ベイン・アンド・カンパニー、デジタル・AIコンサルティング体制を刷新・強化へ

グローバル戦略系コンサルティングファームのベイン・アンド・カンパニーは、AI・デジタルコンサルティング事業の強化を目的として、新たなリーダーシップ体制を発表した。需要の高まりに応じて、AI、インサイト＆ソリューション、エンタープライズテクノロジーなど、同社の主要デジタル領域を強化する動きである。

注目されるのは、チャック・ウィッテン氏の復職である。同氏はかつてベインで22年間にわたりキャリアを積み、最近までデル・テクノロジーズの共同COOとして活躍していた人物。今回、ベインのグローバル・デジタルプラクティスの責任者に就任し、AIやデザイン、データサイエンスといった領域の統括を担う。

ベインのAI・デジタル案件は2024年時点で事業収益の30％を占め、今後数年で50％超に達する見込みとされている。AI活用も社内外で急拡大しており、現在は業務全体の25％以上をAI関連が占める状況だ。

顧客支援の事例としては、カルフールのAIチャットボット導入が代表的で、オンライン買い物のアドバイザーや商品説明文の自動生成、購買手続き支援といったソリューションが実装されている。そのほかにも、コカ・コーラ、アメリカン・エキスプレス、シチズン、CVCなどが、AIを通じた競争力強化で支援を受けている。

加えて、ベインはOpenAI、Microsoft、AWS、SAP、Salesforce、Google、IBMなど700以上のパートナーと連携し、AIおよびデジタルの包括的なエコシステムを形成している。

また、ベイン社内でもAI導入を強力に推進。例えば、ChatGPTをベースにした「MyGPT」はすでに4000以上のカスタマイズツールを持ち、タスク効率化に貢献。「Answer Copilot」は社内のデータリソースを活用して、コンサルタントに高精度のインサイトを即座に提供する。

AI導入においては、倫理性と透明性の確保も重視しており、「Responsible AI Partner Initiative」（Microsoft主導）にも参画。社内でのAI活用に関するポリシー整備を進めており、顧客企業への導入においても責任ある姿勢を打ち出している。

ベインのワールドワイド・マネージング・パートナーであるクリストフ・デ・ヴッサーは「AIがコンサルティングの形を再定義する中で、クライアントへの価値提供を一層加速させていく」とコメント。今後もAIとデジタル変革を武器に、クライアントの競争優位性を支援する意向を明確にしている。


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AIを軸にした“未来型コンサルティングモデル”の急成長、業界の再編も視野に

ベインの発表は、戦略系コンサルティングファームがAIファーストの事業構造へ移行しつつあることを象徴している。すでにデジタル・AI領域が収益の30％を占め、50％超を視野に入れるという事実は、業界が従来の「人と知恵」中心のモデルから、「テクノロジーと実装力」重視のモデルへとシフトしていることを意味する。

AIソリューションの内製化だけでなく、OpenAIやMicrosoftなどとのアライアンスを通じて、外部テクノロジーの“実戦投入力”をも強みに変えている点は、他ファームとの差別化要因となる。

さらに、チャック・ウィッテンのように、テクノロジー企業のCXO経験者を戦略の舵取り役に迎える動きは、今後のコンサルティング業界全体の人材像にも影響を与えるだろう。従来の戦略人材だけでなく、実行と変革の現場を熟知した“ハイブリッド人材”の需要が一層高まると考えられる。

日本企業にとっても、AIを活用した変革をパートナーと共に実現する姿勢、そして責任あるAIの運用原則を組織文化に根付かせることが、デジタル成熟度の大きな試金石となっていくだろう。

2024年 12月17日
ベイン・アンド・カンパニーWebサイト https://www.bain.com/ja/about-bain/media-center/press-releases/japan/2024/press-release-20241217/

ベイン・アンド・カンパニー
1973年にビル・ベイン他4名のコンサルタントによって設立され、2010年1月現在、世界27ヵ国の41拠点に事業所を展開している。プロジェクト後における顧客の企業価値の変化をモニタリングするシステムを導入する他、姉妹企業としてプライベート・エクイティ・ファンドのベインキャピタルや、非営利組織に特化したコンサルティングファームのブリッジスパングループを立ち上げるなど、コンサルティング業界に常に変革をもたらしつづけるイノベーターとしても知られる。

ベイン・アンド・カンパニーについて

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