2015年のアジア太平洋地域のプライベート・エクイティ業界は、拡大する世界経済の混乱を切り抜け記録的な一年に 〜「アジア太平洋・プライベート・エクイティ・レポート2016」〜

アジア太平洋地域のPE経営幹部100名超を対象としたベイン・アンド・カンパニーの調査で、今後3-5年のディールの方向性を左右するトレンドが明らかに

ベイン・アンド・カンパニーは、アジア太平洋のプライベート・エクイティ(以下、PE)業界についての第3回目の年次レポートとなる「アジア太平洋・プライベート・エクイティ・レポート2016」を発表いたしました。

2015年は原油価格の低下、世界経済拡大の鈍化、為替変動、そして6-8月における中国市場の5兆ドル規模の暴落などが、アジア太平洋地域(以下、APAC)のプライベート・エクイティ(以下、PE)市場に暗い影を落としました。しかしこれらの経済的混乱の拡大にもかかわらず、2015年はAPACのPE業界にとって記録的に堅調な一年となり、ディール総額および件数の双方で史上最高の年となりました。

ディール総額は対前年比44%増と驚異的な伸長を呈し、2009-2014年の5年平均の2倍の規模となる史上最高の1250億ドルを記録しました。大中華圏(中国、香港、台湾)では、2012-2013年は2年連続の下落、2014年は対前年比194%増となりましたが、2015年はさらに対前年比56%増となり、APACのディール総額の約半数を占める690億ドルとなりました。インドと韓国のディール総額も記録的な規模となった一方、東南アジアと日本での投資活動には減速傾向が見られました

ディール数は対前年比34%増加し、史上初めて900件を超え955件に達しました。大中華圏(中国、香港、台湾)が2年連続でディール総額とディール数の双方で1位となりました

平均ディール規模においても記録的な一年となり、過去5年間の平均規模の45%増となる1億3100万ドルに拡大しました

イグジットは株式市場の極端なボラティリティにも関わらず地域横断的に堅調を維持し880億ドルとなりました

ベインのAPACのPEプラクティスリーダーであるスビール・バルマは「昨年はディール形成に非常に適した一年でした。2016年は相対的に穏やかな一年となるでしょう」と述べています。また「APACのマクロ環境が悪化するにつれて、PEはこれまで体験したことのない状況を、苦労しながら進んでいくことになると思われます。低成長下では、魅力的な投資対象の発掘、業績の改善、市場価値を上回る水準でのイグジットなどははるかに困難になっていくでしょう」と指摘しています。

2015年のPE業界のトレンド

ベインの調査によると、10億ドルを超えるメガディールが(特に中国と韓国において)増加しており、APACのディール総額に占めるメガディールの割合は、前年の2倍超となる43%となることが明らかになっています。この増加の背景には、以下の点が挙げられます。

非上場化の増加:過去5年平均の3倍超、2015年のPEディール総額の14%となる170億ドルにまで増加

大規模機関投資家とソブリン・ウェルス・ファンドの堅調な活動:これまでAPACのPE市場に強い関心を示していた機関投資家やソブリン・ウェルス・ファンドが、昨年、PEファンドと共同で74案件に対し360億ドルを投資

業界別では、インターネット業界がAPACで最も活発な領域となりました。インターネット上でソリューションを提供する企業の成長は著しく、成長性を追求するPEファンドの関心が集まりました。その結果、APACではインターネット関連ディール371件に合計360億ドルが、テクノロジー関連の141案件に150億ドルが投資されました。

今後の投資機会

本年のレポートには、APACのPE経営幹部125名を対象とした今後3-5年の業界の見通しに関する調査結果が含まれています。調査アンケートでは、「中国経済の減速が今後のPE業界の弾性や創造性を測る上でのカギとなる」と指摘されています。同様に、低成長、新たな成長要因の出現、規制の不確実性の拡大などによるAPAC市場の乱高下も、現在のPEの競争関係に大きく影響します。リスクを低減しつつ強固なリターンを得るジェネラル・パートナー(以下、GP)の能力も試されていくことになるでしょう。

バルマは、「PE市場の今後の動向は、APACでも地域や業界によって大きく異なるでしょう。PEファンドは投資機会を見出す上でこれまでの画一的な戦略から脱却することが求められています」と述べています。

さらに、今回のベインの調査では、地域内のボラティリティと競争状況が激化する環境下で、多くのGPが様々な手段を通して競争優位を得ようと試みていることが明らかになりました。

フォーカスの拡大:リスクの制限を目的として対象地域およびアセットクラスを拡大する傾向がここ数年拡大しています。ファンドレイジングをクローズした全ファンドに対するAPACのファンドの割合は、2009-2012年では23%に限られていたのに対し、2013-2015年では44%にまで上昇しました。回答したGPの約3分の1は経験の少ないアセットクラスへの投資を実施したと述べ、また45%が今後5年間でフォーカスを拡大し経験の少ないアセットクラスへの投資を実施する予定と述べています。しかし、厳しさを増す環境下において投資対象の多様化は魅力的に見える一方で、シナジーが限定的なアセットクラスへの拡大は大きなリスクでもあります

LPとの共同投資:APACにおける共同投資の増加傾向は今後も継続するでしょう。昨年、APACでLPが関与したディール総額440億ドルのうち、共同投資のディール総額は約360億ドルとなっています(2014年の120億ドルから約3倍に増加)。約95%のGPが今後も共同投資の割合は増加する、または同水準が維持されると見ています

企業統治の強化:PEファームがポートフォリオ企業への統治強化を追求した結果、APACのバイアウトディールが増加しています。ベインの調査によると、75%のGPが「今後2−3年の間でバイアウトが全ポートフォリオの80%以上を占める」と予想する一方で、「グロースディールの割合は50%に留まる」との見通しを示しました。また、GPはマイノリティシェアのグロースディールにおいてもより統治への関与を強める意向を示しています。マイノリティシェアを獲得したポートフォリオ企業のうち、重要な意思決定への関与を許容する企業は現在の39%に対して今後2-3年で約50%に達するとPEファンドは予想しています

投資先企業への積極関与:成長が低迷するに従い、ポートフォリオ企業のオペレーション、経営陣そして戦略の改革を抜きにしては価値を創造することがより困難になっていくでしょう。APACでは、そのような強い影響を及ぼす能力が、多くの場合不足しています。GPの58%が「8割のポートフォリオ企業に対して強固な価値創造計画を策定している」と回答している一方で、「その計画を成功裏に実施できた」と考えるGPは14%に限られています

不確実性の中での繁栄

ベインは、困難なマクロ環境下においてもトップファンドとなったAPACの成功企業を分析し、共通する3つの特徴を見出しました。

強靭なポートフォリオへの進化:ポートフォリオ企業への積極的な関与へとシフトし、ポテンシャルのあるポートフォリオ企業の価値の最大化とイグジット時に最も魅力的な成長ストーリーを描くために、必要な人材とケイパビリティへの投資を積極的に実施

強みに着目したソーシング:不況に弾性のある業界セクターを狙い、潜在的な下振れリスクを最大限予測するために徹底したデュー・デリジェンスを実施し、利益率の改善・売上成長・イグジット計画に向けた強固な戦略を早期に策定

内部組織の再編:より多くの人材と資源を企業の再生に投下するため、内部組織の再編を推進。さらに投資委員会のプロセスに深い洞察を加えるために専門家や第三者をレビュープロセスに参画させるとともに、最重要箇所にリソースを集中させるための厳格なガイドラインを運用

「この無秩序な時代にPEファンドが成功し成長していくためには、徹底的な備えが必要です。地域にかかわらず成功しているPEには一つの共通した特徴があります。それは「買収者として考える」ことから「価値の創造者として行動する」ことへ素早く移行していることです。洞察の明晰さ、デュー・デリジェンスの質、資産評価における規律は、全て適切な価値創造の戦略の策定・実施への第一歩が反映されたものです」とバルマは述べています。

2016年 3月31日
bain.com

ベイン・アンド・カンパニー
1973年にビル・ベイン他4名のコンサルタントによって設立され、2010年1月現在、世界27ヵ国の41拠点に事業所を展開している。プロジェクト後における顧客の企業価値の変化をモニタリングするシステムを導入する他、姉妹企業としてプライベート・エクイティ・ファンドのベインキャピタルや、非営利組織に特化したコンサルティングファームのブリッジスパングループを立ち上げるなど、コンサルティング業界に常に変革をもたらしつづけるイノベーターとしても知られる。

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