選挙期間中のインターネット活用を可能とした、いわゆる「ネット選挙」の解禁後、初めての国政選挙が終わった。解禁によって選挙のあり方が瞬時に、そして劇的に変わると期待していた人たちにとっては、今回の参院選は盛り上がりに欠けて、期待はずれの印象を持ったと思う。
選挙結果は大方の予想通り、自民党の大勝に終わった。ネット解禁によって、選挙結果が大きな意味で変わったわけではない。また、そうした選挙結果を見越してか、投票率は52.6%と戦後3番目の低さに留まった。
しかし、このネット選挙の解禁は、我が国の民主主義にとって重要な一歩になったと感じている。最初の一歩だから、いきなり大きく進むわけではない。しかし、その一歩を確実に踏み出し、歩みを続けていけば、いつか振り返った時には、大きく前進しているということになるのが世の常だからである。
一番大きな収穫は、候補者が有権者と直接やりとりをする手段を確保したことだ。参院選が始まるまではソーシャルメディアを使ったことがない候補者が大多数であった。それが、参院選の終わる頃には、複数のソーシャルメディアを使いこなす候補者も珍しくない状況になった。
結果的に、有権者は興味を持った候補者についての情報を非常に簡単に得られるようになった。また、これまで不可能に近かった、コメントを送ったり質問をしたりといった直接のやり取りも可能になった。このような、候補者と有権者とを直接つなぐ双方向の放送網ができたことの意義は大きい。
二つ目は、ソーシャルメディアを駆使することで自らの支持基盤を拡大した候補者が、少数ながら確実にいたことだ。
大多数の候補者はソーシャルメディアを使い始めて日が浅いこともあり、街頭演説の予定など堅めの情報発信に徹していた。
そうでない候補者もいた。選挙運動の実態を臨場感をもって共有すべく、移動するたびに、現場から文章だけでなく写真やビデオを投稿する。物議を醸すリスクも承知で、他の政党や候補者との政策的な対立軸を明確に示す。有権者からの応援にお礼をいっていた。
プロフィル部分に書いてある文章に、選挙期間中に手応えを感じた政策のキーワードを加える。写真の撮り方も、候補者を中心に据えた写真はなくし、候補者と交流する有権者、候補者から見た有権者の表情といった、メッセージ性のある写真へと切り替える。有権者からの厳しい批判を正面から取り上げ、適宜、説明・反論・謝罪を広く共有する。そして、投票日が近づくと、街頭演説を終えた夜、これまでの主張をまとめて、なぜ自分に投票すべきなのかをきちんと総括し、必死に有権者に訴える。
ネット選挙解禁後の初めての選挙。ソーシャルメディアを使いこなせた候補者は少数だった。しかし、何よりも重要なことは、全ての候補者が、今回の経験から学び、他の候補者からも学び、そして、次回の選挙に向けて、その教訓を生かし、有権者との関係を深めていくことである。
ソーシャルメディアでは、一度できた直接のつながりは、その後も発信を続ければ、次の選挙まできちんと維持することができる。選挙が一段落した今こそ、有権者と自らの想いを共有し、有権者の意見に耳を傾け、国民との距離を近づけてほしいと願う。
最後に、もうひとつ。耳が不自由な方々は、街頭演説の内容や選挙カーによる連呼は、聞くことができない。そうしたなか、目で見て読むことができるインターネットの情報は限られた情報の量を増やすことに役に立ったと伺った。
また、目が不自由な方々が、インターネット情報の音声読み上げ機能を利用されて、得られる情報の量を増やすことができたとも伺った。ネット選挙の解禁によって、そうした方々にとって選挙との距離が近くなったのであれば、こんなにうれしいことはない。
近藤正晃ジェームス氏
1997年にハーバード大学経営大学院を修了。マッキンゼー・アンド・カンパニーなどを経て2011年から現職。45歳。
2013年 8月10日
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