今回で16回目となるベイン・アンド・カンパニーの世界高級品市場に関する年次レポートの中で、域内居住者の消費増加と旅行者の旺盛な購買に後押しされて、1年間の停滞を経てほとんどの地域で市場が再び輝きを取り戻しているとの見解を示しています。
本日ミラノにて、ベイン・アンド・カンパニーがイタリアの高級ブランドを統括するアルタガンマ財団と共同で第16回目の『世界の高級品市場レポート』を発表しました。
ファッション市場では高級品が存在感を取り戻しています。高級品市場は、商品とラグジュアリー体験の両方を合わせ、2017年に世界全体で5%成長し、1.2兆ユーロに達したと推定されています。高級品市場を牽引し続ける高級車の販売は、6%成長して合計4890億ユーロに達しました。高級食材と高級ワインの売上高はどちらも、前年比6%の成長を遂げました。このことが示すように、ラグジュアリー体験は顧客にとって非常に魅力的なものであり続けており、豪華客船ツアーの売上高は年間14%もの成長を遂げています。個人向け高級品の中核市場は、中国人による国内外での購買行動が再び活発化していること、およびその他の地域で消費傾向が高まっていることに後押しされ、過去最高の2620億ユーロに達しました。
ベインのパートナーで本レポートの主執筆者であるクラウディア・ダルピツィオ(Claudia D'Arpizio)は次のように述べています。「今年上半期に見られ始めた勢いがここ数ヵ月の間も続いた結果、個人向け高級品市場が本当の意味で輝きを取り戻すことができたのです。この市場の成長は、2つの要因によってより強固なものになっています。まず、価格ではなく販売量が増加したこと。そしてもう1つは、旅行者による購買行動と再び活況を呈している域内消費が適切なバランスを保っていることです」
主要地域での持続的成長が世界的な立ち直りを牽引
日本では今年、下半期における為替変動による影響と、中国人の支出増加によって、現在の為替レートで4%の成長が促され、市場規模は220億ユーロに達しました。今後日本市場においては、高級品への関心が低いミレニアル世代の消費者が、ブランド各社にとっての課題となるでしょう。
中国での売上高は、ファッションに敏感な中国人消費者の国内消費の増加で、大きく押し上げられています。2017年現在の為替レートで15%と目覚ましい成長を遂げており、市場規模は全体で200億ユーロに達しています。海外での消費も増加しており、2017年の世界の個人向け高級品購入割合では、中国人が32%を占めています。
その他のアジア各国(中国本土と日本を除く)も好調で、6%成長しています。香港とマカオの回復が成長をプラスに押し上げる要因となり、市場規模は今年360億ユーロに達しました。
欧州は引き続き回復基調にあります。現在の為替レートで6%成長し、小売売上高が870億ユーロに達したことにより、地域別の高級品売上高でトップの座に返り咲いています。英国、スペイン、フランスでは旅行者が市場を支え続けており、各地域の消費も高まってきています。この傾向は特にドイツで顕著に見られています。
米州(北米と南米)市場は苦戦していたものの、なんとかプラスで年を終え、2%の成長を遂げました。840億ユーロの規模を持つ米州市場は、デパート分野で苦戦を強いられている高級ブランドにとって、現在も極めて重要な市場です。この地域では、カナダとメキシコなどに明るい兆しが見られます。
米州以外の地域では、不安定な経済情勢によって成長が停滞している中東地域を含め、成長率は1%と精彩を欠きました。
顧客はどのように高級品を購入しているか
小売チャネルは2017年だけで8%成長しました。そのうち、3%は新規店舗の開店、5%は既存店ベースの売上増加が占めました。卸売チャネルの成長は、専門店の堅調な業績に支えられましたが、世界的なデパートの業績不振によって一部相殺され、3%に留まりました。
オンライン販売への移行は勢いを弱めることなく続いており、2017年の売上高は24%と大幅に伸びました。全体で230億ユーロのオンライン販売の半分近くを占めているのは米国市場ですが、特に顕著な伸びが見られたのは欧州とアジアでした。オンラインで販売される商品種別ではアクセサリーが首位に留まり、アパレルが続きました。化粧品と「ハード・ラグジュアリー」(時計と宝飾品)も増加傾向にあります。ブランド各社はようやく自社サイトを構築し、このチャネルの開拓に積極的に乗り出しています。オンライン販売は現在、売上高の31%を占めるようになっています。
ベインでは、個人向け高級品のオンライン販売は2025年までに25%を占めるようになるものの、商品購入の75%は依然として実店舗で行われると推測しています。
ベインのパートナーで本レポートの共同執筆者、フェデリカ・レバート(Federica Levato)は次のように述べています。「店舗の役割は確実に変わりつつあります。オンラインチャネルは高級品業界に浸透してきた『ミレニアル世代の考え方』に後押しされて成長しています。しかしこれは、店舗が目的を失ったわけではありません。。ブランド各社は、顧客との間にチャネルを超えた継続的なつながりを作り上げることが出来る店舗に徹底的に作り替える必要があります」
現在の高級品市場の消費者の特徴と消費傾向
成功を収めているブランドは、特定のカテゴリーに狙いを定めて戦略を立案し、顧客とのあらゆるやり取りを通じてブランドストーリーを伝えるようなエコシステムを構築しています。
今年、成長率の上位3つを占めたカテゴリーは、靴、宝飾品、鞄でしたが、市場の大部分を占めているのは現在でもアパレル、化粧品、時計です。
高級品ブランドは、より年齢層の低い顧客に訴求しようと、Tシャツ、スニーカー、ダウンジャケットなどのカテゴリーを中心に、カジュアルウェアの新たな解釈を試みています。
高級品市場の主な成長エンジンとなっているのは世代の移行であり、2017年の成長のうち85%はジェネレーションYとジェネレーションXが牽引しました。
高級品市場の今後
ベインは今後3年間にわたり、高級品市場は推定年間成長率4〜5%のプラス成長が続き、個人向け高級品市場の規模は、2020年までに2950〜3050億ユーロに達すると考えています。
業界では、勝者は成長を遂げ、敗者は売上高が減少するという二極化の構図が鮮明になっていますが、市場の状況は良い方向に進んでいます。成長を遂げたブランド企業の割合は、2016年は50%に留まりましたが、2017年には3分の2(33%)近くまで増えました。
利益水準の平均は依然として高いものの(2017年は営業利益の約19%)、二極化による格差は売上高の増加よりも収益性において、より一層顕著に現れています。2017年に勝ち組のブランド企業の中で、利益も増やすことができたのはわずか3分の1にすぎませんでした。
ダルピツィオは次のように述べています。「高級品業界は興味深い時期にあります。『ミレニアル世代の考え方』が、世代を超えて消費行動に変化をもたらしており、それによって高級品ブランドは、顧客に何を提供するのかを問い直すことを迫られています。この変化の流れに上手く乗ることができたブランド企業は、個人向け高級品市場で今後大幅な成長を遂げる可能性があります」
2017年 10月25日
bain.com
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