アクセンチュア 戦略コンサルティング本部 マネジング・ディレクター 清水 新氏インタビュー

アクセンチュアについて(特徴・強み)

movin:

本日はお時間を頂きありがとうございます。まずは、アクセンチュアの特徴についてお伺いできますでしょうか。

清水様:

アクセンチュアには現在、世界全体で約29万人の社員が働いています。業務上、実質的なヘッドクォーターは存在していないので、アメリカの会社というわけでもなく、ヨーロッパの会社というわけでもありません。本当にグローバルな組織体として働く会社なのです。しかも56カ国以上の拠点ではみんな同じ理念を持って働いています。我々はプロダクトを作っているわけでもなく、ソフトウェアやデータセンターを持っているわけでもありませんので、徹底して「人」にレバレッジをかけていきますし、そこから世の中に新しいものを生み出して、次の時代を切り開いていこうというようなマインドが根付いています。この点がアクセンチュアの最大の特徴だと思っています。ちなみにその理念というのは、人材を獲得する上においても、育成する際にも、非常に大切なものとなっています。

movin:

なるほど。理念とは具体的にどのようなものがあるのでしょうか?

清水様:

具体的には6つのコアバリューという共通の価値観があります。まず、Best People(ベスト・ピープル)。これは「自分だけでなく、最高の人を惹きつけて、一緒に働こう」ということを意味しています。次がRespect for the Individual(個人の尊重)。我々はこの事をダイバーシティということもありますが、男性であっても女性であっても、どこの国籍であっても尊重し、認め合うという文化があります。会社のコピー室にもダイバーシティに関するポスターが貼ってあったりもしますので、本当に根付いていると感じますね。また、アクセンチュアには、グローバルで6,000人以上の戦略コンサルタント、28,000人以上のデジタル専門のコンサルタント、その他にもビジネスプロセス・コンサルタント、テクノロジーコンサルタント、BPO専門のコンサルタント、など、非常に多様なメンバーで成り立っています。 このような多様なメンバーであっても、同じ価値観のうえで仕事をする、ということが「Respect for the Individual」の意味合いとなります。次のClient Value Creation(クライアントの価値の創造)とは「クライアントに対する価値を最大化しよう、社内を向くよりクライアントを向こう」ということです。次のIntegrity(インテグリティ)とは、「しっかりと倫理観を持ち、信念を貫いてやっていこう」ということ。次のStewardship(スチュワードシップ)とは「自分が会社を去る時には、もっと良い会社であるようにしよう。自分がいることによって、もっと良い環境を作ろう」ということを意味します。そして最後はOne Global Network(ワン・グローバル・ネットワーク)。これはその名の通り、グローバルで連携しよう、知識を有効に活用しようということを意味します。 今現在、クライアントを取り巻く環境は、凄まじいスピードで変化しています。このような変化のスピードが激しい状況下で、例えば、ある国における、ある分野の情報が欲しいような場合、たとえ日本オフィスに知見がなくても、質問をすれば、すぐに各国のアクセンチュアのメンバーが最前線の情報を教えてくれます。なぜならアクセンチュアは先進国に限らず、アジアでもアフリカでも中東でも、様々な国でビジネスのナレッジを持っているからです。このような「人・コンテンツとつながろう」「貢献しよう」「自分がそれをリードするチャンピオンであろう」というような考え方もアクセンチュアには強く根付いており、これは『Connect』『Contribution』『Champion』の3Cと呼んでいます。このようなスピリットは現役社員もアクセンチュアのOBもみんなが共通して持っている非常に重要なもので、コンサルタントのスキル云々というものではなく、ビジネスパーソンとして働き、社会に貢献していくためのイロハを教えてくれるものだと思っています。

<参考:アクセンチュア6つのコアバリュー>
Stewardship(スチュワードシップ)
次世代のために、より持続性のある強く優れた企業を築き、アクセンチュア・ブランドを守り、利害関係者との約束を果たし、オーナー意識をもって行動し、人材を育成し、地域社会と地球環境の改善を支援する、という私たちの責任を果たす。

Best People(ベスト・ピープル)
私たちのビジネスにとって最高の人材をひきつけ、育成し、引き留める。社員の意欲を駆り立て、"Can Do"という姿勢を発揮させ、協力的で相互に支え合う環境を作り出す。

Client Value Creation(クライアントの価値の創造)
クライアントがハイパフォーマンス・ビジネスを実現できるようにする。また、クライアントの期待に応え、深く関与し、首尾一貫した価値を提供することで、長期的な関係を築く。

One Global Network(ワン・グローバル・ネットワーク)
世界中どのクライアントに対しても最高のサービスを提供するために、国際的な見識、関係、連携、知識を効果的に活用する。

Respect for the Individual(個人の尊重)
人々の多様性を認め、一人一人の独自の貢献を尊重しながら、オープンで、信頼しあい、受け入れあう環境を作り上げる。アクセンチュアの価値観を反映したやり方で一人一人に接していく。

Integrity(インテグリティ)
倫理規範に基づいて確固たる態度で、正直に振舞い、信頼を築き上げる。意味することを正確に伝え、言行を一致させ、責任を持って行動する。

movin:

この6つのコアバリューに基づいて、全世界のメンバーが同じ価値観のもと、お仕事されていることですね。ちなみにOne Global Networkを実現するために、具体的にどのような仕組みがあるのでしょうか?

清水様:

アクセンチュアには、国内外問わず、非常に良くできたコミュニケーションの仕組みがあります。E-mailはもちろん、インスタントメッセンジャーや社内SNSなども存在しており、グローバルレベルで運用されています。例えば、社内SNSで「こういうことを知らない?」と質問すると、短時間で誰かしら知見を持ったメンバーが回答をしてくれます。例えば、アフリカでのビジネスをどのように展開するかについて考えている時、アフリカのメンバーを地域のリーダー経由で繋いでもらうこともありますが、SNS上で「こういう事で困っているんだけど…」とつぶやくと、すぐに誰かしらが、有益な情報を提供してくれます。一昔前はナレッジデータベースで検索する手法が一般的でしたが、今の時代は一言つぶやくと様々な情報を短時間で得ることができます。我々は困った時に、常に29万人のメンバーの知見がバックアップしてくれます。これは非常に心強いと感じますね。 また、TV会議システムやパソコンからIP電話を繋ぐ仕組みもありますし、国内外のロケーションを跨いだミーティングなどもすぐにセッティングすることが可能な環境が整っています。本当にコミュニケーションを円滑にする仕組みは良くできていると思います。

movin:

ありがとうございました。グローバル全体で組織変更をされたそうですね?

清水様:

はい、今までは経営コンサルティング本部という名称の組織でしたが、現状はアクセンチュア・ストラテジー(組織名:戦略コンサルティング本部)という形へのリブランディングをしているところです。位置付けとしては、トヨタがレクサスを生んでいるのと同じようなイメージでしょうか。

movin:

なるほど。そのような組織変更をされた背景について教えて頂けないでしょうか。

清水様:

アクセンチュアは現状、グローバルの売上高が3兆円弱に達するまで成長してきました。このような大きな企業が更なる成長を遂げていくためには、従来型のコンサルティングサービスから、新しいモデルへの転換、すなわちグロースモデルチェンジが必要不可欠だと考えています。皆様はイノベーションのジレンマをご存じだと思うのですが、今の日本企業が辛くなっているのは、かつての成功があるために、次の成長を生み出せない、ということがあると思います。我々はこのようなことに陥らないために、よりクライアントに対して新しいサービスが必要だと考えました。現在のマーケットでは、「Globalization」と「Digitalization」の2つが重要なポイントになってきており、我々は『Go Global, Go Digital』というスローガンを掲げています。 アクセンチュアにもそのようなクライアントのニーズを満たすことができる新たな戦略的なサービスが必要となってきており、このような背景の中、アクセンチュアのサービスの特徴をより際立たせるために、ストラテジー、デジタル、テクノロジー、BPOという機能別組織と、クライアントのインダストリー別組織に分けることになりました。

movin:

世の中の「Globalization」と「Digitalization」のトレンドに合わせて組織を変更したということですね。それでは『Go Global, Go Digital』という流れの中で、アクセンチュアはどのようなテーマに力を入れて行こうとお考えでしょうか?

清水様:

そうですね。そもそも「Digitalization」についてですが、今現在、ソーシャル、モビリティ、クラウド、センサーネットワークなどの領域において、世界はどんどん変わろうとしています。これまでは、Amazon、Google、Twitter、Facebookなどの企業が新しいデジタルアプローチでビジネスの世界を変えてきました。そして、「Digitalization」と同時に大きな「Globalization」も起きています。この「Globalization」のトレンドは、かつては主に先進国を対象としたものでしたが、特にリーマンショック以降は「Digitalization」を背景に、新興国にも大きくシフトしていると思います。このような動きを背景に、日本企業の新興国で新しい付加価値を生み出し、勝つことをサポートしていくことが重要なテーマの1つであると考えています。また、国内マーケットにおいても、「Digitalization」により、これまでに築いてきた国内のバリューチェーンやエコシステムが大いに変わってしまうといった破壊的なイノベーション、すなわちDigital Disruptionは起こると考えています。 ですので、このような状況下における日本企業の攻め及び守りの戦略策定のサポートも重要なテーマであると考えています。このような両面からのアプローチは、カニバリゼーションを起こしてしまいますので、正直なところ葛藤はあります。また、新しい経営モデルをクライアントに展開してもらうためには、どうしても明確な戦略的な位置付けや、デジタル領域のケイパビリティが必要不可欠であるため、新たな組織を作り、この領域のテーマに力を入れていくことにしました。

movin:

なるほど。

清水様:

このような現象は実際には我々自身の業界でも起きてしまいます。ですので現状に甘んじず、あえてそこを打ち破っていこうというのが、ストラテジーとデジタルの2つの組織を新たに作って強化した意味合いとなります。

movin:

なるほど。ちなみに戦略コンサルティング本部では具体的にどのようなテーマに注力しているのでしょうか?

清水様:

戦略コンサルティング本部は、「イノベーション」と「マーケットのコンバージェンス」の2つにフォーカスしていきます。既存事業におけるさまざまな問題解決については、クロスインダストリーのチームが担当しますので、戦略コンサルティング本部は、あくまでも上記2点のテーマに特化しています。

アクセンチュア 戦略コンサルティング本部 インタビュー

アクセンチュアについて

アクセンチュアは、世界55カ国におよそ39万4,000人以上の社員を擁する世界最大級の経営コンサルティングファーム。
「ストラテジー」「コンサルティング」「デジタル」「テクノロジー」「オペレーションズ」の5つの領域で幅広いサービスを取りそろえ、各業界や業務プロセスに関する高度な専門知識、世界で蓄積された実績や資産をもとに、最適な人材、スキル、そしてテクノロジーを活用し、コンサルティングサービスを提供している。
フォーチュン100社のうちの94社、同500社の80%以上の企業がアクセンチュアのクライアントで、尚且つ取引規模上位100社のうち97社が10年以上、100社が5年以上アクセンチュアとの関係を継続している。
アクセンチュアを差別化する強みとして最も特徴的なことは、
・幅広い業界専門知識
・業務改革アウトソーシング(BTO)の専門知識
・技術革新とその導入に携わってきた実績(研究・開発費に年間約3億ドルを投資)
・進化し続ける多様性なサービス内容
・社員の育成への長期的な投資
・実績のある経験豊かな経営陣
の6点で、専門知識と技術力を背景に、ビジネスとテクノロジーの新しい動向をとらえ、世界中でコンサルティングを手掛けている。

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