UPDATE 1-特区活用で東京をアジアの金融センターに　日経センターなど提言

日本経済研究センターと大和総研、みずほ総合研究
所は１６日、日本経済の成長戦略の一環として国家戦略特区の枠組みを利用して東京をア
ジアの国際金融センターとすべきとの提言をまとめた。英国ロンドンのシティのように国
際的な金融センターとしての地位を高めるため、減税や規制緩和、インフラ整備をパッケ
ージで進めるのが主眼。東京都の舛添要一知事も前向きで、６月に政府がまとめる成長戦
略の重要なピースとなる可能性もある。

会見した大和総研の武藤敏郎理事長は「東京は国際金融都市としてロンドンやニュー
ヨーク、香港、シンガポールに水をあけられている」と指摘。杉田亮毅・日経センター会
長は「東京をアジアの金融センターにする構想は以前からあった。これが最後のチャンス
」、「いずれ日本の経常収支が赤字になっても海外からお金が自由に入るようにしたい」
と強調した。

提案の核となるのが、ロンドン・シティのメイヤー（市長）に倣った対外広報担当者
と専門シンクタンクの設立、および都税など税の減免措置だ。海外から様々な人材が複数
の通貨で取引ができるインフラの整備を進める。２０２０年の東京五輪・パラリンピック
準備と併せる形で、海外の人材が住みやすく利用しやすい街づくりも目指す。

舛添都知事も同日の定例会見で、「ニューヨークのウォール・ストリートやロンドン
のシティと並ぶものを東京に作りたい」と述べ、「金融の専門部隊（タスクフォース）を
立ち上げ、銀行、証券、損保、生保といった業界からヒアリングし大胆な提案を行ってい
きたい」と前向きな姿勢を強調した。


主な提言は以下の通り。
１：東京金融シティ構想の実現に向けた体制作り
（１）国、東京都、民間が連携して連絡協議会などの組織を設置
（２）ロンドンのシティのメイヤー（市長）を参考にした海外向け広報責任者を設置

２：国家戦略特区を活用した東京都独自減税
３：個人金融資産活性化で「貯蓄から投資へ」促進
（１）資産形成支援策（ＮＩＳＡ、確定拠出年金等）の利用者の視点からの見直し
（２）インフラ資金需要や超高齢者社会への対応

４:アジアの金融ハブ化へ向けた市場インフラ整備
（１）東京市場の多通貨化に向けた検討
（２）アジア諸国の資金調達・運用の場として東京が活用される環境整備

５：東京を資産運用の街に
（１）公的年金、外貨準備の運用多様化
（２）資産運用業等の内外金融機関が活発にビジネスを展開する街に

６：東京を金融教育や海外との草の根人材交流の中心地に

７：東京オリンピック・パラリンピックを見据えた都市政策との連携
（１）英語による医療・行政サービス充実、インターナショナルスクールの規制緩和
（２）五輪債や物価連動債の発行による資金調達の多様化

2014年 5月16日
ロイター

みずほ総合研究所
みずほグループのシンクタンク。コンサルティング領域では、経営コンサルティングのみならず、年金コンサルティングや研修プログラムの提供等も行っており、幅広いソリューションを提供。興銀調査部のルーツもあり、経済市場のレポート作成等のリサーチ業務も行っている。

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