アドバンスト・ビジネス・ダイレクションズ株式会社 インタビュー 栗原浩夫氏、加藤祐司氏、高原峰愛氏

ABD社の設立の背景と変遷

movin:

本日はご多忙の中お時間を頂き、誠にありがとうございます。早速ですが、まず初めに貴社の設立の背景とこれまでの変遷についてお伺いさせてください。

ABD 栗原様:

弊社の設立は2005年の8月になります。設立までの経緯としては、弊社役員の3名は元々朝日アーサーアンダーセンという会社で一緒のチームで活動していた仲間であり、同社で一緒に活動していたメンバーを中心に設立されました。
当時もコンサルティング業界は業界再編の流れがあり、大手ファームは再編に伴う組織変更・方針転換によって、仕事のやり方がしばしば変わっていました。特に外資系ですと、本社をどこに置くか、日本のオペレーションをどこが管轄するか等の社内の組織構造によって、やり方が大きく変わり、真にクライアントのニーズを踏まえたサービスを提供する、クライアントの状況に応じて柔軟に対応するということに社内調整等の労力を要する環境にありました。
こういった背景もあり、当時のクライアントよりももう少し幅広いクライアントの、幅広い課題に対して自分たちがベストだと思うやり方でサービスを提供していきたいとの想いから、朝日アーサーアンダーセン(現在のプライスウォーターハウスクーパース)を退職し当社を設立しました。設立当初は我々を個人として評価いただけるクライアントを中心に、主にM&Aや投融資に関するファイナンシャルアドバイザリーサービスを行っていましたが、今では事業再生案件も多く、パイプライン、サービスライン共に幅が広がっています。

movin:

現在はどれくらいのメンバーがいらっしゃるのですか?

ABD 加藤様:

現在(2014年5月現在)は男性9名・女性4名の計13名のメンバーがおります。職位別にはパートナー3名、マネージャークラス4名、シニアコンサルタントが2名、コンサルタントが1名で、アシスタントが3名という構成になっており、平均年齢は32.5歳となっています。

movin:

どのようなチーム体制で1つの案件を遂行されるのですか?パートナー1名+マネージャーもしくはシニアコンサルタントタント以下の方が1-2名という感じでしょうか?

ABD 栗原様:

基本的にはそのようなイメージですが、クライアントとの兼ね合いによってパートナークラスが1名で実質プロマネをやっている案件もあります。

movin:

場合によってはパートナーの方とシニアコンサルの方2名体制でやることもありうるのですか?

ABD 栗原様:

はい、案件規模や難易度によって、投入すべきリソースも違ってきますので、案件を見ながら個々に判断して柔軟にチームを組成しています。

ABD 加藤様:

あまりこの人の担当はこの業務…という形で線引きをせずに、状況に応じ、メンバーの希望を聞きながらアサインメントを調整していく事を常に意識しています。

movin:

なるほど。ではマネージャー以下の方はIFRS/バリュエーション関連の案件を担当されて、その次の案件では事業再生のお仕事をされるということも?

ABD 栗原様:

その時の案件の状況次第ですが、そのようなケースもありえます。今のように引き合いが多く案件が重なってしまうと、どうしてもアサインメントの調整ができないこともありますが、最大限、個々人の希望を尊重できるよう努力しています。

movin:

設立から10年目になりますが、10年の間で変わられたことはありますか?

ABD 栗原様:

一番の大きな契機は2008〜2009年のリーマンショックでした。弊社だけでは無く、コンサルティング業界全体、世の中全般にとって契機となったかと思いますが、リーマンショックをきっかけに企業も守りの姿勢に入り、投資活動やコンサルティングの発注を絞り込みました。こういった環境で、我々もサービスラインやクライアントの幅をもう少し見直さなければいけないという問題意識を持つようになり、2009年以降は少しずつ領域を広げていきました。

movin:

具体的にはどのようにサービスラインやクライアントの裾野を広げてこられたのですか?

ABD 栗原様:

リーマンショック前は全体的に景気が良かったこともあり、クライアントの投融資に関するアドバイザリー業務・M&Aアドバイザリー業務やこちらに付随するバリュエーション業務、財務デューデリジェンス業務、ビジネスデューデリジェンス業務等が多かったです。しかしながら、リーマンショックで企業の投資が手控えられるようになると、事業再生案件や経営再建型の案件、業務改革案件のご相談が増え、投融資案件のみならず再生型・再建型の案件までバランス良く展開していくようになりました。


movin:

なるほど。ちなみに最近の状況としては、各サービスラインの案件比率はどのような比率になりますか?

ABD 栗原様:

そうですね。ざっくり申し上げると、
ゞ睛撒ヾ悗らの紹介・依頼による経営改善・業務改革コンサルティングが1/3、
∋業会社から直接依頼が来る幅広い経営コンサルティングが1/3、
バリュエーションを中心としたM&A・IFRS関連のアドバイザリーが1/3
といったイメージになります。

ABD 加藤様:

案件規模は様々ですが、大体年間で70件程度の案件を遂行しています。テーマや業種も本当に多種多様で、例えば再生案件であれば財務デューデリジェンス・ビジネスデューデリジェンス・再生計画立案の全てをパッケージで担当するものもあれば、あまり他社ではカバーできない特定領域に特化した部分だけを担当するケースもあります。

PJT事例 岨業再生〜

ABD 栗原様:

景気も良くなり、再度M&A系の案件も増えていますが、一方で事業再生・事業改革型の案件も引き続き多く、事業再生・事業の構造改革のあり方自体が時代とともに少しずつ変わっていることを感じます。

movin:

具体的にはどのような変化をお感じですか?

ABD 栗原様:

リーマンショック以前の再生案件・再建案件というのは、どちらかというと「選択と集中」がメインといいますか、いわゆる不採算事業を売却・リストラすることで出血を止めて、短期的に業績を改善させるような、バランスシートの改善を中心とした、ある意味大胆な案件が中心でした。こういった取り組みを大きな会社から順番実施していき、同じようなやり方・同じようなテーマの案件がしばらく続きました。
ただその一方で、残した事業自体も売上は下がってくるし、自助努力のコスト改善だけをやっていても限界があるという中で、本当に事業そのものに手を加えないと先が見えない…という時代になってきました。
そうすると、言うなれば本当の意味でのP/L改善が必要になってきます。
P/L改善も初期のころはどちらかというとコストカットメインで、簡単に申し上げると「1本いくらの鉛筆を何本削ればいくら削減できる」というイメージの比較的単純な話が多かったのですが、これだけでは限界があります。そうすると、本当にものづくりの現場の中で、「無駄がないか・改善できるポイントは無いか」と、より深いところまで入っていく形になりました。
従って、事業再生・事業再建と一言で言っても、ここ数年で切り口が随分変わってきているところがあって、以前はポートフォリオ分析や事業の選択と集中といった切り口からスタートしていたものが、今ではP/Lの中身、原価の一つ一つの中身を分析した上で、経営改革プランを提案するというやり方に変ってきています。

movin:

では、ファイナンスだけではなくより事業サイドに踏み込んでいくということが多くなっているのですね。
こちらのポイントが、他の事業再生コンサルティングを行うファームとの大きな違い・特徴になるのでしょうか?

ABD 栗原様:

事業サイドにまで踏み込んでいかないと、クライアントに対して本当に有効な解決策をご提案出来なくなってきていると感じており、我々のクライアント並びに金融機関様からも、事業面を意識した分析を行うが故に、分析の切り口が細く、細かいが故に実行性がある、というご評価を良く頂きます。

movin:

具体的にはどのような分析の違いがあるのでしょうか?

ABD 栗原様:

表面上の数値に留まらずその数字が現れる原因にまで踏み込んで分析をしていくというイメージです。当然、最後のアウトプットは数字で示しますが、単に財務諸表上の数字を分析するだけではなくて、現場から出てくるオペレーションの数字もしっかりと分析して、そこから仮説・解決策を出して実行性がある計画をつくります。

ABD 加藤様:

私からも補足すると、他のコンサルティングファームは財務諸表の数字をベースに話をしていくケースが多いのですが、我々は現場のデータを大切にしています。現場のオペレーションがあって初めて会社の数字が出来上がっているので、数字の根源である現場を見に行かない限りは、会社のことは分かりません。
我々が会社を運営するのではなく現場の方々が会社を動かしていくので、現場の方々が腹落ちする計画でなければ、必ずうまく行かないのです。ですから、我々は「まず現場を見させて下さい」と依頼して、実際に現場を見せて頂いて、社員の方がどういう動きをしているかを確かめるところからスタートします。
数字だけを見るだけだと現場感が無く話をしてしまうケースが多く、また例えば大手自動車会社の工場でカイゼンをしていましたというオペレーション系の方だと、現場はわかるけど数字にまで繋がらない。我々は両者を融合させて、現場のデータと数字を繋いで分析をしていきます。この点が他社と大きく違う点だと思っています。

movin:

なるほど。このポイントが先程おっしゃっていた「あまり他社ではカバーできない特定領域に特化した部分」になるのでしょうか?

ABD 加藤様:

こういったピンポイントの依頼のケースとしては、例えば商品点数が多い事業で、1つ1つの原価の中身をきちんと見て、標準原価の作り方から改善ポイントの洗い出しを行い、最終的な事業計画・数値に反映していくといった、事業に踏み込んだ部分をやって欲しいといった依頼がありましたね。
’箴紊鯀やす/⊆益性の高い分野の注力をして生産効率を上げる/コストを下げるといったポイントを押さえられれば、ベースの事業計画はできます。ただ、いくら計画を作っても絵に描いた餅で終わってしまっては意味がないので、そこにいかに現場まで落とし込んだ具体的な現実的な数字を持ち込むか、ある意味会社も知らないような数字を調べて作ってあげるかということが大事です。
経営陣も感覚では分かっているのだが、調べる時間がない・調べ方が分からないという状況で、我々がきちんと事業部の数字を紐解いて、経営陣が知らないデータを作ってあげる。これを積み上げて計画を作り、最終的なアウトプットに「いかに血を通わせるか」ということを考えながらやっています。

movin:

なるほど。現場をしっかり見ていくことで「計画のための計画」では無く、本当に実現性がある「血の通った計画」が出来上がるのですね。事業再生案件の他に、設立から10年目を迎えて変遷を感じる部分はございますか?

ABD 栗原様:

クライアントの変遷という観点ですと、リーマンショック後からは金融機関から紹介を受けて、融資先のお手伝いをするケースが増えました。金融機関の方とディスカッションする中で、「この融資先の収益を改善させたい、キャッシュを改善させたい」というお話があり、依頼を受けるイメージです。
金融機関からしてみると、これまではリストラやコスト削減といった切り口で利益を捻出しようという、分かり易いテーマで融資先に接してきたのですが、それをやってもなかなか根本的に営業利益が黒字に転換しない。一方で、売上が順調に伸びて行く姿も見えない中で、「ではどうすれば良いんだ…」と壁にぶち当たってしまうのです。こういった中で、先程申し上げたようなもう一歩ビジネスの中身に踏み込んで行く改革プランへのニーズがあり、我々の元に相談が来ます。

movin:

どのような金融機関とお付き合いがあるのですが?

ABD 栗原様:

メガバンクから地方銀行、信用金庫、信用組合に至るまで幅広い金融機関とお付き合いがあります。

movin:

貴社のような少数精鋭の体制で新しい金融機関とお付き合いを増やしていくのは大変かと思うのですが、どのように広げていかれたのですか?

ABD 栗原様:

我々が営業活動を積極的に行うというよりは、1つの案件をきっかけに自然とお付き合いが広がっていくというケースが多いです。例えば各地方には中小企業再生支援協議会という組織があり、特定の地方で1つ案件を行うと、協議会経由で関係する金融機関との接点が増えます。そうすると、ABDという会社はこういう切り口で改革提案ができる会社だと認知され、これをきっかけにこれまでお付き合いが無かった金融機関からも、融資先のB社に同じような改革提案をやって欲しい…という話が持ち込まれるようになり、色々な金融機関と接点が出来てきます。

ABD 加藤様:

似たようなパターンとして、A行がメイン行である企業の再生案件に取り組む中で、同社の準メイン行のB行がその中身を見て、B行がメイン行である別の企業の再生を依頼される…というケースも多数あります。計画策定だけではなく、計画策定後にきちんと計画が実行出来ているかモニタリングしながら支援する案件も多いため、この段階で計画以上に利益を上げられていると、「ABD社のコンサルティングは成果が出ているね」という評価が自然と付いてきて、同じ銀行から次の案件の依頼をいただきます。

movin:

なるほど。では、例えばどこかの地域でこれまでお付き合いがある銀行に依頼されて1つの再生案件に取り組まれると、そこに準メイン行として入ってらっしゃった他行から、「あの案件でコンサルティングをされたABD社に頼みたい案件があり…」という形で…

ABD 栗原様:

仰るようなイメージです。

PJT事例◆M&A・バリュエーション・IFRSアドバイザリー〜

ABD 加藤様:

冒頭の栗原の言葉にもあったように、ここ最近は事業再生以外にもM&Aアドバイザリー案件やIFRS絡みのバリュエーション案件も増えています。IFRSについては、現時点で確か39社IFRSを採用もしくは採用予定の東証一部上場企業がありますが、弊社では既にそのうちの3社にはお手伝いをさせていただいており、これから更にお付き合いを広げていきます。

ABD 高原様:

特にIFRSに則ったバリュエーションは他社と比べても実績・ナレッジがありクライアントから評価いただいている分野になります。歴史的には2009年末頃に日本でもIRFSへの強制移行の議論があり、新しいテーマとして注目されていたのですが、2011年3月の震災もあって一度は立ち消えてしまいました。しかしながら、近年再び一部上場企業においてIFRS対応がテーマになることが増えてきています。

ABD 栗原様:

コンサルティング業界全体が「IFRSの波はいつ来るんだ」と参入の時期を待ち構えながらも、本格的な参入にはなかなか踏み切れていなかった中で、弊社は地道に案件を積み重ねてきました。先程の事業再生とは全く違うサービスになりますが、IFRS関連のバリュエーションだとか、のれんの減損に関する対応といった案件は多くこなしており、大手ファームと遜色ないもしくはそれ以上の積み重ねがあります。

ABD 高原様:

かつてはM&Aのバリュエーションというと、買収時に買収先の企業価値評価を行う案件が多かったのですが、IFRSは「買収後に本当に価値があったのかをきちんとウォッチングしていこう」という体系なので、これまでとは違うタイプの案件が出てきます。例えば去年には別の大手ファームが行ったバリュエーションについて、「割引率がかなり低く見積もられているが、このバリュエーションで本当に次の減損テストをクリアできるのか?」という懸念がクライアント内にあったようで、急遽弊社にお声がかかりセカンドオピニオンを出すことになりました。
M&AアドバイザーとしてはM&Aが成約すると手数料が入るのでどうしても成約に結び付けたい力学が働くのですが、一方で買い手である上場企業にとっては、買収したはいいものの次の決算でいきなり減損をしなければならないということになると、非常に困ってしまいます。
従って、最近では「このバリュエーションはIFRS基準で減損判定に耐えうるバリュエーションになっているのか?」という懸念を持つ企業が多く、ご相談が増えています。

movin:

なるほど。こういったお悩みに対しこれまで積み重ねてきたIFRS/バリュエーションのナレッジと経験をフル活用してアドバイスをされているのですね。この分野では、貴社ならではの特徴はどのような点にありますか?

ABD 加藤様:

バリュエーションやIFRSのアドバイザリーの業務における、ABDの特徴としては「ファームポリシーだからこうなります」と画一的に対応することはせず、お客さんとディスカッションをしながら作り上げていくという点が挙げられます。

ABD 高原様:

そうですね。加えて我々は上場企業の主計部(経理部)からご相談を受けるだけでは無く、投資活動を行う事業部からも同じようにご相談を受けています。M&A検討の初期段階から「この会社を買いたいんだけど」、「この子会社を売却したいんだけど」というご相談を受けており、この段階から先程のIFRS基準下での会計へのインパクトも見据えたアドバイスをしています。
例えば、持分を一部残して売却した際の利益額へのインパクトといった会計上の論点については、事業部の方は専門家ではないので、事業部の方と事業面・会計面双方の観点からディスカッションをし、「最初はまず持分を一部売却し、残りは後で売った方が良いのではないか」とか、「ジョイントベンチャーアグリーメントを見ると○○といった条項があるので、○○というやり方は難しい可能性が高く○○といった形式がいい」といったアドバイスも行っています。
単純にバリュエーションだけ行うというよりは、M&A検討初期段階からディスカッションし、これを下地に「バリエーションはこうしましょう」「買収の仕方としてはまずは株式の一部を取得して持分法適用会社にした上で、後程完全子会社にしましょう」といったトータルでのアドバイスをしています。結果、スポットのお付き合いでは無く、色々なテーマでずっとお付き合いが続くことが多いです。

movin:

なるほど。

ABD 高原様:

IFRS関連の分野は新しい分野なので、実務が積み重なって基準が作られていく部分があると思います。すると、監査のように「基準があるからこうです」というものではなくて、1つ1つ論理を積み上げて監査法人とディスカッションをして適切な形に落とし込んでいくということが非常に重要になります。
なので、先程加藤が言ったように「ファームのポリシーだからこうです」と画一的に対応してしまうのはクライアントのためにならないケースが多く、弊社ではクライアントの状況を踏まえた対応をしています。
海外の監査法人ともやり取りも多いですし最新の会計基準もフォローしなければならないので、大変ではありますが、実務をやりながら自分の仕事が基準に息吹を吹き込んでいるという実感・達成感があります。

movin:

なるほど。ファームのポリシーで決まっていることを画一的に行うのではなく、案件の初期段階からクライアントと密に議論しながら、個別事情を踏まえたベストな対応策を一緒に作っていくという感じですね。

ABD 高原様:

そうですね、そのような感じです。

ABD 加藤様:

後は、バリュエーションを中心としたM&A・IFRS関連のアドバイザリーの案件ですと、日本に限らず様々な国の案件が出て来ます。東欧や南米といった、新興国も多いですね。

ABD 高原様:

こういった新興国ですと、事業のリスクだけでは無くカントリーリスクをどのように見積もるかという点も大きな論点になります。中には国債の発行がほとんど無いような国もありますが、そういった環境でも考え得る合理的な論理と仮説に基づいて、最善の見積りを出しています。

ABD 栗原様:

IFRSもUSGAAPも原則主義なので、細かいルールは運用上ある意味柔軟に変わってくところがあって、監査法人Aのポリシーがこうだとか、監査法人Bのポリシーはこの方向に向いている…という最新の情報を、案件を積み重ねながら情報蓄積していくことが重要な分野になります。弊社では2010年から継続して取り組んでいますので、こういったノウハウはかなり蓄積してきているなという実感はありますね。クライアントからの引き合いも多く、近年伸びているサービスラインの1つです。

ABD社の変わらぬポリシーと今後の方向性

movin:

先程の再生のお話でもIFRSのお話でも、クライアントの現場や個別事情を非常に大事にされるというコメントがありましたが、こういった特徴はどのように醸成されたのでしょうか?

ABD 栗原様:

創業のきっかけに由来していると思います。元々、ファームのポリシーやルールに縛られずに現実的かつベストな対応は何かをクライアントと一緒に考え、実行していきたいという想いから当社を設立したので、この点を変わらず大事にしていく中で、こういった特徴が出てきたのかと思います。

ABD 加藤様:

単に案件数をこなしてビジネスを拡大することを目的すれば、1件1件の案件を深堀りせずに、定型化して軽くこなしていけば拡大はできます。ただ、我々はそうでは無くて、1つ1つの案件をきちんとやりたい、クライアントと真摯に向き合って案件を遂行していきたいという想いがあります。この姿勢を維持することが、長い目で見た際に自社の成長にもつながると思いますし、実際にこの姿勢が評価されてクライアントの信頼を得て、次の案件を頂くことも非常に多いので、すごく大事だと思っています。

movin:

今後の貴社の方向性としては、どのようなことをお考えですか?

ABD 栗原様:

1つのサービスラインに特化するということは考えていません。特定領域に特化しすぎると、リーマンショック時のような大きな環境変化があった際に、会社の土台が大きく揺さぶられてしまいます。サービスの幅・クライアントの幅がある程度ないと弊社自身のポートフォリオ形成が出来ないので、長期的な事業存続という観点でこの点は意識していきたいと思います。

movin:

どのくらいの規模まで拡大したいという方針はありますか?

ABD 栗原様:

中長期的には30名程度の規模まで拡大したいと思っています。マーケットでのプレゼンスや認知度を考えると、このくらいの規模は必要かなと考えています。

movin:

それでは、今後とも少しずつ規模を拡大されていく方針でいらっしゃると。

ABD 栗原様:

仰るとおりです。

求める人材と社員にとっての魅力

movin:

では、今後とも継続的に採用を実施されるかと思いますが、どのような方を求めていらっしゃいますか?

ABD 加藤様:

本当にお客さんと向き合ってコンサルティングをやって頂ける方、お客さんの為に汗を流してもらえる方を募集しています。どのポジションでも、この点は共通して見ているポイントです。
スキルセットとしては、コンサルタントクラスについては基本的な財務・会計の知識・経験があり、分析力に秀でていることを求めています。イメージとしては、監査法人での監査やアドバイザリー業務経験者、銀行での融資経験者、事業会社の経営企画業務経験者等でしょうか。勿論会計士資格等があれば尚可ですが資格があることを重視はしていません。会計士資格があるからと言ってコンサルティングができるかというと、必ずしもそうではありませんので。
一方、アシスタントクラスについては、学習意欲・成長意欲が一番です。エクセル、パワーポイントといった基本的なOAスキルを兼ね備えている方であれば、ポテンシャルを重視しています。基本的な会計知識はあれば尚可ですが、やる気とお人柄次第で柔軟に考えたいと思っています。

ABD 高原様:

アシスタントクラスはワークライフバランスを重視した働き方もできるので、女性のメンバーが多く、私と一緒に仕事することが多いです。これまでは事業会社から転職されてきた方が多いですね。
加藤が述べたポイントを補足すると、最終的にこういうアウトプットが欲しいといった時に、言われたことを表面的にただやるだけでは無く、自分なりに考えて工夫してアウトプットを出してくる姿勢があるかを重視しています。コンサルティング会社ですので、自分なりに考えて改善しよう・いいものを出そうという姿勢があることが大事です。
実際にポテンシャルを重視して採用した方でも、分からないなりにも自分で考えて仕事をやっていく姿勢がある方は、入社後すごく伸びています。こういった方は、入社後自分に会計の知識が不足しているなと思ったら、自主的に税理士の勉強をして知識を深めていく…ということもしていますね。

movin:

なるほど。それではアシスタントクラスについては、経験・スキルよりもポテンシャルとやる気を重視されているのですね。

ABD 高原様:

そうです。ただし「やる気=長期時間を厭わない気持ち」という意味ではありません。アシスタントクラスは一からステップアップしていきたいという方も、家庭と両立してワークライフバランスをとった働き方をしたい方も、双方を歓迎しているので、家庭との兼ね合いで業務時間はある程度区切りを設けて働いていきたいという方には無理はさせません。

ABD 加藤様:

志向という観点では、「自分の名前で仕事が来る」ということに喜びを感じてもらえる方がいいと思います。大手ファームに入ると、大手ファームの名前、例えばKPMGの○○さん、PwCの○○さんという形でクライアント認知されると思うのですが、弊社は会社そのものの名前が有名なわけではないので、個人名で呼ばれるケースが多いです。自分の名前で仕事ができ、また仕事をもらえるということにモチベーションを感じる方にとっては、すごく楽しいと思います。私自身、自分の手で細かいことまでやらなければいけないこともあるので大変ではあるのですが、そんな中で、銀行の方らもクライアントの方からも「今回は本当に上手くいった。また加藤さんと一緒にお仕事したいですね」と言ってもらえると、非常に嬉しく思います。こういったことに喜びを感じられる方がいいかもしれませんね。

movin:

ちなみに、最近ご入社された方にはどのような方はいらっしゃいますか?弊社Webサイトに掲載している貴社の案件特集でも一部ご紹介させていただいておりますが、改めてご教示いただけますと幸いです。

ABD 加藤様:

シニアコンサルタントクラスですと、政府系金融機関で融資をやっていたメンバーが最近入社しました。財務面の分析のみに留まらず、もう少し事業にまで入り込んでクライアントにアドバイスしたいという動機から入社しました。他にも、金融機関出身で優良企業に投資をしていた者が、もっと企業の中に入りこんで現場を見て事業を分析し、企業の改善・成長の支援をクライアントと一緒にやっていきたいという想いで入社しています。
監査法人出身ですと、監査法人で企業の過去の数値をチェックするではなく、企業の未来を見たい、培ってきた知識・経験を用いてクライアントがこれから成長していく・業績を立て直していく支援をしたいという想いから入社するメンバーが多いです。
事業会社出身者ですと、事業会社にいると自分の会社のことしか分からないので、色々な会社を見て知識・経験を広げつつ、多くの会社に関与していきたいという想いからコンサルティングを志望される方が多いかと思います。

アシスタントクラスですと、システム会社出身者や事業会社出身者のメンバーがおり、ふとしたきっかけがあってコンサルティング業界に興味を持ち、現職からはキャリアチェンジになるのですがより数値的な観点からコンサルティングをやっていきたいという想いを持って、弊社に入社しています。ワークライフバランスをとりつつ仕事をしたいという観点から、弊社にアシスタントとして入社するメンバーもいます。

movin:

アシスタントクラスの方は入社後、本人の志向に応じてアシスタントとしてワークライフバランスを取りながら勤務を続ける選択肢も、コンサルタントに昇進してよりキャリアアップしていく選択肢も双方があり得るのでしょうか?

ABD 高原様:

どちらもあり得ます。パートナー陣としては、意欲と能力がある方にはコンサルタントとして活躍してほしいという想いがあり、積極的に提案しています。ただ家庭との両立や本人の志向もあるとは思いますので、無理強いすることは無く、あくまでも本人の希望が最優先です。

movin:

そうしますと、特に女性にとっては自分の家庭環境を踏まえて、当面はワークライフバランスを重視して働きながらも、タイミングが来た時にはチャレンジできるチャンスが残されている…という環境ですね。

ABD 高原様:

実は弊社は一般的なコンサルティングファームに比べると昔から女性比率は比較的高いです。

ABD 栗原様:

特段、特別な配慮をしているというわけでは無いのですが、先程話にも出た通り会社として特に規則で縛るということをしていないので、個々の事情を踏まえてお互いを尊重しながら仕事をしているので、結果として、女性にも働きやすい環境になっているのだと思います。

movin:

規則で縛るのではなく、個々人が自立してプロとして自由に働ける環境にあると。

ABD 栗原様:

大きな企業で自由度が低い環境から解放されて、自立した自由な環境で働きたいという方にとっては魅力的な環境だと思いますし、これまで入社したメンバーもこういった想いは大なり小なり持っていたのではないかと思います。

movin:

入社された方の感想はいかがですか?

ABD 栗原様:

「過度な規則がないのが楽です」という感想は良く聞きますね。全く無い訳では無く、ある程度決まりはあるのですが、過度に拘らず柔軟に対応しているので窮屈さがないのだと思います。

ABD 加藤様:

自由という事はそれだけ責任も生じるのでその点はシビアですが。

ABD 栗原様:

大手企業出身者にとっては、先程の「自由と責任」という感覚に思っていた以上のギャップがあると思います。いわゆる大企業の中で組織の一員として働いてきた人間からすると、自由と責任といっても、ある程度ルールがあった中での自由と責任だろうと想像するのですが、想像以上に個人に任されるので、どこまで自分でやっていいのか感覚が掴めるまでは戸惑うかもしれません。

ABD 加藤様:

「自由っていいな〜」と思っていた人も、「いや自由って大変だな」と思う時が一度は来ます(笑)
自由な分責任が生じるので、裁量を持ってやれる分、ちゃんとやり切らなければいけない…となるので。

movin:

なるほど。ある意味、本当にプロとしての覚悟が求められますね。

ABD 栗原様:

仰る通りです。後は、クライアントとのコミュニケーションにおいても、自分でコミットしなければいけないので、経験を積まないとどこまでコミットしていいのかという感覚がなかなかつかめないかと思います。

ABD 加藤様:

例えば、僕らがメンバーに対して「お客さんとのやり取り・進め方を自由にやっていいよ」と言ったところで、やはり逡巡する局面があります。「一度持ち帰って相談します」と持ち帰って相談に来るケースが(笑)。自由と責任が表裏一体だからこそ、どこまで自分で踏み込めるのか・責任を取れるのかという点を意識します。

ABD社の人事評価制度

movin:

貴社ではどのように人事評価をされているのですか?

ABD 栗原様:

職位別に満たすべき要件を設けており、こちらに照らし合わせて評価します。細かいスキル・知識の項目や、理解力、作業力、プレゼンテーション能力、指導力等様々な項目について、職位毎に求める水準を定義しており、こちら基づいて各項目が達成できているかどうかを、自己評価とパートナーの評価を擦り合わせて評価しています。

movin:

どのくらいの頻度で実施されるのですか?

ABD 栗原様:

年に2回ですね。中間レビューと期末レビューとの2回で評価を実施し、こちらに基づいて昇進や業績連動賞与が決まります。

movin:

ある程度実力主義の評価制度になっていらっしゃるのですか?

ABD 栗原様:

そうですね。昇進も早い方とややスローな方に分かれますね。やはりアウトプットに差が出るので、それを反映して実力のある方を実力に見合うポジションに…という考え方でやっています。

ABD 加藤様:

もう1点補足すると、顔の見える会社を目指しています。小所帯でずっと一緒に仕事をしているので、各メンバーがどのような仕事をどのようなレベルでやっているか、皆だいたい分かります。なので、評価されるべき人がきちんと評価される組織にしたいと思っています。

パートナー陣からのメッセージ

movin:

最後に、貴社にご関心をお持ち頂いている候補者の方々に対して一言ずつメッセージをお願い致します。

ABD 高原様:

私はバリュエーション業務の比重が大きいですが、バリュエーション業務は特に女性に合う仕事だなと最近実感しています。IFRS関連のバリュエーションですとクライアントの決算にあわせた案件が多いので、ある程度スケジュールも見え、計画的に業務を進めていれば突発的に業務量が増えて徹夜ということもほとんど無いですし、細かい数字をきっちり合わせる必要があるので、女性に向いているのではないかと。
是非とも、この分野で成長していきたい・自己研鑽していきたいという女性の方にはどんどん入社していただきたいと思っております。勿論、男性も大歓迎です(笑)

ABD 加藤様:

弊社と大手ファームの違いを感じ取っていただいて、魅力を感じていただける方には是非ご入社いただきたいです。大手ファームにはない良い点として、特に自由にできる・個々人の裁量が大きいという点があるので、若手クラスでもやる気になればどこまででもできると思っています。
組織に与えられたことを淡々と行うのではなく、プロアクティブに自分で何かを実現していこう・達成していきたいと思っている方には、いい環境が整っているかと思います。
後は、前述の通り弊社は事業をしっかりと分析しながら最終的に数字に落とし込んでいくというコンサルティングスタイルを取っており、商品点数の多いメーカーや店舗数が多い小売業の案件も多いので、メーカーの事業をちゃんと見てみたい方や小売店のオペレーションをちゃんと見てみたい方にも、是非ご入社いただきたいと思います。

ABD 栗原様:

加藤、高原が既にほとんど言いたいことは伝えてくれましたが、追加で一言添えると「自身の存在感」を示したい方に来て欲しいですね。サラリーマン的な発想で「○○社の看板を背負いたい」という方では無く、「ここで○○をやりたい」という強い意志を持って、「ABDという場を利用して、自分の力でやりたいことを実現したい」という人に来て欲しいと思います。



movin:

栗原様、加藤様、高原様、素敵なメッセージをありがとうございます。皆様、本日はご多忙の中本当にありがとうございました。

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