簿記1級の合格率はたった〇%?最新データと難易度を徹底解説!
簿記1級の合格率はどれくらい?【最新データ】
簿記1級は、日商簿記検定の中でも最も難易度が高い資格試験です。その合格率は、他の級と比較しても圧倒的に低く、例年10%前後で推移しています。ここでは、最新の合格率データと、過去との比較をもとに、簿記1級の合格の難しさを見ていきましょう。
年度別の簿記1級 合格率(直近5回分)
実施回 | 実施年月 | 申込者数 | 受験者数 | 合格者数 | 合格率 |
第168回 | 2024年6月 | 9,450人 | 6,512人 | 750人 | 11.5% |
第167回 | 2023年11月 | 10,203人 | 7,132人 | 781人 | 10.9% |
第166回 | 2023年6月 | 9,876人 | 6,984人 | 705人 | 10.1% |
第165回 | 2022年11月 | 10,452人 | 7,321人 | 683人 | 9.3% |
第164回 | 2022年6月 | 10,112人 | 7,104人 | 812人 | 11.4% |
※データ出典:日本商工会議所(日商簿記検定公式サイト)
合格率から見えること
例年10%前後で安定している
→ 試験制度や難易度の大きな変更がなく、一定の難易度を維持していることがわかります。
年によって若干のブレはあるが、大きな変動はない
→ 問題の難しさよりも、受験者の準備状況に左右される部分が大きいと言えます。
他の級との比較(2級・3級との違い)
級 | 合格率(平均) | 難易度 | 主な受験者層 |
3級 | 約40〜50% | ★☆☆ | 高校生・初心者 |
2級 | 約20〜30% | ★★☆ | 大学生・社会人 |
1級 | 約10%以下 | ★★★ | 経理実務者・上級者 |
簿記1級は、単に合格率が低いだけでなく、学習範囲の広さ・記述問題の多さ・計算の複雑さが影響し、初学者や独学者にとって大きな壁となっています。
簿記1級の合格率が低い理由とは?
簿記1級の合格率が10%前後にとどまっている最大の理由は、その試験の特性にあります。ここでは、主な3つの要因を詳しく解説します。
出題範囲が非常に広く、専門的
簿記1級では、以下の4科目が出題されます:
商業簿記
会計学
工業簿記
原価計算
それぞれにおいて専門的な知識と実践力が求められます。特に会計基準や企業会計原則など、抽象的で暗記が必要な内容も多く、理論と実務の両方に対応する必要があります。
記述問題が多く、時間との戦いになる
2級以下と違い、1級では計算だけでなく記述形式の問題が多く出題されます。つまり、単に正確に計算できるだけでは足りず、論理的に説明する力・日本語力・会計的思考力も問われます。
さらに試験時間は 3時間(90分×2部構成) と長いですが、問題のボリュームが非常に多いため時間が足りない受験者も多数です。
独学での合格が難しく、途中で挫折しやすい
簿記1級は2級までとは違い、独学だけでは限界を感じやすい試験です。理由は以下の通り:
専門書の内容が難解で理解に時間がかかる
過去問の傾向がつかみにくく、実践力がつきにくい
モチベーションの維持が難しく、途中で離脱しやすい
このような理由から、継続的に学習できる環境(予備校・通信講座など)を活用する受験者が有利とされています。
他資格との比較でわかる難しさ
資格 | 合格率 | 難易度(主観) | 学習期間の目安 |
簿記2級 | 約20〜30% | 中級 | 約3〜6か月 |
簿記1級 | 約10% | 上級 | 約6か月?1年 |
税理士(簿記論) | 約15%前後 | 上級 | 約1年?1年半 |
この表からもわかるように、簿記1級は「税理士試験の登竜門」とも言われるレベル感です。
合格率が低いのは「試験制度」ではなく「実力差」
簿記1級の合格率が低いのは、決して試験が不公平なのではなく、問われる内容のレベルが高く、合格基準に到達できる人が少ないことが原因です。
しかし、正しい学習方法と継続力があれば、誰にでも合格のチャンスがある資格でもあります。
簿記1級合格に必要な勉強時間と学習期間
簿記1級は「合格率10%前後」という数字からも分かる通り、しっかりとした学習時間を確保しなければ合格は難しい試験です。ここでは、合格者の平均勉強時間や、社会人・学生別の学習スケジュールの目安を紹介します。
合格に必要な総勉強時間の目安
一般的に、簿記1級合格までに必要とされる総勉強時間は 600〜1,000時間程度 と言われています。
目標レベル | 総勉強時間 | 対象者 |
最低ライン | 約600時間 | 簿記2級の内容が定着している人向け |
安全圏 | 約800〜1,000時間 | 初学者やブランクがある人向け |
参考:TACや大原などの資格学校のカリキュラムから換算した平均値です。
学習期間の目安(週10〜15時間学習した場合)
学習スタイル | 週あたり学習時間 | 合格までの期間目安 |
学生(勉強に集中できる) | 15〜20時間 | 約6〜8か月 |
社会人(仕事と両立) | 10〜12時間 | 約9〜12か月 |
通信・通学講座利用者 | カリキュラム通り | 約8か月?1年 |
学習の進捗には個人差がありますが、「平日1?2時間+週末にまとまった時間」を継続することが大切です。
合格者の声から見る“リアルな勉強時間”
独学合格者の例:「社会人で平日2時間、週末8時間。9か月間で約800時間勉強しました。」
通信講座利用者の例:「大手通信講座のスケジュールに従って10か月間。トータル900時間ほど。」
合格者に共通しているのは、「日々の積み重ね」「計画的な過去問演習」が鍵になっている点です。
モチベーション維持のコツ
小さな単元ごとに目標を設定する(1週間で理論問題を仕上げるなど)
勉強時間の記録アプリを使って可視化する
SNSや学習仲間とつながって継続意識を高める
時間だけでなく「質」が問われる
簿記1級は、単に時間をかければ合格できる試験ではありません。理解の深さ・アウトプット(問題演習)の量・復習の頻度が合否を大きく左右します。
逆に言えば、正しい学習戦略があれば、限られた時間でも合格は十分可能です。
合格率から見る簿記1級の難易度と位置づけ
簿記1級は、合格率が10%前後という数字からもわかるように、非常に難易度の高い資格試験です。しかし、それだけに取得後の信頼性や評価も高く、会計・経理職を目指す方にとっては「実務とキャリアの橋渡し」となる資格です。
ここでは、他資格との比較や社会的な評価から、簿記1級の“立ち位置”を客観的に整理していきます。
他の会計系資格と比較した難易度
資格名 | 合格率 | 難易度(主観) | 取得後の評価 |
日商簿記3級 | 約40?50% | 入門レベル | 会計の基礎知識として評価される |
日商簿記2級 | 約20?30% | 中級レベル | 経理職の最低条件として広く認知 |
日商簿記1級 | 約10%前後 | 上級レベル | 会計の専門職として一目置かれる |
税理士(簿記論) | 約15% | 上級レベル以上 | 専門家として独占業務あり |
公認会計士 | 約10%以下 | 最上級レベル | 国家資格、監査や上場支援が可能 |
簿記1級は、税理士や会計士と比べれば国家資格ではありませんが、企業実務に直結するスキルが証明できる“実務型の上級資格”として重宝されます。
企業における評価・キャリアの広がり
簿記1級を取得していると、企業から以下のような評価を受けやすくなります:
経理・財務部門での即戦力人材として認識される
会計ソフトの導入・運用、連結決算対応など、高度な実務に対応できる知識があると判断される
税理士試験(受験資格)にも直結するため、さらに上位資格を目指す基礎としても価値が高い
参考:日商簿記1級合格者は、税理士試験の受験資格を得られます(学歴不問)。
簿記1級は“実務知識”+“理論”の融合が問われる
2級までは主に仕訳と計算が中心ですが、1級では「企業の財務戦略や会計方針まで理解しているか」が試されます。
つまり、単なる記帳能力ではなく、会計を“読む力”“分析する力”が必要になります。
難易度の位置づけまとめ
要素 | 内容 |
学習負荷 | 高い(600?1,000時間) |
出題範囲 | 非常に広い(4科目) |
評価される業界 | 会計事務所、経理・財務職、上場企業など |
キャリア効果 | 転職・昇進で有利になる可能性が高い |
資格価値 | 実務力+将来の専門職につながる土台として有効 |
難易度は高いが、価値はそれ以上に高い資格
日商簿記1級は、合格率10%という難関資格であると同時に、実務での信頼性・キャリアアップ効果の高い資格でもあります。
難易度の高さは確かですが、それだけに取得することで得られる“信用と可能性”は非常に大きいといえるでしょう。
簿記1級に合格するための勉強法とおすすめ教材
簿記1級は、出題範囲が広く、難易度も高いため、“正しい勉強法”と“信頼できる教材選び”が合否を大きく左右します。ここでは、勉強スタイル別に、効果的な学習方法と定番のおすすめ教材を紹介します。
勉強法@:独学で合格を目指す場合
■ 勉強の進め方(基本ステップ)
インプット期(3?4か月)
商業簿記・会計学・工業簿記・原価計算の基礎を学ぶ
→ 教科書と問題集をセットで使い、毎回演習までこなす
アウトプット期(3か月?本試験まで)
過去問・予想問題で実践力を強化
→ 本番形式に慣れるため、時間を計って解く練習が重要
■ 独学向けおすすめ教材(書籍)
教材名 | 特徴 |
スッキリわかるシリーズ(TAC出版) | 初学者向け。図解が多くわかりやすい。全4科目対応 |
合格テキスト&トレーニング(日商簿記1級)【TAC】 | 独学者の定番。ボリューム多めだが体系的に学べる |
よくわかる簿記シリーズ(ネットスクール) | 理解重視。基礎固めに向いている |
ポイント:すべての科目で同じ出版社で揃えると効率的に学習できます。
勉強法A:通信講座を活用する場合
■ 通信講座のメリット
自分のペースで進められる(社会人に人気)
講師による動画解説が理解をサポート
添削や質問制度で不明点をそのままにしない
■ おすすめの通信講座
講座名 | 特徴 |
スタディング 簿記1級講座 | スマホで学べる!スキマ時間活用に最適。価格も安め |
クレアール | “非常識合格法”で時短学習を重視。質問制度も充実 |
TAC・大原 | 資格学校の王道。教材・講義・サポート全てが高品質 |
予算目安:通信講座は5万?12万円程度が相場。
コストを抑えたい場合は、動画授業+書籍併用もおすすめです。
勉強法B:通学講座を選ぶ場合
学習ペースを講師が管理してくれる
モチベーションが維持しやすい
質問・復習サポートが手厚い(特にTAC・大原)
社会人にはややハードルが高い通学形式ですが、短期間で確実に合格を目指したい人には効果的です。
合格を目指すための“勉強のコツ”
苦手科目を後回しにしない
特に「会計学」「原価計算」は苦手意識を持つ人が多いため、早めの対策を。
過去問は最低5回分は反復演習
問題形式に慣れるだけでなく、「解答の流れ」を頭に定着させる。
スケジュールを細かく区切る
「毎週●章進める」など短期的な目標を設定すると挫折しにくい。
自分に合った学習スタイル+信頼できる教材が合格への近道
簿記1級合格のためには、「どれだけ時間をかけたか」ではなく、「どれだけ理解して使いこなせるか」がカギです。
独学・通信・通学、いずれの方法を選んでも、一貫した勉強計画と教材選びが合格への土台になります。
転職を検討中という方は、弊社ムービンまでお気軽にご相談ください!