簿記2級の難易度は?合格率・勉強時間・独学のコツを徹底解説!
簿記2級とは?試験概要と取得するメリット
簿記2級は、日商簿記検定(日本商工会議所主催)の中級レベルにあたる資格で、企業の経理業務や会計知識を習得するうえで重要なステップです。試験は年3回(6月・11月・2月)実施され、商業簿記・工業簿記の2分野から出題されます。
簿記2級の出題範囲は、仕訳・決算処理・財務諸表の作成といった実務的な内容に加え、製造業で使われる原価計算や製品別損益などもカバーしており、3級よりも明らかに専門性が高くなっています。
この資格を取得することで得られるメリットは多く、以下のような点が挙げられます。
就職・転職に有利:経理職を目指す際はほぼ必須資格とされることも。
社内評価が上がる:企業によっては資格手当が支給されるケースも。
お金の流れを理解できる:個人の資産管理にも役立つ知識。
特に、未経験から経理職にチャレンジしたい社会人や、商業高校・専門学校の学生にとって、簿記2級の取得はキャリアの大きな武器になります。
簿記2級の難易度は?合格率や出題傾向から解説
簿記2級の難易度は「中程度?やや高め」と評価されることが多く、3級と比べて格段にレベルアップします。
合格率の推移を見ても、それが数値として表れています。
実施回(試験日) | 合格率 |
第167回(2024年2月) | 27.2% |
第166回(2023年11月) | 22.0% |
第165回(2023年6月) | 30.7% |
第164回(2023年2月) | 15.5% |
第163回(2022年11月) | 25.1% |
これらのデータからも分かる通り、毎回30%前後と決して高くはない合格率となっており、しっかりとした準備が求められる試験です。
出題傾向と難易度のポイント
商業簿記のボリューム感
決算整理や精算表、連結会計など、記述量が多く処理スピードも問われます。
工業簿記の理解度
原価計算や仕掛品勘定の理解が必要で、暗記だけでは対応できません。
記述・計算問題が中心
選択式ではなく、実際に仕訳や計算を行う問題が中心です。
特に、時間配分と計算ミスへの対策が合否を分ける大きな要因となります。
また、2021年の試験制度改定により一部内容が難化しており、2024年以降もその傾向が続いています。そのため、合格を目指すには最新の出題傾向に沿った対策が必要不可欠です。
簿記3級との違いは?難易度・範囲・必要スキルを比較
簿記2級と3級はどちらも「日商簿記検定」の中で取得可能な資格ですが、内容の深さ・試験の難易度・求められる思考力において大きな違いがあります。ここでは、それぞれの特徴を比較しながら、違いを詳しく見ていきましょう。
項目 | 簿記3級 | 簿記2級 |
対象者 | 簿記初学者、学生など | 社会人・経理希望者・実務者など |
出題範囲 | 商業簿記のみ | 商業簿記 + 工業簿記 |
問題形式 | 仕訳・帳簿記入・試算表など | 本支店会計・連結・原価計算など |
難易度の目安 | ★☆☆☆☆ | ★★★☆☆?★★★★☆ |
合格率(平均) | 約40?50% | 約20?30% |
必要な勉強時間 | 50?100時間程度 | 150?300時間程度 |
独学のしやすさ | しやすい | 難しい(基礎知識が前提となる) |
簿記3級はあくまで「商店レベルの基本会計」にとどまり、仕訳や帳簿、簡単な試算表の作成といった入門的な内容が中心です。
一方、簿記2級になると扱う企業規模が「株式会社レベル」へと広がり、税効果会計、引当金、連結会計、減価償却の詳細な処理など、より複雑で実務に近い内容が出題されます。
加えて、工業簿記の範囲も含まれるため、「完成品原価の計算」「個別原価計算・総合原価計算」といった、製造業特有の処理を理解する必要があります。
簿記3級では「暗記中心の学習」である程度対応できますが、簿記2級では応用力や論理的思考力、電卓を使ったスピーディな計算処理能力が求められます。
また、簿記2級は範囲が広く、過去問のパターン学習だけでは対応しきれないため、理解ベースでの学習が非常に重要です。
まったくの初心者で、簿記や会計の知識がゼロの人は、まず3級からの受験がおすすめです。3級で基礎的な会計処理に慣れてから2級に進むほうが、結果的に学習効率が良くなります。
合格までに必要な勉強時間の目安
簿記2級を合格するために必要な勉強時間は、一般的に150?300時間程度と言われています。ただし、これはあくまで目安であり、学習者のバックグラウンド(3級の有無、会計知識の有無、独学 or 通学)によって大きく変動します。
学習者タイプ | 必要勉強時間の目安 | 特徴・アドバイス |
@ 簿記3級合格済・会計知識あり | 150?200時間 | 工業簿記と応用問題に重点を置くと効率的 |
A 3級未取得・初心者 | 250?300時間 | 基礎からの積み上げが必要。まず3級内容の理解を |
B 社会人で時間が限られている方 | 200?250時間 | スキマ時間を活用し、短期間集中型が効果的 |
C 学生や専念できる人 | 150?200時間 | 学習時間は確保しやすいため短期合格も狙える |
D 独学で初学者 | 250?300時間以上 | 教材選びと学習計画がカギ。過去問重視の勉強を |
合格までのスケジュール例(独学の場合)
6か月プラン(週5日 × 1?2時間)
1?2ヶ月目:商業簿記の基礎をマスター
3?4ヶ月目:工業簿記の理解+商業の応用問題
5ヶ月目:過去問・模試・時間配分のトレーニング
6ヶ月目:苦手分野の総復習・直前対策
3か月プラン(週6日 × 2?3時間)
時間が取れる人向けの短期集中型。モチベーションの維持が重要。
短時間で合格する人の特徴とは?
・3級で基礎をしっかり固めている
・過去問や模試を繰り返し実施している
・苦手分野に偏らず全範囲をバランスよく復習している
一方で、漫然とテキストを読んでいるだけでは学習効率が悪く、勉強時間が長くなっても合格が遠のくケースも多いです。
独学での合格は可能?メリット・デメリットを整理
簿記2級は独学でも合格可能な資格ですが、難易度の高さと出題範囲の広さから、計画性と学習習慣が問われます。
ここでは、独学で合格を目指す際の「メリット」「デメリット」「成功のポイント」を整理していきます。
独学のメリット
費用が安く抑えられる
通信講座や専門学校と比べて、テキスト代や問題集だけで済むため、数千?1万円程度で済むこともあります。
自分のペースで学習できる
時間の融通が利くため、仕事や学業と両立しながら無理なく勉強できます。
理解力が定着しやすい
人に教わるのではなく、自分で考えながら解くことで、論理的な理解が身につきやすくなります。
独学のデメリット
挫折しやすい
モチベーション管理がすべて自己責任。理解が止まった箇所で学習が中断することも。
理解の限界にぶつかる可能性
特に工業簿記や連結会計など、抽象度の高い分野ではつまずきやすい傾向があります。
最新情報に遅れがち
法改正や出題傾向の変化に自力で対応する必要があるため、情報収集力も問われます。
独学で成功する人の特徴
学習計画を具体的に立てている(例:週5日・1日90分など)
毎週の進捗を見直し、遅れを修正している
基礎理論を理解する努力を惜しまない(丸暗記ではなく「なぜこうなるか」を考える)
過去問や模試を繰り返して形式に慣れている
参考書やYouTubeなど複数の教材を組み合わせている
独学におすすめの教材(2025年時点)
【テキスト】スッキリわかる 日商簿記2級シリーズ(TAC出版)
【問題集】よくわかる簿記シリーズ(ネットスクール)
【動画講義】YouTube「CPAラーニング」「パブロフ簿記ちゃんねる」など
【過去問対策】日本商工会議所公式サイト掲載の過去問PDF
独学の結論
簿記2級の独学は決して簡単ではありませんが、工夫と継続力があれば十分に合格可能です。
特に、3級を取得済みの方や、自己管理に自信のある方にとってはコストパフォーマンスの高い選択肢と言えるでしょう。
簿記2級合格のためのおすすめ勉強法と参考書
簿記2級の合格には、理解ベースでの学習とアウトプットの反復が不可欠です。ただテキストを読むだけでは合格は難しく、「インプット→演習→復習」のサイクルを確立することが合格のカギとなります。
ここでは、効率的な勉強法と2025年時点で人気の高い教材を紹介します。
ステップ別・おすすめ勉強法
【STEP1】インプット(基礎理解)
テキストを読み進める際は、なぜこの処理になるのかを意識して学ぶことが重要です。
単元ごとにノートをまとめたり、講義動画を併用することで理解が深まります。
【STEP2】アウトプット(問題演習)
インプット後すぐに対応する練習問題を解くことで、知識の定着が進みます。
最初は間違えて当たり前。解説を読んで理解すること自体が学習です。
【STEP3】過去問・予想問題演習(実戦力の養成)
実際の出題形式に慣れるために、本試験と同じ時間配分で過去問を解く練習が有効です。
特に工業簿記や本支店会計など、苦手分野を中心に繰り返すことが重要です。
おすすめ参考書・教材(2025年版)
テキスト系
スッキリわかる 日商簿記2級(TAC出版)
→ 初学者に人気。図解が豊富で読みやすい構成。
よくわかる簿記シリーズ(日建学院・ネットスクール)
→ 実務に即した説明で理解が深まる。
問題集・演習系
TAC出版 合格するための過去問題集 簿記2級
→ 過去5回以上の本試験問題を収録。解説も丁寧。
みんなが欲しかった!簿記の問題集(TAC出版)
→ 練習問題が豊富。段階的にレベルアップ可能。
動画講義(無料)
CPAラーニング(YouTube)
→ 無料で基礎講義が視聴できる。テンポがよくわかりやすい。
効果的な学習のコツ
1日1?2時間でもいいので「毎日継続」することが何より大切
テキストは1冊に絞り、何度も繰り返す(複数教材に手を出しすぎない)
苦手分野を「見て見ぬふり」せず、あえて重点的に練習する
ポイントまとめ
「理解」と「演習」のバランスが合格のカギ
自分の学習スタイルに合った教材を選ぶのが成功の第一歩
動画・アプリ・模試など、複数の学習ツールを組み合わせるのが効率的
簿記2級の難易度が上がっているって本当?【2025年最新事情】
ここ数年、簿記2級について「難しくなった」「以前より受かりにくくなった」という声を多く聞くようになりました。
実際、2021年の試験改定以降、出題傾向や試験方式に変化があり、以前よりも難易度が高まっているのは事実です。
難化の背景@:試験範囲の拡大と実務寄りの内容
特に以下の内容が追加・強化されたことが難易度上昇の要因となっています。
連結会計の導入
以前は簿記1級で学ぶ内容だった連結会計の基礎が、2級にも登場。
複数の会社間の取引や支配関係に関する会計処理が含まれ、理解に時間を要します。
税効果会計や引当金の扱い強化
現実の企業会計に即した処理が問われるようになり、理論的な理解が不可欠に。
工業簿記の出題難易度の上昇
単純計算だけでなく、「考えさせる」問題が増加。応用力・論理的思考が必要。
難化の背景A:CBT試験(ネット受験)の導入
2021年から、従来の筆記試験(統一試験)に加えてCBT(Computer Based Testing)方式が導入されました。
受験機会が増える反面、出題内容が試験ごとに変動
過去問対策が通用しにくくなり、本質的な理解が求められる
「まぐれ当たり」が起こりにくくなり、実力勝負になってきている
最新の合格率データから見える傾向(2023?2025)
試験回 | 合格率 | 特記事項 |
第165回(2023年6月) | 30.7% | やや易しめの問題構成 |
第166回(2023年11月) | 22.0% | 工業簿記で難問出題 |
第167回(2024年2月) | 27.2% | 連結会計・本支店会計が中心 |
CBT方式(随時) | 非公開(推定20?25%) | 会場や回によって難易度差あり |
合格率の推移を見ると、「30%前後」が平均ですが、20%台前半に落ち込む回もあり、安定して合格できる難易度ではないことがうかがえます。
それでも合格は可能!今求められるのは“学習の質”
試験が実務寄りに進化したことで、単なる暗記学習では通用しなくなっています。しかし、逆に言えば「しっかり理解している人」がより高く評価される時代とも言えます。
そのためには:
試験範囲の全体像を把握してから学習に入る
理解→問題演習→復習のサイクルを確立する
予想問題や模試で時間配分・実戦感覚を鍛える
といった対策が有効です。
まとめ:簿記2級は戦略的に学べば合格可能!
簿記2級は、確かに3級に比べて出題範囲が広く、難易度も高めです。しかし、正しい学習法と戦略を持てば、誰でも合格を目指せる資格です。
2021年以降の試験制度変更やCBT方式の導入により、より実務寄り・理解重視の出題傾向にシフトしている今こそ、「丸暗記ではなく、根本から理解する力」が求められています。
ここまでのポイントを振り返ると…
簿記2級の合格率は約20?30%と決して簡単ではない
出題範囲は商業簿記+工業簿記で、内容も応用的
必要な勉強時間は150?300時間、独学でも合格は可能
成功の鍵は、継続と正しい学習手順、教材選びにあり
こんな人におすすめの資格
経理・会計職への就職・転職を目指している人
お金の流れや企業経営の基礎を学びたいビジネスパーソン
独立・副業・起業を見据えて財務感覚を鍛えたい方
最後に
簿記2級は「知識ゼロ」からのスタートでも十分合格可能です。大切なのは、今の自分のレベルに合った方法で、一歩ずつ確実に学んでいくこと。
焦らず、確実に進めていけば、半年後には合格証書を手にする自分に出会えるはずです。
「本当に受かるかな…」と不安な人ほど、まずは今日から一歩踏み出してみてください。
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