税理士業界は、日本経済の根幹を支える重要な分野であり、個人や企業の税務管理をサポートするため会計事務所や社内税務担当者が活躍しています。 業界として税制改正や国際税務の複雑化に伴い、税理士の需要は高まっていますが、税理士の高齢化が進んでおり、新たな世代の育成が急務とされています。 2020年ごろまでは受験者数・合格者ともに右肩下がりが続いており、業務廃止や死亡による抹消数も徐々に増え始めていました。 近年では受験資格の緩和によって税理士試験受験者・合格者数を増やそうという試みから20代若手の合格者数が伸びているものの、税理士業務を行うための資格取得という側面より、資格によるキャリアアップを求める方も増えている傾向にあります。 ここでは、税理士業界の今後について、現状税理士として働いている方や、これから税理士資格を取得する方へ、これからの税理士に求められるスキルを考察してみました。

現状の税理士業界にはいくつかの課題があります。まず、デジタル化の遅れが挙げられます。多くの事務所が紙ベースの業務を続けており、効率化が求められています。
また、税理士の資格取得が緩和されたとはいえ、新規参入者が少なく業界の活性化が課題となっています。

テクノロジーの進化とその影響
今後、税理士業界においてはテクノロジーの進化が大きな影響を及ぼすことが予想されます。AIやRPA（ロボティック・プロセス・オートメーション）などの導入により、従来の手作業による業務が自動化され、税理士はより高度なコンサルティング業務にシフトすることが求められるでしょう。
AIによって仕事が奪われる仕事として税務領域もあがっていますが、よりクライアント側との折衝やアドバイスなどに重きが置かれるでしょう。

法律や規制の変化
税制や関連法規の変化も業界に大きな影響を与えます。近年、国際税務の厳格化やデジタル経済に対応した新たな課税ルールの導入が進んでおり、税理士には最新の法規制に精通し、クライアントに適切なアドバイスを提供する能力が求められます。

デジタルスキルの重要性
デジタルスキルの習得は今後の税理士にとって不可欠です。特に、会計ソフトや税務ソフトの活用、データ分析能力の向上が求められます。
近年ではクラウドベースに完全移行しつつありますが、機能においてもさらに追加され、今後はAI・RPAなどの導入もあるかもしれません。これら新しいアップデートがあった際にはすぐにキャッチアップして、最新トレンドを素早く確認、取得できるようにしましょう。

クライアントニーズの多様化への対応
クライアントのニーズはますます多様化しています。税務に限らず、経営全般のアドバイスや国際取引に関するサポートなど、幅広い知識とスキルが必要です。
これに対応するため、税理士は常に最新の情報をキャッチアップし、継続的な学習を続ける必要があります。
従来の税務会計だけでなく、さらに税理士法人や会計事務所の収益向上のためにコンサルティングを付加価値として展開する法人も多くなってきました。 今後この動きはさらに加速していくため、国内だけでなくグローバル税務等に対応できるスキルも身につけていく必要があるかと思います。

これまでは大手税理士法人を目指す方、起業・開業を見据えてより広い業務のある中堅法人へと転職する方が多かった印象ですが、 税理士資格を基にコンサルティングファームや、税務専門のアドバイザリーファーム、企業内部での財務・経理担当ポジションへと転職する方や、 税理士資格を一定の会計知識があるというエビデンスを基に、税務とは違った道を選ぶ人も多いです。