デロイト トーマツ サイバー(以下、「DTCY」という)が取り組むZERO-ONEでは、これまでの人材育成の取組みの枠を超えて、よりチェンジマネジメントに近い発想で様々な企画の推進を進めている。その中核の取組みとして、「コンサルタント覚醒研修」がある。これは、従来の“育成”に主眼を置いたスタイルの研修とは異なり、気づき/アウェアネスを伴う体験機会の提供を志向した“覚醒”に主眼を置いた企画である。
感情が伴う経験は行動につながるという信念をモットーに、少数形式のスタイルで、徹底して対話を重視した進行の中、様々な伏線を張り巡らし、それを回収しながら進めていく。そして、あたかも映画を見るような感覚で、2日間の研修における一連の過程はリアリティショーのような世界観を醸成している。2年前に始めた本企画には、これまで多くのスタッフが参加しているが、「これまでにない経験・機会」という高い満足度を達成しており、中にはリピーターも存在する。
今回は、本企画の魅力と見所をインタビュー形式で解説することで、その世界観を肌で感じてもらいたい。
movin:
そもそもこの企画を発案した経緯・きっかけは何でしょうか?
高橋様:
私自身の過去の経験が関係しています。振り返ると、スタッフの頃は、苦労も多かったです。コンサルタントの仕事を始めて、ちょうど4年目位の頃でした(今から10年以上も前ですが)。当時の職位は、シニアコンサルタントだったと思いますが、とにかくスランプに陥っていました。空回りというか、アウトプット、プレゼンテーションが上位のマネジャーの意に介さず、ことごとく内部レビューの場で打ち返されて疲弊していた時期でした。当然、クライアントとのミーティングでも上手くいくはずがなく、イシューを外してばかりで、議論がかみ合わない、という悪循環が長く続いた時期だったと記憶しています。
こうした時期が、1年近く続いていたと思います。その間は、必死でした。社内の様々な研修に参加し、社内のe-learningも積極的に受講しました。書籍も多々読みました。しかし、結果が伴わないという状況は、コンサルタントして極めて苦しい時期だったと思います。
この時期に、感じていたことは「コンサルタントの道は険しく厳しい!」シンプルにそれに尽きます。我々の業務は、教わったからすぐにできるということは実は少ないです。自分なりに学んだことを咀嚼し、自分ゴトとして定着させていく……ということを頭ではわかっていても、それが中々、経験として伴ってこないんですよね。
こうしたジレンマを抱えている中、今となってはぼんやりとした記憶ですが、当時のあるプロジェクトを遂行する最中、急に何かと何かがつながる感覚……上から降ってくるような感覚が伝わってきて、そこから目の前が一気にクリアになるというか、景色がスローモーションに見えるような感覚、考えたことが物凄いスピードで整然とアウトプットされていくモードに入る時間が急速に増えていました。まるで「覚醒」したような感覚でした。
上手く言語化することが難しいのですが、無尽蔵に発散されたものが、ものすごいスピードで収束し、まとまっていくという、発散と収束が有機的に連動しているような感覚です。この時の感覚を再現可能なものとして体系化し、自分以外の第三者にもそれを「覚醒」の感覚として体感してもらいたい、これこそが本企画を構想したきっかけとなります。
と言うと、カッコよく聞こえますが、さすがに“ふわふわ”した話なので、しばらくは悶々と頭の片隅に長い時間置いていました(苦笑)。そんなある日のことです。数年前、私はアウトプットスキルを向上するための研修講師を担当していました。それは文字通り、世の中によくある研修スタイルであり、今振り返るとごく普通のカリキュラムで正直あまり面白くない座学形式のものでした。その研修の中で、終盤のある演習問題における発表時間の際、参加していたあるスタッフが面白いことを言ってきました。
「高橋さん、ちょっと自信がないですが、僕はこう思いました……どうでしょう?」
そして、提示してきたスライドが、まさに忘れることのない衝撃的なものでした。文字通り、発散と収束が有機的に連動するというのはこういうことか!という青天の霹靂のような内容でした。正直初見だと「は?」となりかねない、感覚的な内容なんですけどね。例えるなら、ピカソやゴッホの絵を見て、わからない人はわからない……でもわかる人はビビッとくる!という感覚です(この手の話は、言語化が難しくもありますが)。
その時に思い出したのが、先程話したスランプを脱した時の「覚醒」です。あの時の自分も同じような感覚でした。発散と収束がかみ合った時に生まれる価値ってこういうことなんだろうな……というフラッシュバックを起点に、この企画(覚醒研修)を突き詰めてみようと思った次第です。その後、2020年から約2年間かけて20回以上の研修機会を通じて改良を加えた結果、至高のプログラムに仕上がってきたというわけです。
movin:
とても興味深いですね。具体的にどのようなテーマを学ぶのでしょうか?
高橋様:
基本的なコンテンツは、アウトプット力向上のための様々なスキル・テクニックの解説となりますが、それを学ぶ過程でオムニバス的に様々な思考法やコンサルタントとしてのマインドや姿勢に関するレクチャーもオムニバス的に登場します。ちなみにこの研修の冒頭では、以下のスライドを用いて受講者に質問をします。
そうすると、ほぼ全員が「クライアントへの最終成果そのものだから!」「クライアントの目に直接触れるもので、それが価値の源泉だから!」のような答えを言います。それ自体は全くもってその通りですが、この質問に関して言うと、私の狙いは全く違うんですよね(苦笑)。自分自身の成長に主眼を置くと、全く違う側面での重要な意図があります……おっと、これ以上話しすぎるとネタバレになるのでここで止めます(笑)。という感じで、様々な問いかけがその後も多々続きますが、こうした形式で進める理由は、何よりも冒頭申し上げた、気づき/アウェアネスの効果を倍増させるためです。
少し脱線したので頂いた質問に戻ると、こうしたスタイルを取りながら、特に発散をより効果的に機能させるためのクリティカルシンキング、アートシンキング、アナロジー思考等のテーマに力点を置き、それをどうやって論理的な思考に有機的に収束させていくか、という解説を中心に、受講者との対話を進めていきます。
movin:
ますます興味深いですね。もう少しだけ内容を垣間見ることはできませんか?
高橋様:
繰り返しになりますが、この研修は映画と同じです(笑)。ネタバレになった瞬間全ての演出が台無しになって、得られる気づき/アウェアネスも激減します。それは今後受講するスタッフにとって不幸以外の何物でもないので……とはいえ、研修の雰囲気や臨場感が少しでも伝わればと思い、研修のヒトこまを特別に紹介します!
例えば、オムニバスに登場する伏線としてのトピックの1つに「アートシンキング」があります。これを研修プログラムとして扱う組織は少ないと思います。実際にほとんどの受講者が言葉は聞いたことはあり、何となくの定義はわかるけど……という程度の理解・認識かと。
普通の研修では、真っ先に「アートシンキングとは?」の定義を説明すると思いますが、この研修ではその手の「教科書」的な段取りにはなりません。ありきたりの説明は文字通りの最後にとっておき、まずは“体感”することからスタートします。例えば、アートシンキングなら……
上記のスライドを見て、何を想像したかを受講者一人一人に問いかけるのですが、ほぼ全員が第一声で「提案書に出てくる矢羽根のスライド!」「プロジェクトアプローチ!」と回答しますね(笑)。そこで、私が言うのは「もっと、主観で自由に考えてみて~!」ですが、それでもまだまだ“カチコチに堅い”回答しか出てきません(苦笑)。そして、私なら何を想像したか?というネタ晴らしをするのですが、大体、皆がそこで「えっ!?」となるわけです。そして、そこから持論を展開しつつも「つまり、アートシンキングとは……」という解説に入っていきます。そうすることで、腹落ち感とその後の記憶の定着がまるで違うんですよ。理由は簡単で、何よりも大事な体感を伴っているから。湧き上がる感情と実感が桁違いです。これがこの研修の最大の見所であり、こういった仕掛けが随所に……というかほぼ全編にわたってちりばめられています(笑)。
movin:
なるほど!でも、これはコンテンツを考えるのも一筋縄ではいかないのでは?
高橋様:
はい、だからこそ、何度も改良を加えています。1回、2回どころか20回以上も研修を開催する中、一度たりとも全く同じ内容で進めたことはないです。受講者の反応を見て、その時の空気感や自分自身の手ごたえを常に振り返っています。そして、それをコンテンツに盛り込むという気の遠くなるような改善を重ねてきました。それこそ、雑談や脱線のタイミング、及びその内容に至るまで、気づき/アウェアネスの伏線になるように練り上げて、それを次の研修で試す、そしてまた改善するという活動を繰り返すことで、最近になってようやく至高のプログラムに仕上がったと自負しています。
movin:
すごいですね!そのモチベーションはどこから来るのでしょうか?
高橋様:
何よりも、受講者に喜んでもらいたいという想いです。冒頭、申し上げましたが、感情が伴う経験は行動につながるという信念がモットーです。ゆえに、何らかの強い感情をこの研修を通じて、実感してほしいと考えています。ただし、研修で感じる感情って単純ですよね。それは「楽しい」だけです。だって、研修で「辛い」ってありえないですよね(苦笑)。マネジャーが厳しく回答をチェックします!というスタイルの研修も見受けますが、個人的にはそれってずっと残るの?と思います。だって、辛かったことって忘れたいじゃないですか?まあ、実際にはいつまでも引きずったりもしますが(苦笑)、それを百歩譲って「忘れない」としても、じゃあ、それが起点で何か前向きなアクションにつながるか?……それで奮起する人もいるかもしれませんが、そうではない方が圧倒的多数かと。ゆえに、私が目指すのは徹底的に「楽しい」研修です。
これも冒頭のイントロで説明するスライドですが……
というマインドセットを行った上で、研修を展開します。その理由は、何よりも自信をつける/手ごたえを得ることに主眼を置いているからですが、どうしてそれが重要であるかを2日間の研修を通じて体感しもらい、2日目の最後の最後で私の説明を聞くことで、「そういうことなのか!」という、更なる実感に昇華させるという演出を凝らしています。そして、何よりも私のモチベーションになるのは、その最後の演出に到達した時の受講者のはっと気づいたようなすっきりした!という空気感です。心の底から「楽しかった」という実感を持ってもらうことを目指しています。そのために、リアリティショーのような世界観を創り、その中で忘れられない体験機会を得る……これこそがこの企画で実現したい私の想いです。
movin:
例えばどんな伏線があるのですか?
高橋様:
2日間の研修のあちこちに散らばっています。例えば、上記はアートシンキングのヒトこまですが、なんてことのないスライドに、超重要な伏線を隠しています。この中のある単語を私はちょっと意味深に強調します。受講者も一瞬「???」という反応を見せるのですが……ネタバレになるので、ここで止めますが(笑)、一見何の変哲もないスライドの中にあるエッセンスが後半の話で重要な「鍵」となって登場します。これは、マンガや映画も同じですよね。あれってなんだったのか?……というエッセンスがちゃんと後々生きてくるというストーリーになっています。
movin:
この研修はデロイト トーマツ以外のメンバーでも受講可能でしょうか?
高橋様:
これはあくまでも社内の育成プログラムの1つです。対外的には開催しておらず、ましてはビジネスとして外販もしていません。なので、文字通りデロイト トーマツでしか受講できません。だからこそ、我々の組織に飛び込んでいただきたいと考えています。この研修は誰にでもできるものでなく、私自身が自分の経験を踏まえて、重要となるトピックをちりばめています。こうしたナレッジを、多くのスタッフに伝授したいと考えています。DTCYにジョインしていただけた際には、是非とも受講してほしいですね。
movin:
最後にメッセージをお願いします。
高橋様:
以下の写真は、昨年末のクリスマス企画をかねて開催した際のワンシーンです(写真ではわかりにくいですが、受講中はマスク着用等の感染症対策もしっかりしているのでご安心を!)。スタッフは様々な研修を受講する機会がありますが、私の研修はそのどれよりも「受講した良かった!」と思ってもらえるように気持ちを込めています。そして、「楽しかった!」という感情が、コンサルティング業務というタフで難しいミッションを日々こなす際のXXXになってほしい……おっと、お喋りになってしまいましたが、これくらいにしておきます(ネタバレにならないよう)。とにかく、この企画の受講者の記憶に残るような機会をこれからも創ります!もちろん、ただ楽しいだけでなく、学べる内容自体も王道かつ無比・無二の最高と自負するノウハウが詰まっていますので、ぜひ!
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