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ＧＤＰの伸び、カギは規制緩和

米経営コンサルタント大手のマッキンゼーは１日、規制緩和による生産性向上で、タイの国内総生産（ＧＤＰ）は年２～４％伸びる可能性があるとのリポートを発表した。経済成長へのカギとなるのは公共事業拡大など政府主導の「景気刺激」ではなく、自由市場を実現する「規制緩和」と強調、政府の政策転換と民間の企業改革を提言している。マッキンゼーが例に挙げるのが銀行のリテール部門（小口金融）、通信、小売りの３業種。
米銀行業界の生産性を100とした場合、タイのリテール部門の生産性は45。政府による規制が低い生産性の原因としている。その他にもテレホンバンキング、インターネットバンキングなどの導入が遅れ、管理部門の分散などにより生産性が低迷していると指摘。窓口での事務処理能力は米国の半分以下、融資申請手続きなどは15％にとどまっている。
通信業界については、「市場での政府プレゼンスが大きすぎ、固定電話部門での労働生産性は米国の半分以下にとどまっている」と指摘。「資本の生産性はさらに低く、固定回線の３割が未使用のまま」として、タイ電話公団（ＴＯＴ）、タイ通信公団（ＣＡＴ）などの民営化、新規参入者への市場開放が不可欠と提言している。
携帯電話業界では通話料金の値下げ競争は進んでいるものの、端末価格が高止まりしていると指摘している。携帯業者が通話料金の20～25％を政府に支払う現行制度を改革するとともに、端末販売店の寡占状態を緩和する必要を訴えている。
■小売りは二極化
生産性が近年急速に改善している分野がＧＤＰの１割を占める小売業界だ。英テスコ、仏カルフールなどの外資参入、ハイパーマーケット、コンビニエンスストアなどの業態多様化により「生産性は世界でもトップクラス。米国よりも高い」。
同社は課題として、◇雇用数で業界の９割を占める家族経営型の中小小売店、屋台の存在◇タクシン政権が導入を検討している出店規制――を挙げている。屋台などを含めるとタイ小売業界の生産性は一挙に米国の３割以下に下がる。マッキンゼーは◇外資系大型スーパーは業界平均より価格が２割低く、消費者利益にかなう◇外資系参入により、地場系納入業者の活躍の場が広がる◇同チェーンの海外店舗など外国市場への足がかりとなる――などのメリットを列挙、出店規制案を撤回するとともに、業界改革を提言している。
マッキンゼーは世界14カ国・地域の生産性を調査。タイでは同社現地法人と地場系調査会社２社が協力、銀行、小売り、通信、セメント、ビール、鶏肉加工、コンピュータ・電機部品の７業種を調査している。

2001年 10月11日
NNA

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