外資系企業が日本に進出する際、日本の会計基準や税制度について英語で説明する必要があります。クライアントの本社が海外にある場合は、レポートや会計書類を英語で提出する場面も多く、専門用語を正確に翻訳すスキルが求められます。

国内企業でも、輸出入や海外子会社との取引を行っている場合、国際税務（移転価格税制、タックスヘイブン対策税制など）に関する業務が発生します。英語の契約書・請求書を読み解き、税務判断を行う際には、英文の読解力が不可欠です。

近年、日本に居住する外国人の数が増加しており、彼らの所得税・住民税の申告サポートも税理士の重要な業務の一つです。英語でのヒアリングや資料のやりとりが発生し、日常会話以上のビジネス英語力が求められることもあります。

企業の海外進出やM&A、グループ再編など、より高度な税務戦略の立案には、国際税務に精通した税理士の英語力が重宝されます。外国人投資家や海外の弁護士・会計士とのやり取りもあり、高い専門性と英語での対話力が求められます。

国際税務では、移転価格税制や恒久的施設（PE）認定など、法的な判断が非常にデリケートです。契約書や会計方針、取引スキームを英語で正確に把握できなければ、誤った税務処理や過少申告リスクにつながりかねません。英語文書の読み違いひとつが、多額の追徴課税につながることもあります。

外資系企業にとって、日本の税制は非常に複雑です。その中で、税理士が英語でわかりやすく説明し、税務リスクを予防してくれる存在であれば、企業にとって大きな安心材料となります。特に本社が海外にある場合は、本国のCFOや税務責任者との英語でのやりとりが重要です。ここで適切なコミュニケーションが取れるかどうかが、長期的な信頼関係を築く鍵となります。

国際税務の実務では、海外の会計士・弁護士・税務当局と連携する場面も少なくありません。その際、専門用語を使った実務的な英語のやりとりが求められます。通訳や翻訳を介することも可能ですが、タイムラグや認識のズレを防ぐためには、税理士本人が直接やりとりできることが大きな強みになります。

市販の一般的な英語教材では、専門用語や業務内容に対応できないことがあります。税理士・会計士向けには以下のような専門教材が存在します。
『Accounting English（税理士・会計士のための英語）』
『税務・会計 英文レター＆Eメール文例集』
国際会計基準（IFRS）を題材にした解説書（英和対訳付き）
こうした教材を使って、頻出する専門用語や英文フォーマットを学ぶことで、実務に直結する力がつきます。

最近では、税務・会計・法律などの専門職向け英会話レッスンを提供するオンラインサービスも増えています。
おすすめのサービス例：
Bizmates（ビズメイツ）：ビジネス特化型。専門性の高いシチュエーション別レッスンあり。
SpeakBuddy Biz：ロールプレイ形式で国際業務に必要な英語力を養成。
ECC外語学院「プロ向け英会話」：士業や経営者向けの実践的カリキュラム。
英語での顧客対応やメールのやりとりを想定した実践的な訓練ができるのがポイントです。

英語に慣れるためには、日常的に英語を読む習慣を持つことが重要です。以下のようなサイトは、専門用語の習得だけでなく、国際税務のトレンド理解にも役立ちます。
International Tax Review
Tax Notes International
PwC / Deloitte / KPMGなどの国際会計事務所のグローバルサイト
実務に関連するテーマを通じて読むことで、自然と語彙力や理解力が向上します。

近年は、ZoomやYouTubeを使った国際税務・英文会計に関する無料ウェビナーも多数開催されています。リスニング力や実務知識を同時に伸ばせる貴重な機会なので、積極的に参加することをおすすめします。

最も実践的なのは、実際に英語での顧客対応やメール作成を少しずつ経験していくことです。はじめはテンプレートや翻訳ツールに頼っても構いません。少しずつ「実務で使える英語」の型を体に覚えさせていくことが大切です。

英語対応ができる税理士は、外資系企業や海外法人、富裕層のクライアントなど、比較的高報酬の案件を担当できる機会が増えます。
特に国際税務や移転価格税制、クロスボーダーのM&A案件などは単価が高く、少ない件数で安定した収益を得られる点が魅力です。

英語力は、BIG4（PwC、Deloitte、KPMG、EY）などの大手グローバルファームで働きたい方にも必須スキルです。中途採用でも「英語×税務経験」がある人材は高く評価され、キャリアの幅が一気に広がります。
また大手ファームであれば国際税務の案件は年々増加傾向にあり、海外駐在の機会も多いです。（欧米、アジアなど）
その後のキャリアとして、外資系企業や日系のグローバル企業の税務部門への転職も視野に入れることができます。

将来的に自身の事務所を「国際業務対応税理士」としてブランディングしたい場合、英語力は最大の差別化要因になります。
海外クライアントからの問い合わせも得やすくなり、マーケットが日本国内にとどまりません。
さらに、海外での活動や移住を視野に入れたキャリア設計も可能となり、ライフスタイルの選択肢そのものが広がります。