ローランド・ベルガー パートナー 中野 大亮氏 インタビュー

対談 ムービン・ストラテジック・キャリア 久留須 親

ローランド・ベルガーの特徴・強み

movin:

本日はお時間を頂戴しまして誠にありがとうございます。
まず、ローランド・ベルガーの特徴や強み、働くうえでの醍醐味についてお聞かせ頂けますでしょうか。

中野様:

そうですね、我々ローランド・ベルガーを理解して頂く言葉として「アントレプレナーシップ」というキーワードがよく使われます。
その意味としては、No.1ファームを目指す企業家という意味もありますし、クライアントを、そして新しいクライアントニーズを開拓して行くという意味でも「アントレプレナーシップ」とも言えます。いまやグローバルファームの一角となりましたが、それでもそのスピリットを忘れずにやっていきたい、という想いは持っています。

「アントレプレナーシップ」という言葉をもう少し分解していくと、1つには「攻め」、2つ目に「若さ」、そして3つ目に「自由度」、大きくこの3つの特徴が含まれているかと思います。

1つ目の「攻め」というキーワードについては、我々ローランド・ベルガーとしてクライアントから高い評価を頂き感謝されてきた1つの大きな要因として、「提案する力」や「仕掛ける力」があると私は思っています。これは我々が意図的に取り組んできたという面もあるし、そうせざるを得なかったという背景もあるとは思いますが、先ほどお話しましたように他競合ファームに対して、我々はブランドだけでものを売っていく訳にはいかない。そうすると我々としては、クライアントにとって「この人たちよく分かっているな」とか、「新しい切り口を持ってきてくれたな」とか、「我々の思いを汲んでくれているな」などと思って頂けるような、いわゆる"Audience Analysis(オーディエンスアナリシス)"を大事にしています。 つまり、ある1つのテーマでもその裏側に潜む"Hidden Agenda"のようなものが当然あって、例えば「クライアントのこのキーパーソンは次の昇進を目指して大きな手柄を欲しがっている」など、極端な話をするとそう言った「裏側」まで読みに行くような"Audience Analysis"にまで緻密に気を配っていますので、やはり「仕掛ける力」や「提案力」には高い評価を頂いていると思います。これはつまりプロジェクトが始まる前段階の部分に非常に拘っているとも言えると思います。この点を怠らず一生懸命やっているからこそここまで来れたと思いますので、これが「攻め」について重要な一要素と言えますね。
「攻め」についてもう1つの要素は「ビジネスモデル」。まだ十分に満足できるレベルではありませんが、コンサルティングというビジネスモデルをもっと柔軟に考えようとしています。つまり、3ヶ月で何人のコンサルタントをアサインして…という既存のスタイルだけではなくて、成功報酬の導入や、ベンチャーキャピタルやPEのような動き方、あるいはデジタル分野への投資だとか、新しいビジネスモデルを模索し我々も柔軟に変化して行くということ。それによってクライアントの期待に応えて行く、成功に繋げて行くというようなことを考えている、というのは「攻め」の姿勢の1つだと思いますし、我々の魅力的な要素の1つと言えるのではないかと思います。

2つ目の「若さ」について。事実として若いマネージャーも数多く、またその下のシニアコンサルタントでも他ファームに比べて若い人が多いと思います。実際のプロジェクトにおいても、若手のコンサルタントに責任を持って担当してもらうモジュールを大きめに設定して、どんどんと任せて行くという方針を採っています。もし仮にそれがうまく行かなかったとしても、マネージャーやその上のパートナーやプリンシパルがカバーして行くというようなカルチャーが根付いています。若手にどんどんと裁量を持たせる、任せて行く、チャレンジさせる、という傾向は非常に強いと思います。ともすると若いメンバーにはルーティンな作業部分を任せがちになるのですが、それはできる限りやらない。やはりその人の成長のために「チャレンジ」してもらうことを大事にしています。
「若さ」についてもう1つ、「積極的にプロモーション(昇進)させる」ということが挙げられます。やはり職階が高くなれば見えてくる景色も違ってきますし、ポジションが人を作るという要素は必ずあると思いますので。そう言った意味で、意図的にも結果的にも「若さ」が特徴として挙げられ、若い人たちでドライブされているファームだと言えるのではないかと思います。

最後に「自由度」について。コンサルティングファームでプロジェクトを獲得してくるのはパートナーやプリンシパルの仕事というのが通例かと思いますが、若手の人たちの中でも「こんなプロジェクトを提案したい、こんな仕事がしたい」という想いを持っている人も多いと思います。それをやらせるっていう文化もあると言えます。例えば、私自身もシニアコンサルタントやプロジェクトマネージャーの頃から、「こんな仕事がしたい!」と言って、自らプロジェクトの提案書を書いて、クライアント先に持って行く、またその場にパートナーを同席させるなどしていました。そういう風に「自分で仕事を作って行く。ドライビングフォースになる」といった、サントリーのような「やってみなはれ」的な風土があるのは良い点だと思います。我々の仕事のバリューチェーンの中でも、仕事が生まれてくる醍醐味っていうのを味わえるというのは、ローランド・ベルガーの面白さなんじゃないかと思います。

movin:

よく分かりました。ありがとうございます。
企業家精神を大事にされているとのこと、これは東京オフィス独自の文化なのでしょうか?それともグローバルでも共通なのですか?

中野様:

グローバルでも、「Entrepreneurship」、そして「Excellence」、「Empathy」という3つのコアバリューを掲げています。この中の「Entrepreneurship(アントレプレナーシップ)」は、東京オフィスのチャレンジャー精神を包含した概念だと思います。グローバルでもローランド・ベルガー自体が、米国系ファームへのアンチテーゼとして生まれた背景もあり、加えて、創業者のローランド・ベルガー氏が現役であることから、アントレプレナーシップのスピリットが脈々と受け継がれています。

movin:

先ほど「仕掛ける力・提案する力」に強みを持つというお話を頂きましたが、他ファームと比較してどのように違いを生み出されているのでしょうか。

中野様:

単純に言うとしっかりと「時間とリソースをかける」ことがあると思います。ここは結構他のファームと違うと思います。やはり最初に「何をやりたい」というのを明確にしないと最後に良いものができないと思うので、1番はじめの部分で、何をやるのか、クライアントの期待をどこに置いて、クオリティレベルをどこに置いて…と最初にきちんと詰めてから提案していかないと、結果としてクライアントの期待値を超える成果をデリバーできないと思いますので。且つその業界に関する知見もグローバルや東京オフィス内でも集約してアウトプットとして提案するという風に、最初の提案段階には時間とリソースを結構使っていると思いますね。

ローランド・ベルガーのコンサルティングスタイル

movin:

ありがとうございます。
次にこれまでの中野様の経験の中でローランド・ベルガーのコンサルティングの醍醐味を感じるようなエピソードをご紹介頂けますでしょうか。

中野様:

そうですね。まず我々の特徴の1つとして「リピートが多い」ということが挙げられると思います。その事例としては、例えば最初5社程度のコンペから獲得したプロジェクトでも、第1フェーズを進める過程でクライアントの高い満足度を得ることができ、その続きの案件や全くテーマが違う隣の部門の案件まで、「もうローランド・ベルガーさんにお願いして良いよね」という形で、コンペなしでどんどんとプロジェクトが始まって行くということがあります。
こういった事例は、プロジェクトにおけるアウトプットのクオリティが高かった証拠でもありますので、非常に醍醐味を感じることができました。やはりクライアントが我々のクオリティを理解して、感じて、味わってくれたという意味では、若手のコンサルタントにとっても非常に嬉しいことですし、「もうローランド・ベルガーさんでないと駄目だ」と言われることが多いというのは、端的な例なのでは、と思いますね。

movin:

他のコンサルティングファームでもクライアントファーストを大事にしているとは思いますが、クライアントの満足度を最大化させるためにローランド・ベルガーが特に注力しているようなことは何かございますでしょうか。

中野様:

そうですね、いかにクライアントの満足度を引出すかという時に、大事なのは先述の「Hidden Agenda」だと思います。企業にはステークホルダーが数多くいる中で、各々がそれぞれバラバラのことを主張することが多いので、うまくまとまらずに角が丸くなってしまい、その結果誤ったディシジョンをしてしまうということは往々にしてあると思います。ここに我々が介在することによって、各々の意見を最大公約数にするのではなく、それぞれの良いところをうまく組み合わせながら高みに持って行く、そういったことをきちんとやらなければならない。ステークホルダーの裏側を読むという、"Audience Analysis"をしっかりやっているということが強みなのだと思います。CEOだけを見てCEOだけを満足させるというのではなく、オーディエンスは数多く居ますので。

だから「現場力」というのは、CEOはやると言っているが現場でワークしないというような場合、これを繋いで行く、トップと現場をうまくバランスさせる、そういうことに一生懸命時間を割いているというファームなのだと思います。

movin:

よく分かりました。ありがとうございます。
そう言った「Hidden Agenda」や「経営層と現場を繋ぐ」と言っても、一朝一夕にできるようになることではないと思いますが、東京オフィス設立当初から引き継がれている何か、もしくはグローバル共通のノウハウのようなものがあるのでしょうか?

中野様:

いえ、これらはツールやメソドロジーでは担保できないところで、ある種の「こだわり」だと思います。結局のところ、CEOがやりたいことに対して現場がワークしないという状態を、「捨て置かない」ということだと思うんです。では「何がボトルネックなのか」、「こうやればうまくワークするのではないか」というところまで突っ込んで行くっていう意識をしっかり持てるかどうかだと思います。「そこまでやる」という意識、トップと現場を両立させるにはどうすればいいかを「きちんと考え抜く」というカルチャーが根付いているということだと思います。ですので、何か特定のフレームワークがあるとかそういうことではないんですよ。

movin:

なるほど、そういったカルチャーが組織にしっかりと根付いているということなんですね。

中野様:

だから、かつてよく言われた「現場力」というのは、ただ現場だけを満足させるということではダメで、「大きな戦略があって現場をどうするか」ということ、また「現場力という既存のケイパビリティをベースにいかに戦略を組み立てるか」という両方の意味を含んでいると思います。これまで経営トップにフォーカスされていた視点をあえて「現場」に振ることによって、トップと現場をきちんとバランスさせるっていうことだと思います。

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