【ヨットに乗ろう！】（８）始めたい人にアドバイス

　日本セーリング連盟副会長の西岡一正氏（アビームコンサルティング相談役）にヨットの魅力と、これから始めたい人へのアドバイスを聞いた。

　−−ヨットを始めたきっかけは何でしょうか

　「私は兵庫県淡路島の洲本で生まれ育ちました。周りが海という環境で、子供のころから海は好きでした。“いりじゃこ”というイワシの煮干しを祖母がよく作ってくれました。いりじゃこをおやつ代わりに食べては海で泳ぐという子供時代でした。慶応大学に入学後、迷いなくクルージングクラブに入りました。有名な『潮風３世』のクルーになり、外洋レースに出る機会を得たのもこのころです。１９７２年には仕事の研修で米国シカゴに滞在し、『アンドレア』というクルーザーに１シーズン、クルーとして乗船する機会を得ました。この時、シカゴからミシガン湖まで約３３０マイルを航海する『マナックレース』に出場しグループ総合１位になったのが良い思い出です」

　−−ヨットの魅力とは何ですか

　「１８歳から始めましたから、かれこれ４５年になりますが、ヨットの魅力は何と言っても大海原を航海することです。風だけを頼りに大海原を走っていく。ロマンもあるし危険もある。精神的忍耐も求められますが、ダイナミックでとても面白いスポーツです。ヨットは風の力だけで走りますから、風の科学とでもいいましょうか、科学的にセーリングをとらえても面白いですし、奥が深いスポーツだと思います」

　−−ヨットを通じどんなものを得ましたか

　「ヨットはチームで挑むスポーツです。レースや航海に出るときには大自然の状況を読み、これに迅速に対応する意思決定や、より安全により速く走るための意思決定が求められます。たとえ間違っても、決断しなければならない。間違ったら次にリカバリーする。怖がらずに冷静に判断し、意思決定を重ねていくスポーツです。ヨットを通じた経験は仕事の場でも大いに役立っています」

　−−ヨットをこれからはじめる場合のアドバイスはありますか

　「海を楽しんでほしいです。年を取ってからでも若い時でも、誰でも長く楽しめるスポーツ。それがヨットです。もっと気軽にヨットを始めてほしいと思っています。ボードセーリングをやるのもいいですし、船のクルーになるのもいいでしょう。誤解ですが、お金がなくてもヨットは十分楽しめます。沢山の人に海を楽しんでもらえたらと思います。ＪＳＡＦ（日本セービング連盟）としても、ヨット楽しむための活動にもっともっと取り組んでいきたいと思います」

　−−ご自身のヨットライフについてお聞かせください

　「週末は毎週、油壷のマリーナに行き、ヨットと海を楽しんでいます。今年７月２日から行われるロサンゼルス〜ハワイ間の外洋レース『トランスパック』に、タキオンＩＩＩ（＝西岡氏のオーナー艇）が出場します。スキッパーに小松一憲氏を擁します。前回は７４チーム中５位でしたので、今年は総合１位を取れればいいですね」

2009年 6月15日
産経新聞

アビームコンサルティング
1981年4月に等松・青木監査法人（現有限責任監査法人トーマツ）マネジメントサービス部門より独立、等松・トウシュロスコンサルティングとして設立された。その後、2003年に監査法人トーマツと資本関係を解消、デロイト トウシュ トーマツからも脱退し、同時にデロイトコンサルティンググループから離脱した台湾オフィスと共同で独立したコンサルティングファームを形成する。外資系コンサルティングファームとは異なり、意思決定は全て日本で行い、日本特有の文化・慣習を熟知したコンサルティングファームとして、多くの日本企業の経営改革や海外進出をサポート。特にアジア圏におけるグローバル戦略において、幅広い実績を挙げている。

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