国際線の優遇措置導入　空港間競争が激化

全日本空輸（ＡＮＡ）の国際物流構想に併せて、県は那覇空港国際線の着陸料などの軽減を政府与党に要請している。背景には近隣のアジア各国が、新規就航の着陸料を無料にするなど優遇措置を導入し、誘致合戦が激化していることがある。県は、空港間競争に勝ち抜くためには「競争力のある料金水準にするなど制度的な魅力が必要だ」（交通政策課）と訴えている。
　野村総合研究所の調査によると、近年目覚ましい成長を見せているのは韓国の仁川（インチョン）空港。年間貨物取扱量は２００６年度に成田空港を抜いて２位に躍進した。新規参入の航空会社には着陸料を１年間無料にし、増便した会社も５０％を免除している。世界税関機構（ＷＣＯ）加盟国で最速の通関システムを構築しているのも強み。空港には経済自由区域が隣接しており、物流と産業を一体化させ、多くの関連企業が進出している。
　新規就航会社の着陸料と駐機料を３年間無料にしているのがマレーシア。アジアでは最長期間の上、ターミナルオフィスの賃貸料も６カ月間無料にしている。国際貨物取扱量で１２年連続１位の香港は、新規就航に最初の半年を７５％、次の半年を２５％減額している。ただ、数年内には仁川空港に抜かれるともいわれ、競争はさらに激しくなりそうだ。
　県は、国際線の着陸料と航空援助施設利用料を国内線並み（本来の料金の６分の１）、国内線貨物便の航空機燃料税を旅客便並み（同２分の１）にするよう求めている。アジアの主要都市が約２時間の圏内に収まる沖縄は、地理的優位性を持つ。だが「他空港は貨物量が多く、通関も迅速で、さまざまな優遇措置を講じている。そんな中で地理的優位性だけでは勝てない。魅力の付加が必要だ」（交通政策課）と強調する。
　県によると、中国の海南航空は沖縄就航の条件に着陸料の軽減を挙げている。ベルギーのＴＮＴ航空は日本政府との２国間交渉で、那覇空港を就航希望空港に指定している。マレーシアのトランスマイル・エアーも沖縄に関心を寄せているという。
　県は１２月の税制改正時での要望実現を目指すが「ハードルは高い」（同課）のが実情だ。国際航空物流拠点の形成が沖縄振興につながる有益性をいかに訴えるか。さらなる取り組みが求められる。

2009年 6月19日
琉球新報

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