【銀行業界】「知っておくべき」全体像!主要銀行と部門について
「金融機関」と言われた時に、圧倒的に連想されることが多いのは「三菱UFJ銀行」「三井住友銀行」「みずほ銀行」といった「銀行」の名前ではないでしょうか?実際、銀行は我々が常日頃から最も頻繁に利用する金融機関であり、個人のみならず、法人に対しても多彩なサービスを提供しています。
一方、そのサービスの幅の広さ故に、銀行が取り扱っている業務の全容は見えにくく、また「銀行」という名前がついているにもかかわらず、銀行法上の銀行には該当せず、上述の大手メガバンクとは提供サービスが大きく異なる金融機関も存在します。
今回の特集では、分かっているようで知らないことが多い、銀行業界にフォーカスを当てたさせていただきました。
銀行業界にご関心をお持ちの方は、ぜひご参考にしていただけますと幸いです。
銀行業界概観
日本の法令上、銀行とは、銀行法上の銀行(普通銀行)を意味しており、一般の方がイメージする銀行=普通銀行になります。しかしながら、広義には特殊銀行と呼ばれる政府系金融機関や協同組織金融機関、株式会社商工組合中央金庫を包含して、銀行と呼ばれることもあります。
銀行法上の銀行(普通銀行)は旧来より「金融仲介」「信用創造」「決済機能」の3つを銀行の3大機能とし、これらの機能は銀行の主要業務である「預金」「融資」「為替」および銀行の信用によって実現されています。
しかしながら、上記に限らず多数の「付随業務」や「投資助言業務」が法律でも認められており、実際にM&Aアドバイザリーやビジネスマッチング、金融商品の窓販等、様々な業務が遂行されております。
また、普通銀行の中でも、規模や歴史、ポジショニングによって取り組みの程度に差異が出ている分野もあり、細かく見ていけば、「銀行」の中でも多種多様な相違点がございます。
主なプレーヤー
そんな銀行業界を俯瞰するにあたり、やや大ざっぱではありますが、主なプレーヤーを整理すると、以下のような分類になります。
メガバンク・旧都市銀行
都市銀行とは、東京や大阪などの大都市に本店を置いていて、全国規模の業務展開をしている普通銀行です。当初は「普通銀行のうち6大都市またはそれに準ずる都市を本拠として、全国的にまたは数地方にまたがる広域的営業基盤を持つ銀行」と定義され、13行が分類されておりましたが合併・再編に伴い現在は
・三菱UFJフィナンシャル・グループ
・三井住友フィナンシャルグループ
・みずほフィナンシャルグループ
の3グループないしはこちらにりそなホールディングスを加えた4グループをメガバンクと呼びます。
銀行のみならず、証券会社や信託銀行、地方銀行等もグループ傘下に加えており、日本の銀行業界において圧倒的な存在感を有しています。
また、厳密には旧都市銀行ではないものの、新生銀行(旧長期信用銀行)やあおぞら銀行(旧日本債券信用銀行)といった旧長期信用銀行は、かつては旧都市銀行と伍して大手企業に高度な金融サービスを提供しており、現在も投資銀行業務やアドバイザリー業務を行っています。
地方銀行
定義上は「一般社団法人全国地方銀行協会の会員である銀行」となりますが、一般的には各都道府県に本店を置き、当該地方を中心に営業を展開している普通銀行を指します。地域主要企業の主要融資を担っていることが多く、どちらかというと伝統的な上述の銀行の3大機能が事業の中心になっている地方銀行が多いですが、横浜銀行や千葉銀行、福岡銀行といった大手有力地方銀行の中には、投資銀行色の強い業務・アドバイザリー性の高い業務にも積極的に取り組んでいる銀行もあります。
外資系商業銀行
海外に本店を置く銀行の日本拠点です。主に東京を中心に事業展開しており、法人向けには、為替やキャッシュマネジメント関連のサービス、外資系企業の日本法人に対する融資等の業務を行っています。
また、一時期はリテール事業の拡大を志向し、個人富裕層(特に年収1000万円以上のアッパーミドル)向けのプライベートバンク事業に注力していた銀行も多かったですが、結果として上記アッパーミドル向けのプライベートバンキング事業からは撤退が相次ぎ、本当の意味での富裕層に対するプライベートバンキング事業を営むプレーヤーが主となっています。
信託銀行
信託銀行は、お金、株、土地などの資産を預かり、その管理と運用を行う資産管理代行・信託業務を行う銀行です。他人財産を自己の名義として預かり、自己の財産と分別管理する「信託業務」は、大半の年金基金や投資信託が活用しており、金融市場において欠かせないインフラとなっています。
信託業務以外にも証券代行業務、不動産仲介業務、遺言信託業務等を行っており、個人富裕層に対する不動産取引関連のアドバイス・サポートも重要なビジネスの柱になっています。
政府系金融機関・系統金融機関
政府系金融機関とは、日本政府が経済発展、国民生活の安定などといった一定の政策を実現する目的で、出資金のうちの多く(または全額)を政府が出資している金融機関の総称です。
銀行法上の銀行では無く、別途定められた個別法律を根拠に設立されている特殊法人/特殊会社のことが多いです。
代表的な法人としては株式会社日本政策投資銀行、株式会社国際協力銀行、株式会社日本政策金融公庫、株式会社商工組合中央金庫等が挙げられ、政策目的に則った融資・投資を主な業務とし、預金・決済・為替といった機能は有していないことが殆どです。
※株式会社商工組合中央金庫は預金機能等を保有。
しばしば同じように語られる組織として、同業態の協同組織金融機関が出資、加盟して決済、資金需要の調整や余裕資金の運用を行う系統金融機関(系統中央金融機関)があり、農林中央金庫、信金中央金庫等が代表的な金融機関になります。
その他
上記以外にも、中小企業や地域住民のための金融機関として存在する信用金庫、信用組合、インターネット上で振込・振替・残高照会などのサービスを提供するインターネット銀行、コンビニATMでの決済事業を主業とするセブン銀行、日本郵政グループ傘下のゆうちょ銀行等、様々なプレーヤーが存在します。
銀行業務の種類
多種多様な銀行業務の中から、主な業務を紹介しますと、
預金業務
多くの個人・法人から短期・小口の資金を預かり、滞留資金を確保した上で、長期・大口融資の原資としています。銀行の預金は各種取引にかかわる支払・決済にも利用され、企業の事業活動、個人の日常生活に欠かせない機能となっています。
かつて金利規制が厳格であったころは、預金集めが金融機関経営の中心課題となり、金融機関が激しく預金獲得競争を繰り広げていましたが、現在ではどちらかというと集めた資金の「運用」の方に課題を感じるケースが増えています。
貸付業務
預金業務を通じて集めた資金を貸付、預金金利と貸付金利の利ざやをもって収益を稼ぎます。
法人への融資においては、かつては企業の信用力をベースとした融資がその大部分を占めていましたが、近年では予想される将来の利益を返済原資とする融資(プロジェクト・ファイナンス)や、資産の証券化の仕組みなどを用いて市場から資金を集める手法(ストラクチャード・ファイナンス)等、様々な手法が活用されています。
為替業務
送金や振込、手形・小切手によって現金を移動させることなく、代金支払などの決済を行う業務のことであり、法人間の代金の支払や会社から個人への給与振込まで、多様な場面で活躍しています。
また、日本円と外貨の両替、外国へ送金、貿易取引(輸出信用状/輸入信用状の発行・通知・取立等)も重要な機能であり、銀行にとっても外国為替業務は多額の手数料を見込める重要な収益源となっています。
アドバイザリー業務
融資・投資のように銀行がリスクを取ってリターンを得るのではなく、顧客に対して財務面・事業面に関する助言を行うことで、手数料収入を得ることをアドバイザリー業務と称し、銀行も注力しています。
代表的なものとしては、M&Aに関するアドバイザリー業務、企業再生・再編に係るアドバイザリー業務等が挙げられ、所謂銀行の「投資銀行業務」は大なり小なり手数料が付随するアドバイザリー業務を含むことが多いです。
市場取引業務
有価証券や金融商品、為替取引等につき、顧客からのオーダーを市場につなぐことで、市場の取引価格と顧客への提示価格の差から利益を上げたり、銀行自身がリスクを取って市場取引にて売買を行い、売買差益で収益を挙げる業務です。
銀行は特に外国為替市場や国債市場においては有力プレーヤーの1つになります。
金融商品仲介業務
個人を対象に、資産内容や収入に見合った資産運用および保全のアドバイスをしながら、金融商品の販売を行っています。
主には外貨預金や投資信託、保険商品の提案・販売が多く、銀行のリテール事業においては近年最も注力されている事業になります。
代表的な部門/職種
総合職として入行した銀行員は様々な部門をローテションで経験していきます。
例えば、最も規模・業務領域が広いメガバンクですと、代表的な部門・職種として、下記が挙げられます。
法人営業担当/RM部門
取引企業に対する銀行側の一義的な窓口として、顧客企業のニーズを聞きながら
融資や外国為替をはじめとした様々な銀行のサービスを提案・執行する職種です。
各地の支店のRMは主に支店周辺の中堅・中小企業を担当し、大企業は東京本店・大阪本店等の
大企業担当部(通称「No.部」とも呼ばれます)が担当し、M&Aや海外進出支援、
キャッシュマネジメントシステムといったソリューション性の高い提案も行っています。
投資銀行部門(プロダクト部門)
専門性の高い商品・サービスのスペシャリストとしてRMと共に顧客(主に大企業)に対してソリューションを提案します。
所謂アドバイザリー業務の色が濃い部門であり、
・ストラクチャードファイナンス
・プロジェクトファイナンス
・M&Aアドバイザリー
・シンジケートローン
をはじめ、商品・ソリューション毎に部門が編成されています。
市場部門
上述の市場取引業務を行う部門であり、東京のみならずニューヨーク・ロンドンをはじめとした世界の市場の動きを見ながら、外国為替や国債をはじめとした様々な商品のディーリングを行っています。
審査部門
銀行の投融資の対象企業の経営状況を審査し、財務内容の健全性や安全性などを評価する部門です。
定量的な情報(財務データ)から顧客の信用力を判定(格付)する仕組み・ロジックを構築したり、信用力に対して投融資額が大きい案件に対してRMと共に案件内容を精査する業務を行っており、企業の事業・財務を深く多面的に分析することが求められます。
リスク管理部門
銀行業務が抱える様々なリスク(信用リスク、金利リスク、流動性リスク、オペレーショナルリスク)を包括的にモニタリングし、各種リスクを適切にコントロールするための仕組み作りを行う部門です。
銀行業界にを取り巻く規制の追加・変更に際しても、経営企画部門等と協業して重要な役割を果たすことが多いです。
経済調査部門
各国の経済成長率、金利動向、為替動向といったマクロ経済の情報収集・分析を行う部門です。
銀行の各種業務における戦略を策定に際しての重要な基礎になると共に、分析内容をレポートや講演として外部に発信する業務も行っています。
海外部門
メガバンクをはじめとした大手銀行は海外にも多数の拠点を有しており、現地に進出している日系企業のみならず、現地企業に対しても国内と同様のサービスを提供しています。
以前は、自前で現地法人や支社・支店、駐在員オフィス等の海外拠点を設立していきましてが、近年は現地金融機関を買収し、こちらを足掛かりに一気に事業展開を進めるケースも増えています。
東京の本店にも、海外拠点の統括や各地域における事業戦略の構築・推進を担当する国際企画部門が設置されており、世界各国の拠点と連携しながら銀行の海外進出を推進しています。
システム部門
銀行は最もシステム投資が多い業種の1つであり、各種決済に関するシステム、市場取引に関するシステム、リスク管理に関するシステムから営業推進・顧客管理に関するシステムまで、多種多様なシステムがあります。
銀行のシステム部門には多数のITベンダーが常駐しており、銀行のシステム部門はベンダーと連携しながら、新規システムの企画・要件定義から開発のプロジェクトマネジメント、トラブル対応等を行っています。
銀行業務の性質上、システムの機能のみならずセキュリティー面も非常に重要視されており、銀行を縁の下から支える非常に重要な部門になります。
フィナンシャル・アドバイザリー(リテールバンキング)部門
個人顧客を対象に資産運用のアドバイス・金融商品の販売等を行う部門です。
主には各地の支店にて支店に口座を持つ個人顧客に対してアプローチしており、クレジットカードの提案や住宅ローンの相談・対応等も行っています。
プライベート・バンキング部門
資産運用の相談・提案という観点では上述のフィナンシャル・アドバイザリー(リテールバンキング)部門と同じサービスを提供しますが、プライベート・バンキング部門では富裕層(資産家、事業オーナー)に特化して資産運用の相談・提案を行っており、金融商品の提案に留まらず、最適な資産ポートフォリオの設計・提案や相続に関するアドバイス等も行っています。
銀行でのキャリア/銀行出身者のキャリアパス
一部のコース別採用を除き、銀行内でのキャリアは様々な部署を3-5年単位でローテションし、ジェネラリストとして幅広い経験を積んでいくキャリアになります。
新卒の場合、最初は支店にて銀行業務の基礎を学び、様々な部署に異動していくキャリアが主となります。中途採用の場合も、上記ローテションに組み込まれるケースが多く、入社時の部署にて数年勤務した後は、違う部署に異動となる可能性がございます。
また、特筆すべき点として、一部の役員を除き50歳前後から関連会社や顧客企業への出向・転籍という形で銀行を「卒業」することになり、他業種と比べると早いタイミングで銀行のキャリアを終え、新たな環境でキャリアを再スタートすることになります。
逆に、若いうちに銀行を「卒業」し、新しい環境にチャレンジするケースも年々増加しており、「より専門的な分野でのキャリア構築」を志向されてM&Aアドバイザリー会社や再生コンサルティングファームに転職されるケース、「融資では無く投資業務に従事したい」という理由で独立系投資会社に転職されるケース「より事業面から顧客を支援したい」との想いから戦略コンサルティングファームに転職されるケース…といった形で、様々な分野に転職されています。
上記以外にも事業会社の財務や経営管理系ポジションに転職されるケースも有、メガバンク出身の若手は「財務会計の基礎知識」「事業面・財務面の分析力」「ポテンシャルの高さ」を買われて様々な業界に転職しています。
他方、銀行でのキャリアは「ジェネラリストとして幅広い経験を積んでいくキャリア」である故、「転職しやすいタイミング」があるのも事実であり、銀行外でのキャリアを構築を視野に入れる際には、戦略的にキャリア構築を行う必要があります。
弊社では銀行業界出身の方向けのキャリア相談会も行っており、転職ありきで無くキャリアのご相談を受け付けておりますので、キャリアについてお悩みの際には、お気軽にご相談いただけますと幸いです。
銀行業界への転職 キャリア相談会
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