【未経験OK】簿記2級で経理転職を実現する方法|職種選び・実技対策・入社後90日プラン
簿記2級を取った。でも実務は未経験。
ここから経理職に内定するまでの道筋を、迷わない順番でまとめました。
「狙える職種」「採用が見るツボ」「通る職務経歴書の作り方」など、知識ゼロでも実行できるように具体的に書いています。
未経験×簿記2級で転職は可能?採用の見方と勝ち筋
可能です。ただし「資格を持っている=即戦力」ではありません。
採用側が最も重視するのは「即戦力として働けることの証明」です。
勝ち筋は次の3点に集約されます。
書類は“数字で語る”:件数・金額・短縮率・正確性など、成果を数値化。
実務再現の証跡:架空データで良いので、仕訳→試算表→月次レポート、売掛・買掛の管理表、消費税区分メモ、操作手順書などを作り、面接で提示。
チャネル分散+改善:転職サイト・エージェント・リファラルを併用し、職務経歴書をA/Bテストで改善。
重要:未経験者の勝負は「意欲」ではなく「即戦略として運用できる仕組み」をどれだけ提示できるかです。
狙える職種と“未経験歓迎”の中身
現実的な入口
経理アシスタント/経理スタッフ(エントリー)
仕訳入力、請求・支払、入出金照合、経費精算、月次締め補助。
→ 期待:仕訳の即答、消費税区分の基本知識、締切逆算の段取り。
会計事務所の補助スタッフ
顧客の記帳、試算表作成、確定申告・年末調整の補助。
→ 期待:大量仕訳の正確さ×スピード、繁忙期の体力。
管理部アシスタント(経理総務兼務)
請求・入金管理、勤怠・備品など幅広い業務。
→ 期待:守秘義務と丁寧なコミュニケーション。
この3ルートはいずれも「期限を守り、正確性を重視すること」が評価の起点です。
書類・面接では、資格だけでなく“明日から任せられる根拠”を示すのがコツ。
具体的には、架空データで構わないので以下を用意しましょう。
仕訳→試算表→A4版の月次サマリ
売掛・買掛の消込テンプレ(Excel:XLOOKUP/SUMIF/ピボットテーブル)
消費税区分メモ
面接ではこれらの現物を提示し、実務官をアピールすることが重要です。
また、会計ソフト(freee/マネフォ/弥生など)も試算表作成までの一連操作を触っておくと「立ち上がりが早い人」と見なされやすいです。
入口の次(1?3年目の目標)
月次決算の自走(残高照合→振替→資料化)
年次決算補助(固定資産・棚卸・税効果の基礎)
原価・管理会計・連結の補助に広げる
最初の到達点は、未消込ゼロの継続運用と月次締めの前倒し(+1?2営業日)。
これを支えるのがチェックリスト化とPower Query等でのCSV整形テンプレートです。
年次補助に進んだ際には、以下のポイントも整えると評価が高まります。
固定資産台帳と減価償却の正確な運用
棚卸差異の説明
監査向けの証憑突合メモ
さらに、事業モデルに応じて原価(製造間接費の配賦)や管理会計(部門別KPI)、
子会社がある場合は連結パッケージの作成補助へ。
ここまで到達すると「任せられる経理」として役割も年収も伸びやすくなります。
最低限求められるスキル:仕訳・消費税・Excel・会計ソフト
仕訳・会計フロー
売上/売掛・仕入/買掛・前受/前払・未収/未払・立替
固定資産の取得・除却・減価償却
月次締めの流れ:残高合わせ→経過勘定の振替→資料化
日次で頻出する前受/前払・未収/未払を即答できれば月次業務が安定します。
月次業務は「残高照合→経過勘定の振替→簡易レポート作成」の3工程を期限逆算で回せばOK。
消費税の基本
課税/非課税/不課税の判定
内税・外税、端数処理
仕入税額控除の要件(請求書・インボイスの体裁)
課税/非課税/不課税の判定と内税・外税の端数処理を正確に行うことが誤差防止の核心。
仕入税額控除はインボイス要件チェック(登録番号・税率・税額)を受領時に確認。
Excel(最低限で効く機能)
SUMIF / XLOOKUP(またはVLOOKUP) / ピボットテーブル
並べ替え・重複削除、日付・文字列処理(LEFT/RIGHT/TRIM)
CSV整形→インポート(Power Queryが使えると強い)
XLOOKUP/SUMIF/ピボットテーブルでデータの突合と集計を即作成。
Power QueryでCSV整形をテンプレート化すれば、毎月の整形が1クリックまで短縮できます。
会計ソフト(いずれか1つでOK)
freee / マネーフォワード / 弥生会計
口座連携、証憑添付、仕訳登録→試算表の一連操作を自走できること
口座連携→自動仕訳レビュー→証憑添付→試算表出力を一人で完遂できると即戦力。
応募先に合わせてfreee/MF/弥生のどれか1本を深掘りしておくと立ち上がりが速いです。
書類選考を突破する職務経歴書/履歴書
原則
名詞の羅列ではなく、動詞+成果(数字)で書く
ATS対策で関連するキーワードを入れる(例:経理、仕訳、売掛、買掛、月次決算、消費税、Excel、VLOOKUP、ピボットテーブル、freee 等)
「資格」は冒頭で1行、「資格を使って何をしたか」を本文で詳述
職務要約(3?4行テンプレ)
事務職3年。簿記2級取得。学習プロジェクトでクラウド会計(freee)を使い、仕訳1,200件/月の登録・照合を実施。
Excelで売掛・買掛の管理表を作成し、消込時間を30%短縮。
月次決算補助(残高照合・経過勘定の振替)の流れをポートフォリオで再現。
実績の書き方(良い例)
CSV整形テンプレを作り、登録作業を80%削減(Power Query)
経費精算のチェックリストで差戻し率20%→3%
売掛管理の標準化で未消込「締日前ゼロ」を達成
NG例
「請求書作成」「入金確認」など作業名だけの記載
「注意して作業した」「気をつけた」など定性的表現のみの記載
資格アピールだけで実務への落とし込みや具体的な成果がない
志望動機(型)
自分の取り組み(事実)→ 企業の業務との接点 → 入社後90日の具体アクション
Excel&会計ソフトの実技テスト対策(頻出課題・練習問題・時短テク)
実技テストで落ちる原因は「即戦力に見えない」ことです。
事前に練習しておくことで差をつけられます。
頻出パターン
Excel
伝票データから売掛・買掛の突合(XLOOKUP/SUMIF+ピボットテーブル)
入金消込表の作成(入金日・金額・相殺・差額チェック)
日付・文字列の整形(yyyymm→日付、コード分割など)
会計ソフト
銀行CSVの取り込みルール作成
証憑の添付と摘要ルールの登録
試算表から月次レポートを出力
家でできる練習問題(自作OK)
売上明細(100件)と入金明細(90件)を作り、未入金一覧を自動抽出
仕入明細(税区分混在)から、課税・非課税・不課税の比率を出す
口座明細CSV(30日分)をPower Queryで整形→会計ソフトへインポート
時短テクニック
ショートカットの活用(Ctrl+Shift+Lでフィルタ、Alt+N+Vでピボット)
名前付き範囲・テーブル化で数式の保守性UP
XLOOKUPでIFERRORを併用し、空欄・エラー処理を一発で対応
面接対策:想定質問と刺さる回答
基本の型(60?90秒)
結論→具体→成果予測。ポートフォリオの該当ページを見せながら話す。
Q. 実務経験がない中でどう立ち上がりますか?
A. 「仕組みで貢献します。具体的には、売掛消込のテンプレ(こちら)を用意しており、入社1週間で勘定科目の運用ルールを把握、2週目から未消込のアラート運用、1か月目で締日前の未消込ゼロを目標にしています。」
Q. Excelレベルは?
A. 「Excelでは、XLOOKUP/SUMIF/ピボットテーブルで日次実務の整形が可能です。Power QueryでCSV結合・分割のテンプレ化まで対応し、効率化を図ることができます。」
Q. 繁忙期の残業に耐えられますか?
A. 「はい。締切を逆算し、チェックリストで抜け漏れを防いで処理します。前倒しできる作業を月中に片づけ、月末月初は突発的な作業に備えます。」
逆質問(評価が上がる)
月次締めのボトルネックはどこですか?
使用ソフト(会計・経費・勤怠)とデータ連携の課題は何ですか?
入社後90日で評価される成果指標として最も重要なものは何でしょうか?
求人票の読み解きとブラック回避の見抜き方
見るべき5ポイント
業務範囲:記帳中心か、月次・年次まで担当するのか。
「幅広くお任せ」という記載には要注意(人が足りないシグナルかもしれないため)。
締めスケジュール:月次をいつ締めるか。翌月10営業日以内が目安。
極端に遅い場合は体制不備の可能性がある。
残業の実態:平均残業時間と繁忙期の上振れ。
みなし残業の時間数も要確認。
チーム体制:人数・役割・レビュー体制の有無。
ワンオペ業務は成長機会が少なく負荷が高い。
使用ソフト:会計・経費・勤怠の組合せが何か。
連携が弱いと手作業が増える。
面談での見抜き質問
「月次の遅延理由トップ3は何ですか?」
「未消込リストは誰がいつ見ていますか?」
「チェックリストと手順書は整っていますか?」
「直近で改善した業務を教えてください。」
これらはブラック企業回避のためのフィルターでもあり、入社後の期待値合わせにも有効です。
質問はメモして持参し、回答は面談直後に記録して比較しましょう。
3か月で内定を狙う行動計画(週次KPIとA/Bテスト)
KPI目安:応募40社/書類通過10社(25%)/一次面接7社/内定1?2社
1週目
職務経歴書ドラフト完成(数字化)
ポートフォリオ目次を作成し、試算表とレポートを先に作る
求人30件を収集し要件を分類
2週目
応募10社/書類のA/Bテスト(タイトル・要約・キーワードの最適化)
Excel課題(未入金リスト・CSV整形)を仕上げる
3週目
模擬面接2回/5分ポートフォリオ発表の練習
会計ソフト(freee/MF/弥生いずれか)の一連操作を反復
4週目
応募さらに10社/エージェント2社と面談
逆質問リストを仕上げ、業界別の会計論点を3つ押さえる(小売・SaaS・製造など)
2か月目
面接6?8件/落選理由を仮説立てて修正
ポートフォリオに改善提案(Before/After)を1点追加
書類通過率を20%→30%へ
3か月目
面接10件/条件(残業、教育体制、評価指標)を比較
内定1?2件の決定
毎週末のKPI10分レビューで詰まりを見抜き、翌週の改善1点を決めて実行する??このミニPDCAを途切れさせないことが核心です。
A/Bテスト
書類の勝ちパターン(タイトル・冒頭3行・キーワード)を固定し、
面接では5分の実演(ポートフォリオのBefore/Afterと操作手順)で確実に差をつける。
停滞時の対応
応募量に逃げず、ポートフォリオの質と冒頭3行を磨くことに一点集中し、
通過率が目標値(例:25%)を越えるまで仮説→修正を回す。
時間ブロック
応募・実技・逆質問の各スロットを時間ブロックで管理し、チェックリストで再現性を担保。
面接後フィードバック
面接後はフィードバックを仮説として記録し、次回の改善に直結させる。
入社後90日で評価を掴むオンボーディング
Day1?7
勘定科目の運用ルール、承認フロー、締めスケジュールを図解化
過去2か月の未消込リストを棚卸し
Day8?30
売掛・買掛の消込テンプレートを導入し、締日前の未消込ゼロを目標化
経費精算の差戻し理由トップ3を特定→ガイドライン改訂
Day31?60
自分の担当範囲をチェックリスト化
CSV整形のPower Queryテンプレートを共有し、属人性を下げる
Day61?90
月次締めの前倒し(1?2営業日)
業務改善レポート(A4一枚)を提出し、継続改善を宣言
キーワードは「静かに、速く、正確に」。まず未消込ゼロで信頼を獲得。
さらに、指標(未消込ゼロ達成日・締め短縮日数・差戻し率)を毎週共有して“見える化”し、
合意した成果で評価を固めましょう。
年齢・バックグラウンド別戦略&キャリアの広げ方
20代?30代前半
ポテンシャル採用枠が厚い。まずは量を打ち、修正を速く。
応募と面接のA/Bテストを毎週回し、通過パターンを早期に固定すると加速できます。
1年目で月次業務の一部自走、2?3年目で年次決算補助を担当。
指標は未消込ゼロの継続/締め前倒し/チェックリスト運用。
ここが達成できれば次の役割への道が開けます。
30代後半?40代
前職の強み×経理で掛け算(例:SaaS営業→売上認識に強い経理)。
事業理解や業務設計の経験を会計処理の解像度に変換すると説得力が増します。
入口は管理部アシスタント→決算補助へと段階的に進むルートが現実的。
面接では90日目標(未消込ゼロ/ガイド整備/締め短縮)を提示し、段階的な貢献を明確にしましょう。
会計事務所 or 事業会社
広く早く基礎を学ぶ:会計事務所(多業種・大量仕訳で手が速くなる)
仕訳耐性と業務の幅が一気に広がります。繁忙期の体力と段取りも鍛えられます。
一社を深掘り:事業会社(在庫・原価・管理会計・部門別管理)
業務フロー設計とKPI視点が身につくため、将来的に管理会計・FP&A(財務計画・分析)にキャリアを伸ばしやすいです。
キャリアの広げ方
固定資産・棚卸・原価・税効果・連結のどれかを専門領域化
まず1つを“看板”に。次に隣接領域へ横展開すると市場価値の凸が作れます。
自動化(RPA/Query/関数)×月次短縮で生産性を可視化
Before/After(工数・エラー率・締め日数)を数値で示し、評価・年収交渉の材料にしましょう。
よくある失敗と回避策
資格コレクター化
回避策:新資格の取得へ逃避せず、応募と実務再現を優先。週ごとのKPIに応募数を入れて実行する。
手ぶら面接
回避策:口頭だけの説明に頼らず、ポートフォリオ現物で差別化。
応募の偏り
回避策:大手企業だけに応募すると書類が通らず消耗することがあるため、中小・ベンチャーを混ぜて選択肢を広げる。
名詞羅列の職務経歴書
回避策:作業名だけではなく、動詞+成果(%/件/日)で書き換え。
繁忙期のキャパ不足
回避策:受け身ではなく、締切逆算とチェックリストで落ち着きを作る。
以上が“未経験×簿記2級”転職で陥りがちな落とし穴です。
どれか一つでも心当たりがあれば、今週は「応募KPIの設定」と「ポートフォリオ1枚の改善」だけに集中し、
翌週は「職務経歴書の冒頭3行のA/Bテスト」と「5分実演の練習」を回して、確実に一歩ずつ前進しましょう。
数を打つより“勝ちパターン”を固定すること、そして毎週10分の振り返りで詰まりを1点だけ解消すること――
この小さなPDCAの積み重ねが、書類通過率の底上げ、面接合格の安定、ひいては内定獲得の最短ルートになります。
まとめ:運用が結果を決める
簿記2級は入口の切符。そこに実技(Excel/会計ソフト)と実務再現ポートフォリオ、
数字で語る書類を重ねれば、未経験でも内定は十分現実的です。
転職活動は運用。応募KPIの管理、職務経歴書のA/Bテスト、面接は5分の実演、これを3か月回すだけです。
入社後は未消込ゼロ/チェックリスト運用/締めの前倒しで信頼を獲得し、
静かに速く正確に積み上げましょう。
今日やることは3つだけ。
@ 職務経歴書の“数字化”
A ポートフォリオの目次作成
B 10社応募。
完璧より継続、速度より再現性。ここから、あなたの経理キャリアが動き出します。
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