公認会計士＝高年収というイメージは強く、多くの受験生が「将来的に安定した収入を得たい」と考えて目指します。実際のところ、年収相場は次の通りです。

初任給の段階で見れば、一般企業と比べても高めですが、年収の伸びはポジション・勤務先・スキル次第というのが実態です。

■ 独立後は「実力次第」で収入に大きな差が出る
会計士資格を活かして独立開業する人も多くいますが、クライアントの獲得に苦労し、年収が会社員時代より大きく下がるケースもあります。特に営業力や人脈がないと、収入が不安定になりやすいです。

■ 転職市場では評価されやすいが、年収UPは保証されない
経理・財務・M&A・コンサル業界などへの転職では、公認会計士資格は確かに強みになります。しかし、「資格がある＝年収が上がる」わけではなく、実務経験やポジションによって評価が分かれます。

公認会計士として働く多くの人がまず経験するのが監査法人での勤務です。特に20代?30代の若手は、繁忙期におけるハードな労働環境に直面することが少なくありません。

■ 繁忙期は残業が当たり前
会計監査のピークである1月?5月（決算期）は、連日深夜までの残業が続きます。
実際の声では…
「月100時間以上の残業が3ヶ月続いた」
「土日も出勤していたが、振替休暇は取れなかった」
「毎日終電、家に帰って寝るだけの日々」
といった体験談が多く見られます。体力的・精神的にきついと感じ、離職を考える人も少なくありません。

■ 繁忙期と閑散期の差が激しい
一方、6月以降は仕事が落ち着く傾向にあり、有給も取りやすく、長期休暇も可能です。これを「働き方にメリハリがある」と捉える人もいれば、「不規則すぎて生活リズムが乱れる」とネガティブに感じる人もいます。

近年は、大手監査法人を中心に働き方改革の流れが進んでいます。主な変化は以下のとおりです。

? フレックス制度やリモートワークの導入
在宅勤務が可能になり、通勤負担が軽減
自分のペースで仕事を進められる環境に改善中

? 女性会計士の働きやすさが向上
出産・育児との両立を支援する制度の拡充
育休後も復職しやすい環境が整備されてきている

とはいえ、クライアント対応・チーム作業など、対人業務が中心である以上、完全な自由は得にくいという現実もあります。

近年、公認会計士を取り巻く環境には大きな変化が訪れています。特に注目されているのがAIや自動化の進展です。

■ 会計士の一部業務はAIで代替可能
帳簿チェックや仕訳の確認、会計データの照合といった定型的な業務は、AIやRPA（ロボティック・プロセス・オートメーション）によって効率化・自動化が進んでいます。

これにより「将来的に会計士の仕事がなくなるのでは？」という不安を持つ人もいます。

しかし、実際には以下のような人間にしかできない業務も多く、すぐにすべてが代替されるわけではありません。

経営者やクライアントとの折衝・説明業務
会計処理の判断（専門的・グレーゾーン）
不正リスクの察知や内部統制の助言
M&Aや企業再編など高度な財務アドバイザリー

つまり、単純作業に頼る会計士はAIに置き換えられる可能性が高い一方、高度な判断力と提案力を持つ会計士は今後も重宝されると言えます。