートします。
数字だけを見るだけだと現場感が無く話をしてしまうケースが多く、また例えば大手自動車会社の工場でカイゼンをしていましたというオペレーション系の方だと、現場はわかるけど数字にまで繋がらない。我々は両者を融合させて、現場のデータと数字を繋いで分析をしていきます。この点が他社と大きく違う点だと思っています。

movin:

なるほど。このポイントが先程おっしゃっていた「あまり他社ではカバーできない特定領域に特化した部分」になるのでしょうか?

ABD 加藤様:

こういったピンポイントの依頼のケースとしては、例えば商品点数が多い事業で、1つ1つの原価の中身をきちんと見て、標準原価の作り方から改善ポイントの洗い出しを行い、最終的な事業計画・数値に反映していくといった、事業に踏み込んだ部分をやって欲しいといった依頼がありましたね。
’箴紊鯀やす/⊆益性の高い分野の注力をして生産効率を上げる/コストを下げるといったポイントを押さえられれば、ベースの事業計画はできます。ただ、いくら計画を作っても絵に描いた餅で終わってしまっては意味がないので、そこにいかに現場まで落とし込んだ具体的な現実的な数字を持ち込むか、ある意味会社も知らないような数字を調べて作ってあげるかということが大事です。
経営陣も感覚では分かっているのだが、調べる時間がない・調べ方が分からないという状況で、我々がきちんと事業部の数字を紐解いて、経営陣が知らないデータを作ってあげる。これを積み上げて計画を作り、最終的なアウトプットに「いかに血を通わせるか」ということを考えながらやっています。

movin:

なるほど。現場をしっかり見ていくことで「計画のための計画」では無く、本当に実現性がある「血の通った計画」が出来上がるのですね。事業再生案件の他に、設立から10年目を迎えて変遷を感じる部分はございますか?

ABD 栗原様:

クライアントの変遷という観点ですと、リーマンショック後からは金融機関から紹介を受けて、融資先のお手伝いをするケースが増えました。金融機関の方とディスカッションする中で、「この融資先の収益を改善させたい、キャッシュを改善させたい」というお話があり、依頼を受けるイメージです。
金融機関からしてみると、これまではリストラやコスト削減といった切り口で利益を捻出しようという、分かり易いテーマで融資先に接してきたのですが、それをやってもなかなか根本的に営業利益が黒字に転換しない。一方で、売上が順調に伸びて行く姿も見えない中で、「ではどうすれば良いんだ…」と壁にぶち当たってしまうのです。こういった中で、先程申し上げたようなもう一歩ビジネスの中身に踏み込んで行く改革プランへのニーズがあり、我々の元に相談が来ます。

movin:

どのような金融機関とお付き合いがあるのですが?

ABD 栗原様:

メガバンクから地方銀行、信用金庫、信用組合に至るまで幅広い金融機関とお付き合いがあります。

movin:

貴社のような少数精鋭の体制で新しい金融機関とお付き合いを増やしていくのは大変かと思うのですが、どのように広げていかれたのですか?

ABD 栗原様:

我々が営業活動を積極的に行うというよりは、1つの案件をきっかけに自然とお付き合いが広がっていくというケースが多いです。例えば各地方には中小企業再生支援協議会という組織があり、特定の地方で1つ案件を行うと、協議会経由で関係する金融機関との接点が増えます。そうすると、ABDという会社はこういう切り口で改革提案ができる会社だと認知され、これをきっかけにこれまでお付き合いが無かった金融機関からも、融資先のB社に同じような改革提案をやって欲しい…という話が持ち込まれるようになり、色々な金融機関と接点が出来てきます。

ABD 加藤様:

似たようなパターンとして、A行がメイン行である企業の再生案件に取り組む中で、同社の準メイン行のB行がその中身を見て、B行がメイン行である別の企業の再生を依頼される…というケースも多数あります。計画策定だけではなく、計画策定後にきちんと計画が実行出来ているかモニタリングしながら支援する案件も多いため、この段階で計画以上に利益を上げられていると、「ABD社のコンサルティングは成果が出ているね」という評価が自然と付いてきて、同じ銀行から次の案件の依頼をいただきます。

movin:

なるほど。では、例えばどこかの地域でこれまでお付き合いがある銀行に依頼されて1つの再生案件に取り組まれると、そこに準メイン行として入ってらっしゃった他行から、「あの案件でコンサルティングをされたABD社に頼みたい案件があり…」という形で…

ABD 栗原様:

仰るようなイメージです。

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