順天堂大学とアビームコンサルティング、AIを活用した医師の働き方改革に向けた共同研究を推進

順天堂大学とアビームコンサルティングは、医師の働き方改革と医療の地域格差是正を目的に、生成AIを活用した医療ナレッジ支援サービスの共同開発を開始しました。本取り組みは、2024年11月に開設された「AIを活用した医師の働き方改革実現講座」に基づくもので、2025年7月のサービス試験導入を目指して進められています。

■ 背景と課題意識
日本では少子高齢化に伴う医療負担増加と医師不足、加えて2024年4月からの時間外労働上限規制により、医師の業務効率化と地域間医療格差の解消が喫緊の課題となっています。

これらの背景を受けて、両者はまず診療準備フェーズ（診察や治療前の準備作業）の業務改革に焦点を当て、順天堂医院の医師へのヒアリング調査を実施。その結果、「医師のナレッジの共有不足」と「専門外対応にかかる負荷」がボトルネックであることが判明しました。

■ 取り組みの概要と開発内容
本プロジェクトでは、アビームが開発した「生成AIスターターアプリ」を活用し、論文や医療ガイドラインなどをデータに取り込んだナレッジデータベース型AIアプリのプロトタイプを作成。これを順天堂医院の3診療科（脳神経内科、循環器内科、総合診療科）でテスト運用した結果、生成AIによる診療支援の有効性が確認されました。

この分析を受け、次の段階としては以下の2点に注力しています：
医師個人の知見や経験を組織全体で再活用する仕組みの構築
専門外への問い合わせ対応を支援する生成AIエージェントの設計
順天堂大学の医療知識とアビームのAI設計力を融合し、医局ごとに蓄積された暗黙知をデータベース化→AIによる問い合わせ応答や診療支援に活用することを目指します。

■ 今後の展望と製品化計画
このサービスはアビームの「AIソーシング」の一環として位置づけられ、2025年7月の順天堂医院への試験導入が初期マイルストーンです。その後は、順天堂大学の他附属病院や全国の医療機関にも展開できるよう、機能の拡張と実証を進め、将来的な製品化と広域導入を視野に入れた開発体制が整えられています。

【今回の取り組みについて】
今回の取り組みは、生成AIが医療現場の“ナレッジの継承・共有”という本質的課題にアプローチできることを示す先進事例です。

・属人的な医師の経験が“組織の知”へと変換される転換点
経験・勘・暗黙知に依存しがちな医療現場において、ナレッジの形式知化と標準化が進めば、業務の属人性の解消と診療品質の平準化が実現します。

・医療現場での生成AI活用が“補助”から“共創”へ進化
問い合わせ支援やナレッジサポートをAIが担うことで、医師は判断や対応に集中でき、高度化と負担軽減を同時に実現できる体制が構築されます。

・地域医療の格差是正にも波及する可能性
大都市部と地方との間で情報・支援格差がある現状に対し、本サービスは医療均てん化の鍵を握るものとなり得ます。

本プロジェクトは、医療DXにおける「現場主導×技術実装」の好例であり、他領域への波及も期待されます。

2025年 4月22日
アビームコンサルティングWebサイト　https://www.abeam.com/jp/ja/news/2025/0422/

アビームコンサルティング
1981年4月に等松・青木監査法人（現有限責任監査法人トーマツ）マネジメントサービス部門より独立、等松・トウシュロスコンサルティングとして設立された。その後、2003年に監査法人トーマツと資本関係を解消、デロイト トウシュ トーマツからも脱退し、同時にデロイトコンサルティンググループから離脱した台湾オフィスと共同で独立したコンサルティングファームを形成する。外資系コンサルティングファームとは異なり、意思決定は全て日本で行い、日本特有の文化・慣習を熟知したコンサルティングファームとして、多くの日本企業の経営改革や海外進出をサポート。特にアジア圏におけるグローバル戦略において、幅広い実績を挙げている。

アビームコンサルティングについて

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