米国の大手銀行はこれから2週にわたり、規制当局の評価を目にすることになる。各行は深刻な景気低迷に耐えられるほど安全と見なされるのか。株主配当を引き上げられるだけの健全性を今年は証明できているのだろうか。
米連邦準備制度理事会(FRB)は年次の銀行ストレステスト(健全性審査)の結果を23日と29日に発表する。23日には想定シナリオに基づく審査結果を、29日には包括的資本分析(CCAR)の結果を公表する。投資家は後者の結果により注目するだろう。株主配当の引き上げが可能かどうかの最終的な決め手になるためだ。
FRBがこの形でストレステストを実施するのは6度目だが、評価基準は毎年微妙に変わっているため、昨年の結果が今年について同様の実績を保証することにはならない。
元FRB高官で、コンサルティング会社デロイト&トウシュの銀行・証券規制部門マネジングディレクター、デービッド・ライト氏は、是非とも知りたい点として、「FRBは昨年認めた慣行を今年は認めないなど、基準を引き上げるのだろうか」と問いかけた。
今年の審査対象は、昨年の31行を上回る33行。米国に本拠を置く銀行と、海外銀行の米国部門が含まれる。
今年は新たに対象となった2行(カナダのトロント・ドミニオン銀行の米国部門であるTD銀行、フランスのBNPパリバ傘下のバンク・オブ・ザ・ウエスト)をはじめ、外資系銀行の評価が大きく問われるだろう。
外資系銀行は米規制当局が求めるリスク管理の基準を満たそうと苦戦している。昨年のテストでは欧州の大手2行、ドイツ銀行とバンコ・サンタンデール銀行のみが、潜在的損失やリスクの測定・予測方法の不備で不合格と判定された。バンク・オブ・アメリカは不合格にはならなかったものの、増配の条件として資本計画の修正を求められた。結果的に29行が合格した。
ストレステストは予測できない「ブラック・ボックス」のようなもので、銀行の駆け引きを阻止すべくFRBが意図的に設計したと考える銀行幹部は多い。規制当局は期待値を高く設定しようと努力しているが、業界の一部では依然としてFRBのモデルの不透明性や信頼性が批判されている。
当局は審査過程の透明化を目指している。追加的な指針を提示する一方で、審査の全過程を6週間に詰め込まずに年間を通じて対話を継続しており、不確実性は最小限に抑えられる可能性がある。
監査・コンサルティング大手プライスウォーターハウスクーパース(PwC)のパートナー、マイク・アリックス氏は「FRBは企業が単に規制の期待値を満たしているか点検したいのではなく、各社の資本計画の手腕を全般的に改善させたいのだろう」とした上で、「継続的な改善が求められる。いずれの企業も現状に満足してはならない」と述べた。同氏はかつてニューヨーク連銀でストレステストと資本計画を監督していた。
過去にはストレステストに合格した翌年に不合格となった例がある。HSBCノースアメリカ・ホールディングスとRBSシチズンズ・ファイナンシャル・グループは2013年に合格したが、翌年には不合格となった。
ストレステストでは大手金融機関の二つの重要な側面について審査する。一つ目は、金融システムが深刻な経済的ストレスに見舞われた場合にも耐えられるほどの自己資本を備えているか。二つ目は、資本計画を立てる際にリスクを識別・測定するための適切な内部プロセスがあるかどうかだ。FRBはいずれかを基に銀行の配当計画を却下できる。
23日発表される最初のテスト結果では、失業率が10%、米国債利回りがマイナスといった深刻な景気低迷という想定の下での各行の資本水準が明らかとなる。ここでは実際の株主配当や自社株買い戻しの計画は取り上げられないが、深刻なストレスが各行の収益や貸倒損失に与える影響が判明するだろう。この日には配当・自社株買い計画が却下されるかどうか結論は出ない。
29日には同じ筋書きの下でのテスト結果が判明する。こちらには実際の資本配分計画が盛り込まれるため、より全体像がつかめるだろう。
大手米銀8行は、単一で最大の取引相手がデフォルト(債務不履行)に陥った場合、バランスシートに及ぶ影響を計算するという追加審査を受けている。この8行の審査結果は世界市場に衝撃を与える可能性もある。
23日の結果発表後、銀行には名誉挽回のチャンスが数日与えられる。各行は最初の審査で最低基準を下回っていると当局から知らされた場合、資本計画を一度だけ修正できる。このゴルフで言うところのマリガン(最初のティーショットでだけ許される打ち直し)は、来週発表される結果の一環として明らかとなる。
FRBは、資産額500億?2500億ドル規模の中堅銀行の負担を軽減する方向でテストを調整すると同時に、大手8行のテスト基準を厳格化することを検討している。
2016年 6月24日
ウォールストリートジャーナル
PwCコンサルティング
世界151カ国に163000人のスタッフを擁する世界最大級のプロフェッショナルサービスファーム。、PwCアドバイザリー株式会社が、プライスウォーターハウスクーパース コンサルタント株式会社(旧ベリングポイント)、プライスウォーターハウスクーパースHRS株式会社を経営統合し、社名を「プライスウォーターハウスクーパース株式会社」に変更した。M&A/フィナンシャルアドバイザリー、監査、税務を含め、戦略から業務、ITまでトータルで一貫したコンサルティングサービスを提供している。
PwCコンサルティングについて
コンサルティング業界の最新ニュースをお伝えします。最先端の業界で何がどう動いているのかをWatchすることで、広くビジネス界全体の今後の動きを展望することができるはずです。
人気コンテンツ
プライベート個別相談会開催中 キャリア相談会 コンサル転職に関する疑問・不安はプロに聞くのが一番早い!ざっくばらんに話せる個別相談会を随時実施しています。今すぐの転職をお考えでない方も歓迎していますのでお気軽にご相談ください。
個別相談会開催中! 書籍出版記念 久留須シニア・パートナー特別キャリア相談会 久留須シニア・パートナーの書籍出版を記念してコンサル業界のこと、キャリアのこと、をお答えする特別キャリア相談会を開催します!
22024年6月1日(土) 締切:2024年5月9日(木) ベイン・アンド・カンパニー 1日選考会 同社の中途採用選考は原則として選考会のみで行っております。世界的な戦略コンサルティングファームであるベイン・アンド・カンパニーにて一日選考会が開催されます。
2024年4月25日(木)19:00 締切:2024年4月13日(土) ベイン・アンド・カンパニー キャリアセミナー ベイン・アンド・カンパニーが、グローバルリーダーを目指すビジネスパーソンを対象にオンラインキャリアセミナーを開催いたします。希望者にはケース面接対策ワークショップを実施いたします。是非ご参加ください
2024年4月4日 (木) 19:30-21:30 締切:2024年3月30日 (土) A.T. カーニー 会社紹介・出身業界別コンサルタント座談会 外資戦略コンサルティングファームのA.T.カーニーにてキャリアセミナーが開催されます。日本代表 関灘 様による会社紹介および中途入社コンサルタントによる出身業界別座談会が予定されています。
2024年4月10日(水)18:30 締切:2024年4月3日(水) BCG(ボストン コンサルティング グループ)女性向けオンラインセミナー 当日は会社紹介、現役コンサルタントによるパネルディスカッションやグループセッションを予定しております。戦略コンサルに興味のある女性の方は是非お気軽にご参加ください。
2024年4月10日(水)19:00~20:00 締切:2024年4月7日(日) PwCサステナビリティ キャリアセミナー サステナビリティに興味のある方必見!PwCに興味のある方、サステナビリティに興味のある方は是非お気軽にご参加ください。
2024年3月29日 (金) 19:00-20:30 アクセンチュア 公共領域 キャリアセミナー 主に公共領域のプロジェクトで活躍している社員が登壇し日頃の業務内容や仕事のやりがい、これまで体験したPJでのエピソード等を交えてご紹介します。
2024年4月13日(土)17日(水)18日(木) NTTデータ経営研究所 戦略コンサルタント 集中選考会 NTTデータ経営研究所の戦略部門にて集中選考会が開催されます!官民双方に強みをもつコンサルティングファームですので興味のある方はこの機会にご応募ご検討下さい。
毎週第一・第三水曜日 12:00~13:00 KPMGコンサルティング ランチタイム オンラインイベント 現場で働く生の声を候補者に届けようとスタートした取り組みで、毎週、現場社員と採用リクルーターがトークセッションを実施しています!是非お気軽にご参加ください!
SDGsプロジェクト始動! ムービンは持続可能な開発目標を支援しています ムービンはSDGsに賛同し、これからも持続可能な社会の実現に努め、 森林資源や水資源を守る環境保護の取り組みとして、持続可能な森林の再生と管理に貢献しています。
ムービンでは今すぐのご転職でなくても、今後のキャリア形成や、ご転職に向けての中長期的なプランを共に考え、具体的なアドバイスをさせて頂いております。コンサルティング業界にご興味のある方はご自身では気づかれない可能性を見つけるためにも是非一度ご相談ください。
PICKUP
20年以上にわたりコンサル業界に特化したご転職支援を行っています。スタッフも少数精鋭でホンモノの人脈・情報を有しております。
コンサルティングファームはもちろん、国内・外資の大手事業会社をはじめ、ファンド、投資銀行、ベンチャーなど様々な支援実績がございます。
コンサル業界専門だからこそ各コンサルティングファームの圧倒的な情報量を保有しており、戦略系、総合系(BIG4)、IT、人事など外資系日系を問わず、国内大手の有力ファームすべてがクライアント
株式会社ムービン・ストラテジック・キャリア
Copyright (c) Movin Strategic Career Co., Ltd. All rights reserved.
バックグラウンド・出身業界
で探すコンサル転職CAREER PATTERN
Copyright (c) Movin Strategic Career Co., Ltd. All rights reserved.